事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

巨人軍改革PART2

2012-09-06 | スポーツ

20111216 そんな経緯もあってまとめられた「巨魁」「『巨人軍改革』戦記」なのだから、ナベツネへの怨嗟でこりかたまった書なのかと思ったら、むしろ自分がどの方向へ巨人を持っていこうとしていたかの設計図だったのは意外。

たとえば「マネーボール」のときに紹介したセイバーメトリクス。打点や失策数よりも、出塁率、長打率の方が選手の価値判断基準になりうるという考え方は、すでに導入されていました。先進的に動いたのは巨人と日ハム。この両チームが現在両リーグで首位を争っている現実はなかなか興味深い。

清武氏が自分の成果だと主張しているのが、支配下選手枠から外れた「育成」制度だ。本来、球団が契約する選手は70名以下と協約で決まっているが、球団がそれ以上の選手を“育成選手”として“育てててもよい”とする制度。

ドラフトで指名する場合、スカウトはどうしても完成度の高い選手を志向するが、体力的・技術的に未完成でも、プロ野球選手として成功する可能性のある若者を(育成だからお安い値段で)雇ってしまえということなのだ。

どうも意地悪な言い方になったけれども、山口や松本哲のような成功例があり、育成でなければ彼らがプロに入ることもなかっただろうから説得力はある。

裏話も満載。荒削りだった光星学院の坂本を1位指名に推したのが、みずからもドラフトに翻弄された慶応出身の大森スカウトだったとか、巨人の新人評価ポイントからすると、早稲田の齋藤よりも中央の沢村の方がはるかに高かったとか(宮圀も上回っていた)、まことに興味深い。

今回の乱の背景に、本来は社会部(清武氏はここに所属していた)が強かった読売新聞が、ザ・政治記者であるナベツネによって牛耳られた歪みがあるのは確か。ただ、有能な新聞記者だった清武氏の著書が、今回の騒動がどうあれ、とても面白いことも確かだった。一読をおすすめします。ナベツネが連載(週刊ベースボール)を打ち切れとした原稿が、面白くないわけがない。

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