ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~父として、母として~

2013-05-15 | 散華の如く~天下出世の蝶~
家臣ら総出の大捜索から一時間弱、
丸発見、殿の御前に引き出された。
帰命丸「…」
帰蝶「このバカ、皆がどれほど…」
母一人、私の気を引くために、
斯様馬鹿な企てを引き起こし、
御客人の大切な時間まで割き、
「心痛めたか…、そなた、分かるか?」
帰命丸「…だって、」
丸の気持ちも、分かる。
だから、
この胸に抱いてやろ…、
帰蝶「と…」
ツカツカと腕組みした殿が、
丸の前で仁王立ち、そして、
組んだ腕をすと解いた刹那、
バンッ
私の目の前で、丸が飛んだ。
ピキッ
初夏が一瞬で、凍りついた。
丸の頬が見る見る赤くなり、
ようやく状況が呑み込めた。
「殿ッ。丸の事…これら全て、私の責めにございます。どうかご勘弁を、」
私は殿に土下座した。
妻の謝罪が利かぬか、
くるり、と背を向け、
信長「見苦しい所、すまぬ」
浅井家の使者である小堀に、
深く、丁寧に、頭を下げた。
小堀「お嫡男様の御無事、何よりにございました」