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『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第6章  クレタ  43

2013-02-28 16:08:10 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 気合をいれた。イリオネス自身熱く燃えた。彼は、アヱネアスの視察行に同道する者たちを除いた残りの者たちを集めた。
 『おう、アレテス、何人だ?』
 『8名です』
 『1チーム4名づつとして2チームだな。いいだろう。アレテス、8名2チーム、お前が責任担当だ。明後日から視察と調査に当たるのだ。いいな』
 『判りました。一つはアレテスチーム、もう一つは、リナウスチーム、それでいいですね。1日2区域2日間で4区域、この区割りで計画を立てます』
 『いいだろう。さあ~、皆、昼めしだ。パクつきながら話をしよう。終わり次第、俺たちは出かける。ギアス、舟艇のほうは準備できているな。それから、全員、帯剣だ。いいな』
 『軍団長、判りました。準備は整っています』
 昼めしを終えた一同は、各自が担当している部署に散った。アヱネアスはイリオネスに声をかけた。
 『軍団長、どうだ、もういいか。出発しよう』
 『おう、ギアス、出るぞ!準備はいいな。同行の面々を集めてくれ。それから、帯剣を忘れんように一声かけてくれ』
 『判りました』
 一同、顔の揃ったところで舟艇に乗った。彼らは浜を後にした。
 アレテスは彼らを見送った。軍団長の留守の間はアレテスに託された。彼は空を見上げた。陽はさんさんと輝いている、天候は変わらないと判断して作業の場に向かった。

ピタクル『次の一手』サービスラブ  *3月1日より業務を開始します。

2013-02-27 17:19:07 | 『次の一手』プレゼンテーション資料
 3月1日より業務をスタートさせる<ピタクル『次の一手』サービスラブです。何卒宜しくお願いいたします。
 業務内容について説明いたします。
 『次の一手』のプレゼンテーションワークです。権利の譲渡契約、実施許諾契約ワーク。
 『次の一手』の開発と権利化ワーク。
 『次の一手』の試作と商品化ワーク。
 『次の一手』のアイデアの権利化承りワーク。
 『次の一手』のパロデイ化企画ワーク。
                        ピタクル『次の一手』サービスラブ
                             山田 秀雄

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第6章  クレタ  42

2013-02-27 08:13:12 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『農耕、漁獲、牧畜など、そういった事もこれから順次話し合って解決していかねばならん。その次は交易の問題も浮き上がってくると思う。とにかく、生活の拠点、この問題を解決して後の事だ。当面は、生活拠点、海賊の件が焦点である。今日から三日間はクレタを知ることに集中する。そして、話し合いだ。いいな。アレテス、船の貝殻落とし、この作業の進み具合は?』
 『はい、作業は、ただいま進行中です。今日いっぱいにはお終わる段取りになっています。タール塗りは明日午前中に終えて、乾きあがりは明日いっぱいといったところです』
 『そうか、判った。明後日には、海へ出せるな』
 『はい、大丈夫です』
 『明日の統領の予定は、この岬半島と東側になる。それから、手すきの者たちは手分けして、この辺り一帯の陸上の視察調査だ。いいな。判ったな。一日の行程を考慮してやってほしい。調査に関することについては考えておく。責任者はアレテス お前だ、いいな』
 『はい、判りました』
 『よしっ!皆で気合を入れる。統領、お願いします』
 一同を見回すイリオネス、丸く円陣に並ぶ。
 『俺が『いいな!』と掛け声をかける。お前たちは『よっしゃ!』と答える。それを三回繰り返す、判ったな。準備はいいか、隣の者の肩に手をおけ、いくぞっ!』
 『者ども いいなっ!』『よっしゃ!』
 『いいなっ!』『よっしゃ!』
 『いいなっ!』『よっしゃ!』
 一同は拳を突き上げて、一斉に『おうっ!』と吼えた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第6章  クレタ  41

2013-02-26 09:41:38 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『判った。質問の件だが、浜頭から聞いたことを話しておく。前の領主イドメネウスの留守を預かっていたのがレウコスという男だ。このレウコスという男はなかなかの曲者らしい。それが5か月前イドメネウスがトロイから帰ってきた。我々から奪りあげた戦利品を船に積んでだ。イドメネウスが上陸しようとしたが、このレウコスがこれを拒んだのだ、上陸を許さなかったのだ。帰ってきた者どもともども国外へ追放したのだ。国外へ追放された者どもの落ちていった先は判らないそうだ。現在、レウコスがこのクレタを統治しているそうだ。また、レウコスの勢力の事だが、このクレタの東部地区だけが勢力範囲らしい、俺たちが上陸したこの西地区までは奴らの勢力が及んでいないらしい。この辺りは、土地生え抜きの豪族たちの力でおさえられているといった状態らしい。住民たちはそ奴らの庇護下にあるということだ。これで大体のところが判ったと思うがどうだ。いいかな』
 『よ~く判りました。ありがとうございました』
 『そのような状態にあるので、我々のほうも対応姿勢を決めておかねばならない。我々が生活拠点を決めたうえで、この点について話し合うということでどうだ』
 『判りました』
 イリオネスは諸事の対処について話した。
 『これから、このクレタの西地区の下調べにかかるのだが、まず、生活の拠点をできるだけいい条件で決めなければならん。一番目に考えることは、我々が毎日、口にする糧の事だ。これについては君たちが知っているようにオロンテスがやっており細かいところまで充分にやってくれている。次に考えているのは、海賊の件である。これについての統領の考えは、力をもってこれを制していく。この件については、パリヌルスとオキテスが当たる。地方の豪族問題については、この俺が担当する。いいな』
 打ち合わせは進んでいく。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第6章  クレタ  40

2013-02-25 09:15:04 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 アヱネアスを補佐する面々が顔をそろえた。イリオネスが彼らの意思を確かめるように鋭いまなざしで一同を見渡した。
 『統領、全員がそろいました。始めましょうか』
 『おっ、そうか。では始めよう』
 イリオネスにうなずき返して、アヱネアスは立ち上がった。
 『おう、諸君、日夜ご苦労。一同、体調のほうはどうだ?変わりはないな、変わりがなければ、それでいい。ところでSOUDAの浜の浜頭との打ち合わせは終わった。我々が生活の拠点とするところは、ここ四、五日の間に決める。それが決まれば忙しくなる。いいな。皆、よろしく頼む。この後、軍団長が日常のことなどを打ち合わせる。このクレタは、我々にとって新天地である。ここが果たして、建国の地であるか、否かは、これからこの地で過ごす、数か月で判明する、いや判断しなければならない。とはいえ、一年かかるかもしれない、よろしく頼む。以上だ』
 アヱネアスは話し終えて、一同と目を合わせた。
 『あ~あ、それから、このあと昼めしを終えたら視察に出る。俺と軍団長、パリヌルス、オキテス、それからオロンテス、お前、時間の都合がつくか、つけばお前もだ、いいな。クリテス、お前は案内役だ。判ったな。海上から眺めたクレタを見てみたい、それと海岸線の視察だ。用船は、舟艇を使う、ギアス、頼む』
 『判りました』
 『統領、以上ですか?』
 『そうだ』
 短い言葉のやり取りが終わって、イリオネスは一同と向き合った。
 『諸君!いいか。今、統領の言われたこと充分判ったな。ここをもう少し聞いておきたいと思うことがあるか。ある者は手を上げろ!』
 アレテスが手を上げた。
 『お前、何を聞きたい。言ってみろ』
 『このクレタの統治状態がどうなっているかを知りたい。それを知っておければと思うのですが』

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第6章  クレタ  39

2013-02-22 08:19:46 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『お~っ!ご苦労。アレテス、新天地はどうだ?』
 『あっ!統領。船についた貝殻落としに懸命です。新天地はどうだと聞かれても今のところ答えられない有様です』
 『そうか、それは悪い質問だったな。まあ~、徐々に慣れていくよりほかに方法があるまい。おっ、皆が来た来た。打ち合わせをやろう。この岬の向こう側のの浜の浜頭、まあ、クリテスの父御だが、話を終えた。その辺の事どもを皆と共有して、次の方策を考えねばならん。まあ~、そこいら辺りに座って落ち着け』
 『ありがとうございます』
 『イリオネス、どんな具合だ、皆が来たか。一同が集まったら、すぐ打ち合わせにかかろう』
 『判りました』
 『おい、オキテス、皆の顔を点検してくれ。。まだ、誰が来ていないかをだ』
 『オロンテスとセレストスがまだです。パン焼き作業の指示に手間取っているのかな?』
 イリオネスは、パンの焼き場の方を眺めた。二人の歩く姿を目にした。
 『二人は間もなくここに来る。統領と俺の席はここだ。ここを中心に、ま~るく円を描くように座を決めて座ってくれ。オロンテスとセレストスの席も決めて座についてくれ』
 『お~お、二人が来た』
 イリオネスは、早く来いと言わんばかりに手で招いた。
 『ややっ!遅れて申し訳ありません。ここに上陸してからの俺は何やかやと忙しい、俺たち二人の席は、そこか、判った』
 イリオネスが集まった全員を見渡した。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第6章  クレタ  38

2013-02-21 11:32:41 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『浜頭、ちょっとお待ちください。焼きあがったパンをお持ち帰りいただくように準備しています』
 『何っ!今朝食べたパンを持ち帰れだって!それはそれは、何よりだ。遠慮はしないぞ、軍団長!感激だな~。こいつは、ありがたい。あのうまいパンが、また食べられると。軍団長、そいつはありがたい、願ってもないことです』
 彼は、感動をあらわにして喜んだ。
 オロンテスに連れ立って、パリヌルス、ギアス、トピタスにオキテス、そして、クリテスも来た。彼らはパンを詰めた大きな袋を持ち来て浜頭の船に積み込んだ。作業の主役はクリテスがいそいそと務めた。
 『いやいや、統領。まっこと馳走になりましたな、そのうえ、このようにうまいパンをどっさりいただいて、お礼の申し上げようがありません。では、私ども、これにて』
 浜頭は、しどろもどろになって帰途につく挨拶をした。彼の船が海上に浮かぶ、すかさず乗り込んだ浜頭は、船上で深々と頭を下げた。漕ぎかたが水面を泡立てた。西方向から吹きつける海風の頃合いとなっていた。船上から手が降られる、浜に立っている者たちが手を振り返した。
 『よっしゃよっしゃ、これでいいな。イリオネス、打ち合わせをやろう。主だった者たちを集めてくれ』
 『了解しました。統領もなんですな、浜頭の言い回しがうつりましたね。昼には、まだちょっと間があるが、いいか。早昼でやるか。しかし、人間、ややすきっ腹でやるほうがいい仕事をする』 と言いながら、パリヌルスとオキテスに手配を指示した。
 『軍団長、場所はどこでやりますか?』
 『うっう~ん、そうだな、ここがいい。クリテスも呼んでおいてくれ』
 『了解しました』
 指示が飛ぶ、言葉使いに緊張が現れてきていた。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY     第6章  クレタ  37

2013-02-20 07:23:55 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『統領、そのようなわけで私は、一度、浜に帰り日をおかずこちらへ参ります。こちらには五日間くらい逗留する予定でまいります。それで決着するように手筈を整えてきます。それでよろしいですね』
 『いいでしょう。手数をかけます』
 イリオネスが戻ってきた。
 『統領、話は済みましたか?』
 『おう、済んだ。それでどうした?』
 『いや、オロンテスに焼きあがったパンがあるかどうか、ただしてきたところです。浜頭の手土産にと思って、、、』
 『おっ、そうか、それはいい。どうであった?』
 『100個くらいあるというから、今、荷造りさせているところです』
 浜頭が近づいてきた。
 『軍団長、それでは私どももそろそろ帰りの船支度をします。統領とも話を済ませました。私は一度浜に帰り、すぐにこちらへ来ます。こちらには五日くらいの逗留で話をつけたいと思っています。よろしくお願いします』
 『判りました。では、よろしく頼みます』
 打ち合わせの話を終えた四人は、浜衆たちのいる場所へと歩を運んだ。浜頭が浜衆一同に声をかけた。
 『おうっ!話は終わった。帰ろうか。船の支度はいいか!』
 『いつでも出れます』
 『そうか。よしっ!』
 『統領、軍団長。では、私ども帰ります。風も追い風が来そうです』
 そう言って浜頭は、両手を海水で濡らし、風に向けてかざした。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY     第6章  クレタ  36

2013-02-19 08:19:16 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 クレタ島西部地域の人口は、東部地域に比べると極めて少ない状態であった。キドニア、キサモス、スピリア等の住民が居住している地区を除いて、住民の集落が見当たらないといっても過言ではないような状態であった。
 この時代、クレタ島の西部の海岸線、岬、西の端の二つの岬に挟まれた海岸線の各所には海賊の根拠地が点々と存在していた。総員700人余りのアヱネアスのトロイの民が好きなところに生活圏を打ち立てられたであろうと想像される。
 浜頭の危惧したのは、少ないとはいえ地方生え抜きの豪族たちとの関係であったろうと思われる。アヱネアスは、海賊問題については一顧だにしなかった。海賊問題に対しては、自力で対処できる力を持っていたからともいえる。

 アヱネアスは、それとなくイリオネスと浜頭との話を耳に挟みながら話の進み具合を感じ取っていた。
 『おう、イリオネス、浜頭との話はどんな具合だ』
 『え~え、浜頭にはこちらの要望を聞いてもらった次第です。もう、そろそろ帰りの船出の時間となります。統領、話の締めくくりをお願いします。私は、ちょっとオロンテスのところへ行ってまいります』
 『おう、判った』 
 アヱネアスは浜頭のほうに体を向けた。
 『浜頭、イリオネスと話し合われて、いかがでしたか。何かこれを聞いておきたい、彼の説明不足なところがあったら、この私に聞いてください』
 『軍団長から聞いた話で充分わかりました。説明の不足しているところはありません。お受けする私として全て納得いたしました』
 『そうですか、それはありがたい。よろしく頼みます』
 二人は手を差し伸べて、固く握り合った。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY     第6章  クレタ  35

2013-02-18 11:20:23 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 アヱネアスが上陸したクレタ島は、政情が安定していたとは言えない。ティラ島(現在のサントリーニ島)の大噴火の天変地異、ギリシアのミケーネ人の侵略による横暴な統治、森林資源の枯渇、ミノア文明で隆盛を極めた頃とはあまりにも変わった社会、いや国情となって200年という長い期間が経っているにもかかわらず国情の回復が遅々として進んでいない状態であったと思われる。
 話はここで横道にそれるが、アヱネアスが上陸する五か月前、このクレタ島の領主であったイドメネウスが10年に及んだ長いトロイ戦役を終えて帰国してきたのである。イドメネウスが留守を預けたレウコスが政権を掌握してクレタ島を統治していた。イドメネウスは生粋のクレタ人ではなく、トロイ戦役を主導したアガメムノンと同じミケーネ人であったのではなかろうかと考えられる。レウコスはイドメネウスの入国を拒んだ。10年前、アガメムノンの要請を受けて軍船100隻余りの大船団を組んで、意気揚々と参戦したイドメネウスであった。彼は多くの戦利品を持ち帰っては来たが100隻余りの船数が、たったの10数隻に減っていた。浜に集結しているレウコスの軍勢は並みの数ではない、3000を数える軍勢であった。彼は唇を噛んだ。干戈を交えて勝てるわけがない、抗することは得策ではないと判断した。彼は故国クレタ島に上陸することなく、国外に追放されたのである。国を追われたイドメネウスは、クレタを遠く離れた地中海の西の地に漂着して小ポリスを築いたとも、また、妻ともども殺害されたとも後世に伝えられている。真偽のほどは定かではない。
 疲弊の国情であるクレタ島では、レウコスの勢力範囲は島中部の東地区までであって島西部のキドニアの地には及んではいなかった。


  *お詫び申し上げます。
   2月15日投稿の 第6章  クレタ  34  の終行の二行を削除いたします。
   間違いの記述です。深くお詫びいたします。
                             山田秀雄