『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  310

2014-07-07 07:47:56 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『判りました。日程の後半に食すパンは、少々硬めに焼いておきます。クリテスの件は承知しています。明日、アサイチに軍団長の許に行くように指示します』
 『判った。オロンテスありがとう』
 イリオネスは統領と目を合わせた。
 『統領、今、聞かれたように、私ら調査隊一行は、その役務を遂行するために、出入り7日の予定で行ってきます。宜しくお願いします』
 『おう、判った。気を付けて行ってきてくれ。留守中の事は気に掛けなくてもいい。安心して行って来い』
 『ありがとうございます』
 彼は言葉を継いだ。
 『では、諸君。宜しく頼む。打ち合わせは終了だ』
 一同は、アヱネアスの宿舎を辞した。

 日は替わった。空にはまだ星がある、東の空が明るみ始めている。パリヌルスは、朝行事を終えて部下の一人にハシケを漕がせて小島に向かった。
 島の北端に放置している廃船の検分にである。目的は、帆柱と舵の調達である。島の者たちは、朝早いパリヌルスの来島に目を見張った。朝行事最中の者たちは、海に身を浸しながらパリヌルスを見つめた。アレテスが走り寄ってくる。
 『おう、アレテス、おはよう』
 『おはようございます。隊長、こんなに朝早く如何がされましたか?』
 『おう、ちょっと、わけがあって放置している廃船を見に来た。急遽必要とする部材の調達だ。それが準備できるか、どうかを見に来たのだ。それと、お前に伝える用件もある』
 『用件?それは何でしょうか』
 『いよいよだ、お前が軍団長に同道する調査隊の件だ。打ち合わせを今日やることになっている。早く朝食を済ませろ。俺の帰り船で一緒に行こう。俺は船を見てくる』
 『判りました。誰かつけましょうか』
 『そうだな。誰か手すきの者がいたらでいい』
 パリヌルスは、廃船のあり場所に向けて歩み始めた。数分歩いて目当ての船の在り場所に着く、心は急いていた。
 早速、目当ての帆柱の状態を見た。一見して、安心めいた気持ちで帆柱を検分した。
 『おう、いける!申し分ない、これなら十分に行ける、使える、よし!』
 次いで、帆柱を支えてる部材を見た。これも十分に行けることを確かめた。彼は、記憶をたどって帆柱を設置する箇所の船体の幅を思い起こし、部材のサイズ等をチエックした。これも十分にいけることを確認した。次に船尾の舵を点検した。廃船は部材を取り付ける船に比べて大き目である、彼は、部材の大きさの適正を思案した。