陰陽師的日常

読みながら歩き、歩きながら読む

いま推敲中です

2006-02-28 22:35:19 | weblog
ここ数日間にわたってトバイアス・ウルフの短編を訳して、いま推敲作業をやっているところなんだけれど、おそらく、トバイアス・ウルフを知っているという人は、それほどいないのではないかと思う。

といってもトバイアス・ウルフの話をここでしようというわけではない(そんなことをしたら、サイトにアップするとき、本文のあとに書くことがなくなってしまう!)。そうではなくて、トバイアス・ウルフの翻訳された二冊の長編小説のうちの一冊、『ボーイズ・ライフ』(どうでもいいけれど、この作品は映画化されて、主人公の少年時代のウルフを、有名になる前のレオナルド・ディカプリオがやっていた。エレン・バーキンがやたら色っぽいお母さんで、義理の暴力的なお父さんにはロバート・デ・ニーロが、とってもわかりやすい暴力親父になっていた)のエピグラフにオスカー・ワイルドの「人生における最初の義務は、あるポーズを取るということだ。二番目の義務がなんであるかは、だれも見つけ出していない」という引用句が取られている。

これはなかなか含蓄のある言葉で、つまりわたしたちはある社会のなかで、自分の見せ方を、いわば編集している、ということなのだと思う。

一方で「ありのままのわたし」みたいな物言いがあるのだけれど、その「ありのまま」も、実のところ、別のやりかたで「編集したわたし」にすぎない。
その編集作業を、社会の要請と、自分の欲求のせめぎあいのなかでやっていく、というのが「最初の義務」だ、といっているのだと思う。

それにしても、オスカー・ワイルドの引用句というのは、有名なものが多いのだけれど、そんなふうに日常生活でも、ピリッとスパイスの利いた警句をガンガンいっていた人らしい。そんな人が身近にいるとおもしろいだろうな。

話していると、急に「人生における最初の……」とか言い出したりして。

ええっと、読んでくれる人がいるのかどうか不明ですが、音楽堂に"Porcupine Tree"をアップしました。興味がある方、ポーキュパイン・ツリーを聞いてみようかなー、と思ってる方、どうかのぞいてみてください。

明日にはトバイアス・ウルフもアップできると思います。