県議になる前は、医療機関で“医療ソーシャルワーカー”をしていました。
医療ソーシャルワーカーとは、病気や障がい、または入院生活により生じる様々な問題に対して相談・援助を行う専門職です。
現場にいるときに行った、相談・援助業務の中で、最も多かったのが「経済的困窮に関するもの」でした。
高度医療の発達とともに、医療費も高騰し、自己負担部分だけでも月50万円や100万円といった医療費も珍しくはなく、民間保険に加入していても医療費負担は、患者さんや家族の生活に大きな重荷となります。
そんな時、医療ソーシャルワーカーが高額医療委任払い制度や貸付制度、さらには障がい者手帳を利用しても医療費払い戻し制度などを紹介したり、手続きを代行したりします。
それたの制度を駆使しても、どうしても医療費負担が困難な場合は、生活保護申請も視野に入れ援助を行います。
しかし一旦生活保護を受けるようになると、基本的に医療費などの自己負担がなくなるというメリットはあるのですが、財産の保有と貯蓄ができなくなりますので、病気や障がいが落ち着いた後も生活保護から脱却して、自立生活を始めようとする際に、いきなり公的保険の保険料負担や医療費の自己負担がかかるようになり、これが自立を阻害している原因ともなっています。
厚生労働省は、生活保護を受給している人が働いて得た収入について、一部を積み立てておき、生活保護需給生活からの自立後に生活費に充ててもらう新たな制度を構築する検討に入ったようです。
これは画期的なことで、誰も好き好んで経済的困窮状態に陥るのではなく、自立生活を営むという目標をより明確に持ってもらうことへ繋がる制度改革になると期待でます。
現在全国には209万人を超える生活保護受給者がおり、近年は働ける現役世代層が増えている現状もあるようです。
現場の医療ソーシャルワーカー同様、この就労収入積み立て制度(仮称)の推移を見守って生きたいと思います。