陰陽師的日常

読みながら歩き、歩きながら読む

名人は遠い……

2008-08-04 23:24:50 | weblog
ちょっと前にも書いたのだが、身近にもめごとがあって、そのことをめぐってあれやこれやの話になっている。今日もその話をしに来た人がいて、話に新たな進展があるわけでなし、こちらとしては "what's new" も書かなくてはいけないし、晩ご飯だって作らなければならない、だから話をまとめて、また何かあったら……という方向へ話を持っていこうとしたのだが、相手は一向に腰をあげてくれないので、正直、ちょっと困ってしまったのだった。

被害者意識というのはなかなか厄介なもので、ひとたび自分が被害者ということになってしまうと、なかなかその地位は手放したくなくなるらしい。現実に事故や犯罪の被害に遭われた方をそういう眼で見るのはずいぶん失礼な話であって、まちがってもそういう方のことを言っているのではない。日常の延長上にあるトラブルで、どちらがわるいかと聞かれれば、どっちもどっちだけれど、多少相手の方が悪いかな、というぐらいの関係である。

それでも自分が「被害者である」と宣言してしまえば、悪いのは一方的に相手であって、自分は被害者、悪くない、ということになる。

こうなると、本人は気がついていないのだが、力関係は圧倒的にその人が優位に立つのである。あのときのイヤな経験が頭を去らない……と言っても、それだけ繰り返して話しているのだから頭を去らないのも当然だ、という気さえしてくる。それはわかったから、どう解決していくか考えましょう、といったところで、話はそちらに向かっていかないのだ。

あいづちではなく、誘導しようとしたのだが、やはり強固な意志を持つ相手の前には、誘導はきわめて困難だったのである。

「あいづち名人」の道は遠いようだ。「薪割り」クラスというところか。

更新情報書きました。本文も多少手直ししました。

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