ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~尾張か、甲府か~

2013-05-18 | 散華の如く~天下出世の蝶~
帰蝶「殿…?」
信長「何をしておる、小堀殿の酒が足りぬぞ」
帰蝶「これは、ご無礼を」
酒と若鮎の御代わりを申し付け、
まず酒が運ばれ、注ぎに回るは、
市姫「どうぞ」
小堀「と、とと…」
美しい娘に、不意を突かれ、
杯の酒を零しそうになった。
帰蝶「まぁ」
無理もない。織田一族女系は名護屋人。
市、尾張一の美人と謳われ、いずれは、
浅井に嫁ぎ、近江一の美人と称される。
小堀「ほぉ…これまた、」
帰蝶「小堀殿、年頃を然様見つめては」
小堀「いや、失礼致しました」
ぺちッ、と頭を一つ打ち、年頃の娘から視線を外す。
ぽろり、ほろ酔い加減で、男、戦国の本音が漏れる。
「帰蝶様もこの頃には、数多ご縁がございましたな」
天下人の娘となれば、当然。
父も、娘の縁談に骨を折る。
尾張か甲府か、都か田舎か?
帰蝶「そんな昔、持ち出すでない」
市姫「へぇ?」このおませが、
花の縁談と聞いて喰らい付く。
帰蝶「これ、小堀よ」
昔を封印、小堀を嗜める。
しかし殿、小堀に加勢し、
信長「酔い良い。甲府にそなたは持て余そうが」
帰蝶「まぁ失礼。私、武田様にも卒なく、お仕え致しまする」