ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

輝と匠

2010-11-21 | 義経絵巻-芭蕉夢の跡-
爪が食い込んでるじゃねぇか!と火鷹を志鷹の右手のカケに乗り移らせ、ひょい足元に置かれた桶を持ち上げた。
ら!?ピュッと血が滲んだ。河合さんに「傷薬、貰おっ」と山小屋に戻った。
ガラッ(降雪上、引き戸を開ける音です)
義経「河合さぁん、傷薬ぃ!」瑠璃にぶっ飛ばされた時、塗ってた紫雲膏、頂戴!
河合「あれ?紫雲膏の試作品、姫にあげちゃったっしょ?」
義経「ないの?」ツバで消毒するにはちょい傷が深いけど仕方なく、んべって舌を出したら、
志鷹「あ、ちょっと待って!」と火鷹を窓枠に止まらせて、自分の荷物から取り出したのは「パンパカ、パーン!!酒精(しゅせい)水!」と高音鼻声で、瓢箪水筒を高らかに掲げた。
義経「お前はドラえもんかっ!そんな大層なファンファーレで登場させるほどすんばらしいもんなのか?その瓢箪」
志鷹「ふふっ。立山は瓢箪細工が有名でね、って違う!中身がすごいんだ。未来においてこれが動燃力の燃料水となる、蘭語でエタノールっ!」西洋医学は蘭語なんだ!
義経「分かった、どうでもいい。早く消毒しろ」
志鷹「あれ?よく消毒薬だって分かったね?」
義経「あん?昔から酒精(アルコール)は戦の必需品で傷の消毒薬だ」戦人の常識だ。
志鷹「ふぅん。じゃ、左腕出して」とエタノールで傷を洗い流してくれた。
義経「くぅ~。沁みるぅ…ん?」アルコールの匂いに混じって爽やかな香りが広がった。傷口が沁みるから片目瞑って、もう片方は反目で志鷹を沁みるから睨んで「なぁ、これミント?」
志鷹「おぉ、正解!エタノールにミントを混ぜてあるんだ。ミントって虫除けにもなるんだ」
義経「……2年くらい前、これと同じような香りの軟膏をくれた奴がいた…」富山 上市大岩山に行った時、池田って模範みたいな優等生っぽいあんちゃんと出会って、ムヒをくれた。
若いのにえらい奴で料金は後払いの売薬して頑張ってたって話をしたら、
志鷹「…輝(てるみ)兄さん…」二年前って事は…。
義経「兄さんか!?今思えば雰囲気が似てるな!あの時は助かったよ、刺された弁慶が」って、ちょっと待てよ「お前ら苗字違うぞ?」
志鷹「輝兄さんは池田の家督を継いでる。俺は10歳の時、志鷹に養子に出されたんだ。兄さんは2年前、越の国に伝わる神薬に必要な生薬を取りに行くって出たきり帰って来なくって。俺が探しに回ってる。でも、何も手がかりなく足取りも掴めず…その、帰り辛くって」
義経「神薬…それよりお前、二年も家空けてんの?親御さん心配してる。すぐ富山に帰れ」


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