洋上のニケは、漁船に近づいていく、声が聞こえる、互いに顔の判別ができるところまでに近づいた。
『ハッハッハ!』挨拶が『ハッハッハ』である。
イリオネスも大口を開けて、
『ハッハッハ!』と返した。
スダヌスはとぼけている。
『お~、軍団長どの、どちらへ行かれるのかな?』
『お~、スダヌスどの、この広い海の真ん中で何をしておいでかな?』
と言葉を返した。二人は、
また、『ワッハッハ!』と笑いあった。
この風景を目にしたアレテスは、ピッタスとテトスと目を合わせてうなきあった。船上の緊張が解けた。
漁船はスダヌス浜頭の船であったのだ。双方の船が波にゆすられながら舷が擦り合うくらいまでに寄ってくる、双方の船上の者たちが手を伸ばして、互いの船の船べりをつかんだ。イリオネスとスダヌスは、舷越しに手を握り合った。
『あいや、イリオネス殿、あなたと私、このような洋上でお会いするとは、全くの奇遇ですな。どのような用向きでどちらへですかな?』
『それもなんだが、浜頭もこの海で何を?』
『ハッハ!私の用向きをお尋ねになるのですかな。私の用向きは、ちょっくら魚の様子見ですわ』
『ハッハ、それはそれは、口実であって、本当の用件は別のようですな。実はですな、私は、出入り七日の予定で東地区への視察に出かけるところです。クリテスにガイドと通辞を任せての旅です』
スダヌスは、イリオネスの意図を知っているようである。
『そうですか。それにしても皆さんの身なりは漁師然としてますな。だが、肩に力がこもってますな。誰も漁師と思いませんな』
『へえ~、そのような。そのように見えますかな』
『まあ~まあ~、それはそれとして、今、東地区は危険がいっぱいです。相手があなた方の事知ったら、ただではおさまりませんな。私には知り合いがいます。軍団長、私はあなた方に同道いたすつもりで、ここで待っていたということです』
『判った、浜頭!貴方の力を借ります。宜しく頼みます』
イリオネスは、予想される事態を瞬時に理解した。スダヌスは、言い終わるや否や、ニケに乗り移った。彼は、漁船の者たちにひと声をかけた。
船上の者たちは互いに相手の船の船べりから手を離した。
スダヌスは、アレテスの方へ顔を向けた。
『ややっ!アレテスどの、足止めをしましたな。申し訳ない、船を出してください』
『ハッハッハ!』挨拶が『ハッハッハ』である。
イリオネスも大口を開けて、
『ハッハッハ!』と返した。
スダヌスはとぼけている。
『お~、軍団長どの、どちらへ行かれるのかな?』
『お~、スダヌスどの、この広い海の真ん中で何をしておいでかな?』
と言葉を返した。二人は、
また、『ワッハッハ!』と笑いあった。
この風景を目にしたアレテスは、ピッタスとテトスと目を合わせてうなきあった。船上の緊張が解けた。
漁船はスダヌス浜頭の船であったのだ。双方の船が波にゆすられながら舷が擦り合うくらいまでに寄ってくる、双方の船上の者たちが手を伸ばして、互いの船の船べりをつかんだ。イリオネスとスダヌスは、舷越しに手を握り合った。
『あいや、イリオネス殿、あなたと私、このような洋上でお会いするとは、全くの奇遇ですな。どのような用向きでどちらへですかな?』
『それもなんだが、浜頭もこの海で何を?』
『ハッハ!私の用向きをお尋ねになるのですかな。私の用向きは、ちょっくら魚の様子見ですわ』
『ハッハ、それはそれは、口実であって、本当の用件は別のようですな。実はですな、私は、出入り七日の予定で東地区への視察に出かけるところです。クリテスにガイドと通辞を任せての旅です』
スダヌスは、イリオネスの意図を知っているようである。
『そうですか。それにしても皆さんの身なりは漁師然としてますな。だが、肩に力がこもってますな。誰も漁師と思いませんな』
『へえ~、そのような。そのように見えますかな』
『まあ~まあ~、それはそれとして、今、東地区は危険がいっぱいです。相手があなた方の事知ったら、ただではおさまりませんな。私には知り合いがいます。軍団長、私はあなた方に同道いたすつもりで、ここで待っていたということです』
『判った、浜頭!貴方の力を借ります。宜しく頼みます』
イリオネスは、予想される事態を瞬時に理解した。スダヌスは、言い終わるや否や、ニケに乗り移った。彼は、漁船の者たちにひと声をかけた。
船上の者たちは互いに相手の船の船べりから手を離した。
スダヌスは、アレテスの方へ顔を向けた。
『ややっ!アレテスどの、足止めをしましたな。申し訳ない、船を出してください』