陰陽師的日常

読みながら歩き、歩きながら読む

陰陽師的2007年占い

2006-12-31 22:34:23 | weblog
生まれた日の星回りがいったいその人にどのような影響を及ぼすのか、わたしには理解しがたいことがらである。わたしが産院で生まれたときはちょっとしたお産ラッシュで、同時に7人ぐらいの赤ちゃんが生まれたそうである。これでいくと、わたしと同じ運勢の人が、少なくともこの世には七人いるらしい。

わたしはあらゆる占いなどというものを信用していない。
それでも「占い」の効用というのは、ある程度、認めるのである。
かくて昨年「占い」なるものをでっちあげたところ、大変評判が良かったのである。それに気をよくして、今年もやってしまうのである。

一応12星座を規準にしてはいるが、まったく占星術には基づいていない。
「陰陽師的占い」と称しているが、陰陽道にも基づいていない。たんにわたしのHNが「陰陽師」というだけなのである。

それでもこのキーワードがあなたの2007年になんらかの役に立つかもしれない可能性はまったく否定しがたいわけではないかもしれないのである。何らかの参考にしていただければ大変に喜ばしいことなのである。


【牡羊座】2007年のキーワード:何についても自分の意見を持っていいというわけではない

小学校で「自分の意見を持ちましょう」と教わって以来、あなたまじめにそうしてきました。明日の天気にしても、晩ご飯のおかずにしても、芸能人Aと芸能人Bの離婚の原因にしても、イラク情勢の見通しについても、あなたにはそれぞれに意見があります。
ところが実はその教えは重大な欠陥があったのです。それには前提条件があったのです。意見を持つためにはそのことに関する知識と情報が不可欠です。それを欠いたところでの意見など、無責任なうわさ話の域を出ません。
そう考えていけば、意見を作っていくことは簡単ではないし、かならずしも何もかもに意見を持っている必要もないのです。そうしたなかで作り上げたあなたの意見は、おそらく何らかの意味を持っていくはずです。
となりのネコのミィちゃんが生んだ子猫の父親が誰かなど、あなたの意見を必要とはしていません。ミィちゃんさえ気にかけてはいないのですから。

【牡牛座】2007年のキーワード:空気を読んでいればいい、というものではない

もの柔らかな雰囲気のあなたがいると座はなごみ、集まりには欠かせない人という評判です。あなたには空気を察知する能力があり、相手が自分に何を求めているか、なんとなくわかるのです。それでも期待がわかれば、ついそれに応えてしまい、応えてしまえばそのことの評価がほしくなってしまいます。いつのまにか、それが目的になってしまうのです。そんなことをしていると、あなたがほんとうは何がしたかったのか、いつのまにかわからなくなってしまいます。
コミュニケーションは共同作業ですから、そこで「空気を読む」ことは必要です。それでも、あえて相手とちがうふうにふるまって、空気を乱すことがあなた自身のために必要な場合もあるでしょう。たまにそれで苦労を引き受けることになったとしても、コミュニケーションは一度かぎりのものではありません。たとえそれっきり終わりになったとしても、そういう人とはそれだけの関係しか作れなかったのだ、とあきらめることも必要です。
わたしは熱烈なタイガースファン(穏やかなタイガースファンのあなたのことではありません)と相対するたびに、向こうが空気を読まないのだから、なんでこちらが読む必要があろう、と思うことにしています。

【双子座】2007年のキーワード:かわいそうだからといって、その生き物や人に全員同情できるわけではない

とても優しいあなたは、傷ついた動物の話や不幸な子供の話を聞くと、涙を流さずにはおれません。ガゼルの親子に焦点を当てたドキュメンタリーなら、ライオンの狩りがうまくいかなければいい、と祈るし、逆にライオンの子供に焦点を当てたドキュメンタリーなら、狩りがうまくいって、ガゼルの肉にありつけたことに胸をなでおろします。
戦争報道にしても、動物のニュースでも、かならずそれはどちらかの立場に立った報道であり、見方です。わたしたちは同情に値する人や生き物みんなに同情することはできません。誰か、あるいはなにものかを「かわいそう」と思ったときは、そのことを思い出してください。

【蟹座】2007年のキーワード:早起きと「得」のあいだには何の因果関係もない

ことわざに「早起きは三文の得」というものがありますが、これがもし本当ならば、いまごろわたしは億万長者、は無理でも、相当な小金持ちになっているはずですが、実際はそんなことは全然ありません。
このように、わたしたちはふたつのできごとをつなげて因果関係の文脈に置きますが、風が吹いても桶屋が儲かることはありませんし(もしそうなら、いまごろショッピング・モールの約半分は桶屋が占めていることでしょう)、ネコが天気予報をやっているわけでも、ナマズが地震予知をやっているわけでもありません。わたしたちが「こうなったからこうなる」と思っていることの多くは、本来ならなんの関係もないふたつの出来事であるということを知りましょう。

【獅子座】2007年のキーワード:大切なことは無料ではない

儲け話はわたしたちの心をくすぐりますし、ただで何かがもらえるとなると、行列にも並ぼうか、という気持ちにもなります。ところがよく考えてください。そうまでして手に入れた無料のものを、あなたは本当に大切にしていますか? どうせタダだったのだから、とどこかで思っているはずです。
実は「お金を払う」ということを通して、わたしたちはその「もの」に、一種の投資をしているのです。だから、お金を払ったものは、その額に応じて、自分にとっての「大切なもの」となっていくのです。
タダで手に入るものは、けっしてあなたにとって大切なものにはなりません。
かといって、わたしがこのブログやサイトの有料化をもくろんでいる、というわけでは全然ないのですが、投資をするつもりで、あなたの時間を少し使って書き込みをしてください。そうすればこのサイトやブログがあなたにとってもっと有意義なものになるはずです、と思います、というか、そうなったらいいなあ、なんていうことをちょっと思ったりしているわけです。

【乙女座】2007年のキーワード:「幸福な出来事」があるわけではない

たいていの運勢には大吉とか幸運の星座などという文言がのっていますが、それは大きく誤っています。この陰陽師的占いではそんないい加減なことは決して書きません。
個々の出来事に幸・不幸があるわけではないのです。200ポンド手に入った、と喜んでいたらそれが息子が死んだことの補償金だったり(『猿の手』)、サッカーくじに当たったから好きな女性を監禁してしまったり(『コレクター』)、出来事のひとつひとつは「幸福」でも「不幸」でもないのです。
問題はその出来事を通して、あなたが何を感じるかであり、そこからどうしていくか、です。そうして、それが幸福か、不幸か、その最終的な判断ができるのは、あなたの人生が終わってからでしょう。要はさまざまな出来事をどれだけ感じることができるかであり、そうしてより多くを感じることができる人は結局、より幸福であるといえるのでしょう。
何に比較して「より幸福」と言っているかはあまりつっこまないように。いい加減なことを書くまいとすると、苦労も多いのです。

【天秤座】2007年のキーワード:「不幸な出来事」があるわけではない

あなたには「かわいそうなわたしの物語」はひとつもありませんか? もしないとしたら、あなたは大変賢い人です。自分に起こったことを、「不幸」と感じることなく来ることができるような知性をわたしも備えていたいと思います。
たいていの人は、たいがいひとつやふたつ、そういうものを持っています。なかには、なんで自分はこんなに不幸な星の下に生まれついたのだろう、と思っている人もいるかもしれません。
もちろん人は同じ条件の下に生まれるわけでもないし、それぞれの資質は異なっている。それでも、「幸福な出来事」があるわけではないように、「不幸な出来事」があるわけでもありません。自分がある出来事を不幸と感じるだけです。そうして、「かわいそうなわたしの物語」の困ったところは、その物語が「自己憐憫」を連れてくることなのです。少量の自己憐憫は、甘い蜜のようなもので、わたしたちの人生を生きやすいものにしてくれますが、多すぎる自己憐憫は、人をそこにからめとります。
「なんて自分はかわいそうなんだ」と涙を流すのは、一度だけです。二度繰りかえすと、そこから出られなくなってしまいます。そういうとき、「不幸な出来事」があるわけではないのだと思い出してください。

【蠍座】2007年のキーワード:自分がいつも正しいわけではない

あなたは、そんなことわかってるさ、と思っているでしょう。思っていますね。わたしにはわかるのです(自分がいつも正しいわけではない)。
にもかかわらず、わたしたちはそれを忘れてしまうときがあります。
それは、不正を目にしたときです。
電車の座席で靴のまま飛び跳ねている幼児を目にしたとき。
道一杯にひろがって、大声でくっちゃべりながら歩いているおばさんに前方をふさがれたとき。
公職にありながら、その職を利用して私腹を肥やしている官吏の報道を読んだとき。
わたしたちの正義感は刺激され、こんなことは許せない! という気持ちが全身を満たします。けれどもそういうときにこそ、このキーワードを思い出してください。わたしたちは、すべてを知っているわけではないのです。むしろ、わたしたちが知っているのは氷山の一角にも満たない、ものごとの断片でしかない。批判がしたくなったら、その前に、情報を集めること。そうなるに至った背景を知ること。十分に知って、自分の立場を離れて、それからでも批判は遅くありません。
ただ、自転車で二、三人轢いてやろうか、と思っていた道一杯にひろがったおばちゃんたちは、そのころにはいなくなってしまっているでしょうが。

【射手座】2007年のキーワード:たいていのことには「正解」などない

ことが終わって、ああすればよかった、こうすればよかった、と思うのはだれでも経験することですが、そうしなかったからこそ、そういうことが言えるのです。何かをする前は、自分が何をしようとしているのかさえ、はっきりとわかっているわけではありません。まして、それがどのような結果になるか、そんなことはだれにもわからないのです。
日々生きていく、ということは、問いさえはっきりしない問題をつきつけられて答えを出していくようなものです。問いさえはっきりしていないのですから、どこかに正解があるわけではない、ましてだれかが正解を知っているわけがないのです。
いかにも知っているかのように断言する太ったおばさんやおじさんが、知りもしないあなたのことをなんと言おうが気にすることはありません。もちろん、わたしが言うことも、気にする必要がないことにかけては一緒なのですが。

【山羊座】2007年のキーワード:違和感というものはいつまでも続くものではない

自分の名前を一度も不満に思わなかった人が果たしているのでしょうか。ちゃんと読んでもらえなかったり、平凡すぎたり、古くさかったり、逆に奇妙だったり、DQN臭かったり、たいていの人は自分の名前を一度や二度はおもしろくなく思ったことがあるはずです。ちょっと知恵のついた中学生は、親に反抗するときに「生んでくれと頼んだ覚えはない」と毒づきますが、「こんな名前をつけてくれと頼んだ覚えはない」と毒づかないのは不思議なことです。
自分の人生に一生影響を与え続けるのに、自分の意見が反映されない「命名」ということほど理不尽なものはないのかもしれません。それでもその名前で呼ばれ、その名前と馴染んでいくうちに、「名前」はあなたの抜きがたい要素になっていきます。
同じようにニックネームもあなたの意志とは無関係に与えられます。こんなニックネームなんて……と思ったとしても、多くの場合、命名者は親愛の情をこめて命名していることに変わりはありません。どうか大切にしてください。最初は違和感を覚えたとしても、大丈夫。そのうち慣れます。名前があなたの一部となるように、ニックネームはあなたのささやかな一部となっていくことでしょう。
それが不満なら、こころゆくまでカッコいいハンドルネーム/ペンネームを自分でつけてください。

【水瓶座】2007年のキーワード:いい人悪い人があらかじめいるわけではない

あなたは周りから「いい人」と評判です。
それでも「 * * さんっていい人だね」と言われて気をよくして、「どういうところが?」と聞いてみたら「高菜の漬け物をくれたから」と言われて、ガックリとしたことはありませんか?
「いい人/悪い人」の評価も、しょせんはその人にとって都合がいい人かどうかで、根拠というのも、自分に好意を示してくれるかどうかが規準になっているだけのことも少なくありません。蜘蛛からしてみれば、自分を踏みつぶさないでくれた大泥棒は命の恩人だし、絵師の家族にしてみれば、火事のときも自分たちを助けてくれるどころか、スケッチに余念のないお父さんは、極悪非道のクソ親爺です。
わたしたちは自分の立場からしか見ることができませんし、その意味で、自分の利害を離れて見ることもできないのです。なんていやなやつなんだろう、と思ったとき、そのことを思い出してください。いやなやつ、は、いまのあなたにとって、都合の悪い人であるにすぎません。そうしてその関係はいつでも変えることができるのです。

【魚座】2007年のキーワード:誰のアドバイスでも受ければよいというものではない

教えたがり、アドバイスしたがりの人はたくさんいますが、だれのアドバイスを聞いてもいいわけではありません。人は、自分がたまたまうまくいったそのやり方が、唯一のやり方と思ってしまいがちだし、アドバイスしたがる人が、かならずしも自分と相手のちがいをわきまえて言っているとも限りません。
不安なとき、迷っているとき、藁をもすがる気持ちでアドバイスを求めたくなるのも理解できますが、自分がすがろうとしているのが藁なのか、救命ロープなのか、ちゃんと見極めておくことが必要です。その人から、自分が学べるのか。そう思うことができる人のアドバイスならば全力で聞くべきだろうし、そう思えない相手なら、話半分に聞いておけばよいのかもしれません。
わたしの占いが当たれば、占い師になっているでしょうし、ここでこんなことを書いていることもないでしょう。


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この一年、ブログ「陰陽師的日常」ならびに「ghostbuster's book web」をご愛顧くださいまして、ほんとうにありがとうございました。

いまどういうわけかホームページのサーバーの調子が不安定な感じなんですが、f59全体が不安定みたいです。見にくいかもしれませんが、時間を置いて試してみてください。

年明けは一月三日から再開いたします。
またよろしくお願いいたします。

みなさまにとって2007年がすばらしい年でありますよう。
こころから、だれか、あるいはなにものかに祈ります。