ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~明かして、読む手の内~

2013-05-07 | 散華の如く~天下出世の蝶~
口から漏れた言葉、聞き逃さずと、
信長「濃」
帰蝶「はい」
小堀と、ゆっくと話をしたい、と。
「では今宵、長良の若鮎、屋形船を用立てましょう」
小堀「あ、いえ、私はこれにて…」
帰蝶「小堀殿、それは無かろう?」
十五年振りに会うて、なんと淋しい…。
小堀「…しかし、」
帰蝶「あの時の礼がしたい」
小堀「あの時とは、…何の事にございましょう?」
帰蝶「私のお気に、草履の鼻緒を直して下さったのは、小堀の父様…」
むき出しの岩肌、せり出す岩盤の金華山、
このお転婆が走って回り、ずるッと転び、
「挫いた足を手当して下さったのも、小堀の父様である」
小堀「…」
幼き私の、この話を知っているのか、
それともこれで断る理由が失せたか、
「参りましてございます、帰蝶様」
ぺこ、あの時のように頭を下げた。
小堀、私より三つ四つ下の腕白で、
よくよく私にちょっかいだしては、
私の薙刀、その餌食となっていた。
帰蝶「私の、勝ちじゃな」
小堀「相変わらずお強い」
肩をすくめて、
「では、お言葉に甘えて」
帰蝶「支度整うまで…殿、小堀殿に城を、見て、頂いては如何にございましょう?」
信長「それも…、そうじゃな」
小堀「え?」