ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~千成瓢箪と、立身結実~

2013-05-10 | 散華の如く~天下出世の蝶~
我ら武士の子にはない発想、
農民の智慧とでも言おうか、
猿の機転には実驚かされる。
殿は猿を甚くお気に召したようで、
よくよく、お説教をなさっていた。
農民と武士とでは道理が異なる故、
“なんじゃ、そのナリは、”
殿に仕えて数年経った年賀、事もあろうに、
猿はボロをまとって、手ぶらで参上仕った。
武家の道理を知らぬ猿に、家臣らは引いた。
クスクス、くすくす、腹の底で笑うだけで、
年賀の新調、殿に祝賀。通例、当然の理を、
教えてやろうという者が、誰もいなかった。
これ猿よ、着替え参れと言うと、
藤吉郎「こん歳で独り…縫うてくれる、嫁がおりませぬ」
この時代、武家男子十五、六…元服の頃には結婚。
猿が草履取りになったは、丁度そこの頃桶狭間前。
「二十三、来年前厄。来てくれる嫁子がおりませぬぅ~」
殿は前厄…と聞いて、
“一世代、財を成せ”
殿が若かりし頃持っていた厄除け七瓢箪を与えた。
藤吉郎「有難き、幸せにございます」
その後猿は千の実、千成瓢箪を己の象徴、馬印に替え、
出世街道まっしぐら。天下取り参戦の大出世を遂げる。
天下取り偉業の陰に寧々がいたのは、言うまでもなく、
“しかし、勿体ない。独りとは…”
この頃から、武家の道理を教え諭す妻を猿にと、考えておられた。
信長「寧々よ。この者小堀に、城を案内してやれ」
寧々「え…?私が…で、ございますか?」
信長「然様」