ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~実家と婚家と、御身内と~

2013-05-17 | 散華の如く~天下出世の蝶~
小堀「それはそれはお厳しい方で」
“こんな所で、危なかろうッ”
帰蝶「そういえば、私も…」
入室厳禁武庫に忍び込み、
眠り込んでしまった私を、
“どれほど心配したか…”
必至に探し回ってくれた。
そんな彼の気を引くため、
「よう困らせたわ…」
帰命丸「母…?」
帰蝶「私、少々お転婆が過ぎて…な」
帰命丸「おチェバばぁ?」
小堀「私もヤンチャ、兄貴衆が冷や冷や、ヤキモキしておられた」
帰命丸「チャんちゃ…」
大人の話に首を傾げながら、
何となく意味を理解する丸。
その傍らで、
信長「…」
依然、気分の優れないご様子で、
あの時のように、右の手を隠し、
私らの話に耳を傾けておられた。
帰蝶「…御身内には格別篤き方にて…」
長良川の合戦で、我が母小見方を匿い、
道三方にも付けず、義龍方にも付かず、
義を貫き、地位より名誉と浪人に落ち、
小堀「しかし、勿体ない話にございます。京にも広くいらっしゃるのに…」
京…という言葉に、
信長「ん」
ピクリと一瞬、隠れていた右の手が顔を出し、
するりと再び、顔と指を忍ばせ、心中隠した。