陰陽師的日常

読みながら歩き、歩きながら読む

復帰のお知らせ

2006-12-15 22:15:53 | weblog
お久しぶりです。
しばらく体調を崩して寝ていました。
いつもならこちらのほうにもアナウンスしていたのですが、わざわざそういうことを書くのも何だかな、という気もして、パソコンを立ち上げるのも億劫で、無音のまま数日間が過ぎてしまいました。
このかん、無駄足を運んでくださった方、ごめんなさい。

子供の頃、風邪を引いて寝ていたことを思い出したりもしていました。
わたしが小さいときは、ファン・ヒーターなどというものはまだなくて、石油ストーブだったんです。寝かされている部屋には石油ストーブがあって、薬缶が上に乗っていた。薬缶の口から蒸気がのぼって、いつのまにか消えていく。白い蒸気が見えなくなるその境目を見極めたくて、物憂い頭のまま、目を凝らしていたような記憶があります。

ひとりきりで部屋に寝かされて、わたしは何をしていたんでしょう。
ふだんは学校へ行っているはずの時間、家にいて、窓から入ってくる冬の日差しが、時間がたつにつれて白っぽい色からだんだんくっきりとして、やがてまたぼけていく移り変わりを眺めたり、天井の節目を見ていたりしていたのでしょう。洗濯物を干している母の鼻歌や、外から聞こえてくる通り過ぎていく人の話し声、犬の吠える声、もっと遠い電車の音。寝ているわたしの耳元に聞こえていたそうした音は、いまでも耳の底に残っているような気がします。

いまはたとえ同じように寝ていても、本は手近に置いてあるし、音楽だって聞くこともできます。どういうわけか調子が悪くなるとチック・コリアしか聞けなくなってしまうわたしは、《リターン・トゥ・フォーエヴァー》を低い音でかけて、〈ラ・フィエスタ〉の、転調してからの小さな女の子がくるくる回っているようなメロディを聞きながら、あの頃と同じ白い日差しの色が変わっていくのを眺めていました。

明日から仕事にも復帰しなきゃいけないし、ちょっとあいだは空いてしまったんですが、なんとか続きを書くべく努力してみる所存でございますので(笑)、またよろしく。