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『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第3章  戦端を開く  9

2007-08-31 08:02:20 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 建設担当のエペーオスは、多忙を極めた。アガメムノンの陣営、野戦治療棟の建設と立ち回っている。医師マカオンは、出来上がったばかりの治療棟で上陸の戦闘で負傷した将兵たちの治療に当たっていた。エペーオスは、統領のアガメムノンから言い渡されている、城砦の構想についても戦略立地と防御に優れた砦の建設に心配りをしていた。
 急ごしらえの陣営は、次々と出来上がっていった。10万人以上の軍団の将兵が宿営する陣営である。広大な地積を占めて造られていった。それは、トロイの海浜につながる草原一帯に市街を形成していったのである。それらの地面割りも、エペーオスの指示で割り振られていった。
 いつ何時、トロイの軍団が攻めてくるやもしれない。この防衛の任には、アキレスの軍団とアイアースの軍団があたっていた。
 アガメムノンは、落ち着いたところで軍団の将を集めて、打ち合わせを行った。
急を要する用件は、食糧調達の件であり、住民の隷属と襲撃と掠奪、そして、占領と統治についての方針と実行についての説明と打ち合わせを行った。また、戦利品の収奪と分配についても方針を説明したのである。

第3章  戦端を開く  8

2007-08-30 09:06:54 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 アキレスは、トロイ軍右翼の軍団の将と撃剣で闘っている。なかなか勝負がつかない。アキレスは、頭部をめがけて激しい斬撃を打ち込んだ。かろうじて受け止めた。うしろへ退いた。足元の石につまずき、仰向けに倒れた。アキレスは、間髪をいれず、傍らの大石を拾い上げ、頭部めがけて投げつけた。狙いたがわず、面兜をわり、頭を砕いた。とびちる脳しょう、一瞬の修羅であった。トロイ軍は浮き足立った。
 ヘクトルは、一時後退を決断した。全軍に、その指令を発した。トロイ軍は、退いていく。城壁の中まで退いていくようだ。ヘクトルには、戦闘に関する作戦計画の立案と軍団の編成、この二点について構想する時間が必要であった。
 連合軍は、後退していくトロイ軍を深追いはしなかった。上陸戦闘後、軍船を陸地に引き上げ、陣営を作らねばならない。トロイとの戦役は、いつまで続くか、今のところ、見当がつかない。トロイとの戦争と攻撃に耐えうる城砦を築く必要があったのである。

第3章  戦端を開く  7

2007-08-29 08:12:29 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 ポリス連合軍の最左翼、アキレスの率いる軍団は、トロイ軍右翼の陣の背後にまわり、この陣を包み込むように挟撃の上激しい攻撃を加えた。トロイ軍左翼は、乱れた。攻撃の様は、目を覆う残虐なものであった。
 アキレスの軍団といえば、スパルタに並ぶ強剛の戦士ぞろいである。また、この歩兵集団は、交戦技術にも優れていたのである。
 夜は明け切った。日の出が近い。
 アキレスは、太陽を背にして闘うように、戦闘立地に心配りを行いながら、陣立てに厚みのないトロイ軍の右翼を蹴散らした。だが、トロイ軍の右翼の戦士たちもアキレスの軍に、執拗に闘いを挑んでくる。
 この情況を目にしたヘクトルは、トロイ全軍を見渡して、自軍の損失を最小限とする配慮の決断をするタイミングを考えた。

第3章  戦端を開く  6

2007-08-28 07:54:01 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 プロテシオラスにトロイの戦士が挑んできた。互いに剣を手にして身構えた。土手の上のアエネアスが、これを目にした。彼は、槍をつかむや、プロテシオラスめがけて、渾身の力で投げた。槍は、プロテシオラスをめざして、空気を裂いて、飛び行く、そして、プロテシオラスの分厚い胸甲を貫いた。彼が目にしていた光景が、一瞬にして闇に変わった。彼はどっと倒れた。砂の上にのけぞって倒れた。噴出した鮮血は、砂地に吸い込まれていった。彼は、上陸一番乗りの栄誉を我が物としたが、ポリス連合軍の第一番目の戦死者にもなったのである。
 ポリス連合軍の船は、続々と着岸してくる。波打ち際は、戦場と化していった。
 怒号、喊声、雄叫び、そして、倒れ行く者の断末魔の叫び、トロイ海岸の砂浜は、夜明けのしじまを破り、叫喚の飛び交う修羅の場に転じた。海岸10キロメートルに及ぶ波打ち際を、打ち寄せる波を、海の水を、戦い倒れし者の鮮血が朱に染めていったのである。

第3章  戦端を開く  5

2007-08-27 07:43:37 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 船上の将、戦士、兵士たちは、ヒッサリクの丘の上に建っている、トロイ城市の城壁と、目指す海岸に布陣しているトロイの兵士たちの姿を目にした。彼らは、その風景を見て、思わず、己の武具を撫した。目は、獲物を狙う猛々しさでらんらんと燃えた。まさに、野生の性の原点のみの肉体と化した。
 ディオメデスの船が、アイアースの船が、そして、ピュラケのプロテシオラスの船が、先陣を争って、船列から突出してきていた。
 プロテシオラスの船団の向かう先は、トロイ シモエース川の河口であり、その右岸の砂地が、海岸線より、突き出ている彼は、その地点を目指して、乗り入れ、飛び降りた。トロイの地に、誰よりも早く着地した。シモエース川の河口は、トロイ軍のアエネアスの率いる軍団が布陣していたのである。

第3章  戦端を開く  4

2007-08-25 07:52:45 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 夜明けが迫っている。陸地に近い海上には、朝もやがかかっている。
 朝もやを通して、薄明の中に海岸が見えてきた。トロイの海岸まで、後300メートル余りである。この頃には、船団の隊列は、一列の横並びとなっている。船団は、波のひだを割って進んでいく。その風景は、猛々しい野獣の群れが、その性(さが)をあらわにして、海岸までの空間を圧している。海岸に、あと、100メートルに迫った。船団の群れから、ぬきでてくる軍船がいる。上陸の先陣争いが展開されてきた。

 まだ夜は明け切っていない。海上はもやっている。その時、風のいたずらか、朝もやが一瞬にして吹き飛んだ。
 大船団が姿をあらわにした。ヘクトルは、目を見張った。船団は、視界からはみ出していた。船団の端から端まで目が届かない。13キロメートルにも及ぶ、黒い軍船の船団のラインである。トロイ軍の布陣の散兵線より、はるかに長い。ヘクトルは、決断した。干戈を交えるのみと。そして、ギリシアポリス連合軍の上陸を待ったのである。

第3章  戦端を開く  3

2007-08-24 07:27:59 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 ヘクトルは、先ず、王のプリアモスに話を通した。プリアモスは、自国の運命に係わる大事であることを、ヘクトルとの話で強く認識した。
 即刻、隣国には使者を、側近、重臣、軍団の将に従者を走らせ、会議を開いた。
 ヘクトルの意志は、決まっていた。話し合い、相談、協議、そのような時間はない。緊急事態についての対処と手配、その指令しかないのである。
 会議の場で、ヘクトルは、トロイ軍の総大将としての命令権を宣言して、事に当たった。
 トロイ軍団の総兵数は、3万余りである。隣国からの派兵を求めて、5万~7万の兵数は、軍団として、必要な兵数であった。この兵数を確保しなければ、海岸線の防衛は、無理であり、何としても確保したい兵数であった。
 ヘクトルは、海岸線に各軍団を布陣した。兵員総数は、5万5千余りである。それでも、散兵線は、8キロメートルに及んだのだが、陣立てに厚みがないことが不安であった。

ホームラン王子 副島選手 満塁ホームランで優勝を決める。

2007-08-23 08:40:31 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
        第89回全国高校野球選手権大会

             佐賀北高校
         優勝 おめでとうございます。
              
        subisiki hipokrason  山田秀雄 

第3章  戦端を開く  2

2007-08-23 07:07:36 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 へクトルは、諜報システムを築いてはいなかった。ヘクトルの手許に届くギリシア情報は、ポリス連合が交易問題について、議決したことなどが、交易商人たちから耳にしたことぐらいであった。しかし、三日前の3月16日のことである。ギリシア ボイオチアのアウリスの港に、1000隻に及ぶ、おびただしい数の軍船が集結していたことを、トロイを訪れた、交易船の船主から、耳にしたのである。
 ヘクトルは、この大船団の意図と行く先について船主と話し合ったが、推測の域を出ることはなかった。
 18日になって、昨日、自国の軍船の船団が、レムノス島の北の海域で消息を絶ったとの報告を受けた。
 ヘクトルの勘が、敏感に反応した。大変な危機が、今、この国に迫りつつあることに、ヘクトルは、身を凍らせた。
 風雲、急を告げているといわれるが、そのような悠長な感覚ではなかった。
 トロイにとって、まさに、そこにある危機である。

第3章  戦端を開く  1

2007-08-22 08:01:44 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 パリスは、スパルタの領主メネラオスの妻、ヘレンを連れて、昨年の秋に、トロイの地へ帰ってきていた。
 兄のへクトルは、パリスのやったことについて、パリスと話し合っていた。ギリシアとトロイでは、結婚に関する考え方に違いがあること、その上、こともあろうに一国の領主の妻をたぶらかして、連れ帰ってくるなど、度の過ぎた行為であることを説いて聞かせた。
パリスは、パリスで、成り行きでこうなった、心は、暴発一歩手前の恋心、下半身は、快の欲望の堪能と、ヘレンを快の世界への誘うことで、考えにゆとりがなく、自制の眼が閉じていて、何も見えなかったのである。
 スパルタとトロイ。両国の間に、それが原因の戦争が起きたとしても、トロイとしては、その戦争を受けてたつより、他に方法がなく、戦争の大義名分は、スパルタ側にあるということになる。尚、パリスの事件とヘレスポントス海峡の通航料の話し合いが決裂しており、メネラオスとオデッセウスの暗殺も失敗しておる。
 王、プリアモス、へクトル、そして、側近の一部の者も含めて、スパルタとの一戦を覚悟しなければいけないといったスタンスで、事態を見ていたのである。