ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~難攻不落の、廃城~

2013-05-20 | 散華の如く~天下出世の蝶~
この時殿が打診したのは市の縁談で。
浅井家嫡男長政の先妻様の代わりに、
継妻にお市を…、という話であった。
信長「一つ…」酌をして、
「頼む」と縁談を進める。
帰蝶「今尾張は、正念場にございます」
小堀「長井討伐…」
信長「無論」
帰蝶「…しかし、伯父様が謀反など…」
その危険な香…薄々とは感じていた。
…四年前、長良の合戦、義兄の謀反。
その裏で糸を引くは、長井の伯父様。
父と反りが合わず、幾度となく衝突。
家臣側近らに広がる怪しい雲行きで、
隣尾張との和睦、私の婚儀を急いだ。
斎藤派、長井派と二極化、荒れる国内情勢に、
他国隣国と戦している場合では、なくなった。
信長「義父殿、亡き後…」
御身内の裏切り、さぞ辛かろう、と。
「金華は妻の山。この手で返す」
帰蝶「嬉しく、有難く存じます」
小堀「…この小堀、非力ながら」
懐から、血と泥に染まった茶紙を取り出し、
「手を貸します」
古紙のくしゃくしゃ、皺を丁寧に伸ばした。
帰蝶「それは…」
小堀「門外不出、父の傑作にございます。信長様、その手に」
広げられた紙に小堀の父が設計した庭と、城内外と見取りが記されていた。
それを見て再び、難しい顔で腕を組む。
信長「流石は親父殿の城、責め難し」