原作:トルーマン・カポーティ 監督:リチャード・ブルックス 出演:ロバート・ブレイク スコット・ウィルソン
「カポーティ」で描かれた一家惨殺事件を、リチャード・ブルックスが映像テクニックを駆使して鮮烈に描いている。
わずかな金を奪うために、なぜ全員の命を奪わなければならなかったのかについて、この作品では一定の結論を提示している。フィリップ・シーモア・ホフマンの新作のように“ほのめかす”とか“理由など二の次”といった態度が観客に許される時代でもなかったということか。
オール・アメリカン・ボーイであるディックが無邪気な殺人者・挑発者で、ネイティブ・アメリカンの血をひくペリーが父親へのコンプレックスのために一種の被害者のように描かれる過程は「カポーティ」と同様。
酒に溺れ、若い男に走った母親の描写と、メキシコでディックが抱く娼婦を重ね合わせるシーンは“殺人の動機”のヒントにもなっている。
でも、ペリーの心の中に事件の時にあった風景はそんなにわかりやすいものだったのか?「カポーティ」を先に観てしまったひねくれた観客は考えこむ。セックスが遠因になっているのは確かだろうが……。
ひとつ確実なのは、クインシー・ジョーンズの音楽がむやみにかっこいいということ。ちょっと、すごいです☆☆☆★★★