夜の闇が忍び寄ってくる。人々が家に帰り、眠りに就くときである。
酔いどれた4人の男が広場を横切って木馬に向って来る。そして、広場の物陰から、また1人の男、これはシノンであった。広場には、猫の子一匹見当たらなかった。
オデッセウスは、例の小さな穴から外をうかがった。
暗闇の中で、4人の男の目が合った。その中の、主将格と思われる男が木馬を叩いた、三回叩いて二度さすり、これを二回繰り返した。木馬からは、ことことと音が鳴り返事と思われる音がした。主将格の男は、持っていた頭陀袋から小さめの松明を取り出し、他の3人とシノンに手渡し、男は小さな声で命令した。『行け。』4人の男は闇に消えて城壁に急いだ。主将格の男は、今一度、広場の隅から隅へと目を走らせ、安全を確かめた上で木馬を叩いて、最後のサインを送った。
木馬の腹胴が、かたり、ことりと音をきしませた。木馬の中では、エペイオスが落とし戸のくさびを抜いた。木馬の腹にぽっかりと穴が開いた。綱がおりて来る。降りようとしている者の足が現れた。
酔いどれた4人の男が広場を横切って木馬に向って来る。そして、広場の物陰から、また1人の男、これはシノンであった。広場には、猫の子一匹見当たらなかった。
オデッセウスは、例の小さな穴から外をうかがった。
暗闇の中で、4人の男の目が合った。その中の、主将格と思われる男が木馬を叩いた、三回叩いて二度さすり、これを二回繰り返した。木馬からは、ことことと音が鳴り返事と思われる音がした。主将格の男は、持っていた頭陀袋から小さめの松明を取り出し、他の3人とシノンに手渡し、男は小さな声で命令した。『行け。』4人の男は闇に消えて城壁に急いだ。主将格の男は、今一度、広場の隅から隅へと目を走らせ、安全を確かめた上で木馬を叩いて、最後のサインを送った。
木馬の腹胴が、かたり、ことりと音をきしませた。木馬の中では、エペイオスが落とし戸のくさびを抜いた。木馬の腹にぽっかりと穴が開いた。綱がおりて来る。降りようとしている者の足が現れた。