ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~拝啓 土岐明智光秀様…~

2013-05-26 | 散華の如く~天下出世の蝶~
母がどれほど心配したか、
頬を打って知らしめた父、
しかし、打った父の心は、
頬と同じで、腫れていた。
いずれ丸も、父となれば、
父の痛み知りましょうと、
殿の御心、腫れを鎮めて、
ゆっくり、ゆっくり、
摩って差し上げ…て?
帰蝶「殿?」
急に、力が籠った。
信長「濃よ」
帰蝶「どうか…なさいましたか?」
月に背を向けたまま依然として、
その表情は見えない、読めない。
信長「従弟衆であれば、その抜け、知っておろうな?」
城の出入り十の内、抜け二。
その二を知るはず、だから、
帰蝶「当然、母を城から逃がすに使っておりましょう」
小見方は明智方に導かれて、城を抜け出したはず。
武庫からの一本、その抜けを使ったか、はたまた、
私も知らなかった例の地下、その抜けを使ったか。
信長「そうか」
度々会話に登場する、御従弟様の事。
殿は、甚く気にしておられるようで、
「確か、女子三人…おったとか」
帰蝶「覚えておいででしたか…」
城を追われ、浪人が三人の娘を養うはえらかろうと、
ついつい漏らした明智様。殿はご記憶に留めていた。
信長「文を書いてはどうか?」