『おっ!これはいけるな。うまい。生もうまいが、この魚、身がしまっていてうまい、口当たりがいい!船の上で焼いた魚が食えるとは、、、』イリオネスがほめた。
船上の者たちも顔をほころばせている。
ほどいい風が船を押した。アクロテイリ半島岬の東端にさしかかって、クリテスはアレテスに声をかけた。
『副長、この方向に船を進めてください。レテムノンへの最短距離です』
『判った』
アレテスは、操舵のホーカスに指示を出した。
『ホーカス、目標は見えんがこの方角だ。方向を誤るな、いいな』と言い終えて、風向、風力の具合を確かめた。半島岬を廻って帆に当たる風は、南東方向を目指す船を押した。
イリオネスが指示した船の改造が効を奏している。彼は、『もし帆柱構造をしていなかったら』と回想した。イリオネスは、アレテスに話しかけた。
『アレテス、この船を呼ぶのに、船、船ではおかしい。船に名前を付けよう、お前どう思う』
『いいですね。それはいいと思います。大賛成です』
『よしっ!命名といくか。『ニケ』がどうだ。ドックスの表現そのままでいこう』
『判りました。いい名前です』
『では、皆に伝える』
イリオネスは、声をあげた。
『おう、諸君!聞いてくれ。この船に名前を付けた。只今から、この船を『ニケ』と呼ぶ、いいな、『ニケ』だ』
『おう、『ニケ』かいい名前だ』
船上の者たちは『ニケ』『ニケ』と口々に叫んだ。
このあたりの海は、アクロテイリ半島岬の東側にあたりおだやかな海である。洋上を走る『ニケ』は、申し分のない航海条件で、レテムノンに向けて順調に波を割って進んだ。
『ニケ』は快調といえる帆走で進んでいる。はるか遠くにレテムノンの浜が見えてきた。
『おう、アレテス。ここまで順調に来たな。確かな頃合いは何時かな?』
『太陽の位置からすると、まだ昼前であることは確かです』
『方角時板を使ってみる。手を貸せ!』
彼は袋から方角時板を取り出した。
『アレテス、お前は時板を持て、俺は鉄棒を操作する』
『判りました』
手こずるかと考えたイリオネスではあったが、うまく事が運べそうであった。
船上の者たちも顔をほころばせている。
ほどいい風が船を押した。アクロテイリ半島岬の東端にさしかかって、クリテスはアレテスに声をかけた。
『副長、この方向に船を進めてください。レテムノンへの最短距離です』
『判った』
アレテスは、操舵のホーカスに指示を出した。
『ホーカス、目標は見えんがこの方角だ。方向を誤るな、いいな』と言い終えて、風向、風力の具合を確かめた。半島岬を廻って帆に当たる風は、南東方向を目指す船を押した。
イリオネスが指示した船の改造が効を奏している。彼は、『もし帆柱構造をしていなかったら』と回想した。イリオネスは、アレテスに話しかけた。
『アレテス、この船を呼ぶのに、船、船ではおかしい。船に名前を付けよう、お前どう思う』
『いいですね。それはいいと思います。大賛成です』
『よしっ!命名といくか。『ニケ』がどうだ。ドックスの表現そのままでいこう』
『判りました。いい名前です』
『では、皆に伝える』
イリオネスは、声をあげた。
『おう、諸君!聞いてくれ。この船に名前を付けた。只今から、この船を『ニケ』と呼ぶ、いいな、『ニケ』だ』
『おう、『ニケ』かいい名前だ』
船上の者たちは『ニケ』『ニケ』と口々に叫んだ。
このあたりの海は、アクロテイリ半島岬の東側にあたりおだやかな海である。洋上を走る『ニケ』は、申し分のない航海条件で、レテムノンに向けて順調に波を割って進んだ。
『ニケ』は快調といえる帆走で進んでいる。はるか遠くにレテムノンの浜が見えてきた。
『おう、アレテス。ここまで順調に来たな。確かな頃合いは何時かな?』
『太陽の位置からすると、まだ昼前であることは確かです』
『方角時板を使ってみる。手を貸せ!』
彼は袋から方角時板を取り出した。
『アレテス、お前は時板を持て、俺は鉄棒を操作する』
『判りました』
手こずるかと考えたイリオネスではあったが、うまく事が運べそうであった。