ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~あの頃は~、ハッ!~

2013-05-16 | 散華の如く~天下出世の蝶~
信長「鵜匠らに伝えよ、宴する」
父の背中に、わんわんわん、
ひっくひっく嗚咽を投げて、
帰命丸「はぁ、うッ、は…、はは、は…」
この母に、救いを求めるが、
皆の手前、私も厳しく接し、
帰蝶「…皆に、ごめんなさいは?」
帰命丸「うッ、うぅ…」
父に初めて叩かれ、
母までもが冷たい、
「うぁあぁ~」
本陣に鳴り響く声。
帰蝶「丸…」
信長「濃よ、放っておけ」
帰蝶「…は、」
溜息のような返事で返す。
見兼ねた客人が口を挟む。
小堀「さぁ若様、一緒に参りますよ」
ひょいと、丸を担ぎ上げ、
背中をポンポン、叩いて、
「帰蝶様。まだ鵜が怖いと仰せにございますか?」
ほらほらと私を急かした。
帰蝶「いいえ、もう平気にございます」
小堀殿の御配慮で、凍て付いた本陣に初夏が戻る。
騒然から一転幽玄に包まれ、気を取り直し屋形へ。
暗に光灯す篝火の中、鵜飼鵜匠の演技が再開した。
伝統の技を見ながら、小堀がククと思い出し笑い、
小堀「私も悪戯が過ぎ、よくよく、明智の兄貴に叱られました」
帰蝶「明智様…」
丸の頬を冷やしながら、私も、あの頃を思い出す。