事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「あるキング」 伊坂幸太郎著 徳間書店

2009-11-16 | 本と雑誌

Real その時代に王がいることの幸福と不幸。伊坂幸太郎はそれをドラマ性を抑えて淡々と語る。

天才として非現実的な打率、本塁打を誇る(しかし彼を守るために父親がある事件を起こしてしまった過去がある)山田王求(おうく→名前を縮めると球になります。苗字は当然のごとくドカベンの引用)の生涯。非現実的という意味ではしゃべる案山子と同じレベル。

マクベスなどのシェイクスピア作品を露骨なまでに引用し、現代において運命を語ることのむずかしさをクリア。と同時に、運命を知ることの(王求はピッチャーが投げる寸前にストライクかボールかを“知っている”)つらさ、哀しさも表現している。王ならぬ身によって王は没することが予言されるが、しかし……

The King」ではなく「A King」(ひとりの、ある)王と題されていることの意味が終章で判明。いつもの伊坂らしくない作品なので好き嫌いは分かれることと思うけれど、好き放題に書いたらこんな作品になったという意味では、もっとも伊坂らしいとも言える。いやー息子が貸してくれてよかった。

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港座再建計画PART6「まちなか映画館」

2009-11-16 | 港座

PART5「犬神家の一族」はこちら

Deardoctorp ひさしぶりに港座再建計画を。こんな記事が新聞に載っていたからだ。

「まちなか映画館」始動   
       
2009年11月15日 朝日新聞山形版

 鶴岡市山王町で今月、「まちなか映画館」整備事業が動き出す。中心市街地の活性化を手がける株式会社「まちづくり鶴岡」(保科正彦社長)が計画、来年5月には大小4のスクリーンを備えた映画館がお目見えする予定だ。

映画館整備は、昨年7月に国が認定した「鶴岡市中心市街地活性化基本計画」に盛りこまれ、経済産業省が13日、補助事業として採択した。

まちなか映画館は、松文産業鶴岡工場跡地のうち、約1万平方メートルの敷地を使う。木造平屋建ての工場2棟を映画館に改修する。木造工場の屋根の木組みが見える内装のエントランスホールなど、大正末期から昭和初めの建物自体の魅力も生かす方針だ。映画館の完成予想図などは細部の調整が済み次第、公表される。敷地内には100台分の駐車場も整備し、飲食店も入る予定だ。

 鶴岡市内から映画館が消えて久しく、高校生へのアンケート(03年)でも、中心市街地に欲しい施設として約6割が映画館をあげていた。

 まちづくり鶴岡は当初、7スクリーンで計618席の計画だった。開業時期も「09年9月」を目指したが、経産省の補助金の1次公募ではなく3次公募にずれ込み、8カ月遅れることとなった。

……最初にこの計画が報道されてからしばらく経つ。以降、ほとんど音沙汰がなかったので、計画は頓挫したのかと思っていたので(だって、いかにもバブリーな計画だったんだよ)、これは朗報だ。

ほぼ同規模の町である鶴岡でこの映画館が採算ベースにのることができるなら、酒田でだっていける可能性はある。酒田と鶴岡は、不毛なくらいに常に張り合ってきたので「鶴岡に映画館ができたのに酒田にないのはどういうわけだっ!」こんな声が上がることは容易に想像できる。

もちろん、そんなことになれば三川イオンシネマはだまっていないだろうし(ネガティブに考えれば撤退はジャスコの得意技だしね)、そもそも郊外型シネコンはこれまで特集してきたように強力な存在だからなめちゃいけない。

 それでも、港座にからむ人間として少し心は浮き立つ。やはり常設の映画館があるのとないのでは町の活気が違うもんな。どうでしょう市長、市の活性化のために映画館をひとつ。

画像は、新映画館がこんな作品を上映してほしいという願いをこめて「ディア・ドクター」。これを観ないで今年のベストを語らなきゃなんないってのはしんどいなぁ。

PART7につづく

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