ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~女と茶花と、数寄道と~

2013-05-01 | 散華の如く~天下出世の蝶~
武庫を管理する漁師とっとから茶道に入り、茶頭となった。
この出世魚は花鳥風月、嗜む茶の湯を数寄(すき)道と呼び、
殿の茶頭筆頭として活躍した。しかし本能寺の変、その後、
同じく、大出世を果たした農民の出に切腹を命じれ、死去。
殿に見い出された才空しく、冬椿の如く、その首を落とす。
帰蝶「花が…」
與四郎から届けられた杜若が頭を垂らし、活き水を待つ。
あの茶会から三日経過し、そろそろ花にも疲れが見える。
「水を替えてくる」
竹筒の一輪花を手にした。
しかし、
ふく「それは、もう終いにて…」
くたりと、青竹から頭を垂らす花を、
ひょいと、取り上げ、彼女は言った。
「代替わりの時期にございます」
帰蝶「代替わり…?」
ふく「杜若は代続き、一代落ちた後、二代目咲きまする」
一代様は、次代のためにその命を落とす。
「根深にて、切っても次が出まする」
帰蝶「次があるのか」
ふく「はい、菖蒲に杜若、水際瀬戸際強うございます」
帰蝶「その二代目が見たい」
ふく「はいでは、その様に」
帰蝶「お寧々も連れてくるが良い」
ふく「お寧も喜びましょう、では」
帰蝶「これ…」私の支度そっちのけ、
弾ける笑顔引っ提げ、姪っ子の基へ、
足早、たたた…と駆け出していった。
お裁縫から仲も縮まり、良かったが、
「廊を走るでないッ」