ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~猿の細工と、昇進と~

2013-05-08 | 散華の如く~天下出世の蝶~
さて、誰に城を案内させるか?
信輝は美濃から戻っていない。
他、城内外に詳しい者は、と?
帰蝶「あら、あれ。お寧々…」
ふくに手を引かれて、泣きっ面から笑顔、
シャンシャン歩いて、こちら戻ってきた。
「大事なかった?」
しゃがんで、寧々の隅々、
嫁入り前を隈なく調べる。
「怪我は?痛みはあるか?」
傷跡を残しては…と、寧々の天辺から、
ずずっと下、足元に視線を移して見る。
すると、寧々の草履、真っ赤な鼻緒が、
寧々「御屋形様、御方様、ご心配おかけ致しました」
帰蝶「直っている…それに、」
ふく「はい。木下殿が、まぁ見事。ちゃちゃちゃっと、」
帰蝶「藤吉郎殿が、ちゃちゃちゃ…と?」
小堀「木下…藤吉郎」
小堀の父殿も、一、二、三…と、
あっという間に私のお気に修理。
私は、小堀の父様だから直せると、
職人が、草履の鼻緒を直すものだと、思い込んでいた。
しかし、猿が寧々を笑顔に戻した。それだけではなく、
ふく「申し訳ございません。姉のお古、少しばかり大きかったようで…」
寧々の足に合わせて、緒を挿げ直した。
信長「器用な猿で、濃…」
ほれ、あの時の話を皆に聞かせよ、私をせっつく。
帰蝶「はい、元は草履取。殿の御草履にも斯様細工施しまして…」
小堀「細工…」寧々の足元から、ちらり、と覗く細工を見る。
帰蝶「その細工が気に入り、番傘(馬印)を与えましてございます」