『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  323

2014-07-24 07:03:52 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、そうだ』
 すかさず、パリヌルスが答える。オキテスが声をあげて立ちあがる。
 『用材の事がある。パリヌルス、行こう』
 『おう』と答えてパリヌルスが立ちあがる。他の二人も腰をあげて、それぞれの用向きに散った。パリヌルスとオキテスは広場に積まれた用材を見た。マクロスとトピタスもその傍らに来て立った。
 『おう、お前らご苦労だったな。見たところなかなかの良材ではないか。伐り口を見たところではお前らが伐ったものではないな。これはプロのやった仕事だな』
 『はい、言われる通りです。私らが指示する、彼らが伐る。そのようにしました』
 『そうか、判った。ところで、マクロス、お前に託した一件については、ガリダの答えはどうであった。あとから報告してくれればいい』
 少しの間をおいて言葉を継いだ。
 『先ずはご苦労であった。一同を休ませろ。もう、めしの頃となる』
 『ありがとうございます』
 『マクロスにトピタス。明日、朝めしを終えたら作業開始だ。風風感知器、方角時板、それぞれの製作チーム全員、広場に集結だ。用材を用途別に分ける。そして、それぞれの製作拠点に運ぶ。それが段取りだ』
 『判りました』
 『ここにいるのは、用材調達隊隊員、全員だな』
 『はい、そうです』
 マクロスは彼らを見廻して答えた。オキテスらは彼らと目を合わせた。彼らが立ちあがろうとする、オキテスは、『そのまま、そのまま』と手のしぐさで彼らの立ち上がりを押しとどめた。
 『諸君!大変にご苦労であった。俺の考える以上の苦労もあったと思う。よく仕事をやってくれた、礼を言うぞ!ありがとう』
 彼らは託された仕事を遂行した満足にひたった。オキテスは言葉を継いだ。
 『充分に休んでくれ』
 一同は『おうっ!』と声を上げてオキテスの言葉に答えた。
 夕めしには、彼らの労苦に答える、ささやかな配慮がされていた。
 こうして多忙の一日が終わった。

 満点に星が輝いている、半月が西の空にある、月は光を散らしまいている。
 アレテスはギョリダにハシケを漕がせて、小島の岸を離れて、浜の集合地点に向かった。調査隊の隊長を除く11人が顔をそろえていた。