ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~父の手と、折檻と~

2013-05-24 | 散華の如く~天下出世の蝶~
帰蝶「大に小に、手の掛かること」
チラと殿を見て、
ふぅと深く溜息。
信長「…」
黙ってしまった殿に、
小堀が思わず、失笑。
波に笑みが掻き消され、
そろそろ宴もたけなわ。
ぎぃぎぃ船が岸に着く。
信長「誰か」と呼べば、
ウキと闇から現れた猿、
「小堀殿を、案内せよ」
小堀と猿を引き合わせ、
めいめいが、床に付く。
刻々と亥の刻も過ぎて、
行燈が一つまた一つと、
ふぅと吹き消される中、
今日の丸の一件で高揚し、眠れないのか?
月の光りが煌々と照って、眠れないのか?
縁側で左腕を枕に、寝そべっておられた。
帰蝶「まだ、お休みにならないのでございますか?」
すると、
気抜けたような吐息で、
信長「…あ」と答えた。
帰蝶「…。今日は、お疲れ様にございました」
そそと頭を下げ、ささと下がろうしたら、
信長「濃よ」背から背へ、呼び止められ、
ゴロとこちらに向いた殿の御顔は逆光で、
「親父殿に打たれた覚えは?」
暗く、表情と真意が、読み取れなかった。