『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  317

2014-07-16 07:28:07 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『よしっ!それは重畳!明日は俺も早朝からここに来る』
 『判りました。お願いします』
 ドックスは作業している者たちに声をかけた。
 『今日はこれまで、これで終わる。一同ご苦労であった』
 彼らは、『おう!おう!』とドックスの言葉に答えて引きあげた。
 パリヌルスは、くすぶる焚き火の薄明かりで、タールの塗り具合と乾き具合を点検した。
 『うう~ん、まあ~、これで良しとしよう。乾きも明日の午前中で、それなりだろう』
 それから、船の中を覗き視た。すでに帆柱を保持する桁が組み込まれていた。手で触れてみ、る。力を入れて確かめた。微動もしない。『上出来だ』彼は作業の進捗を確かめて浜をあとにした。
  
 夜が明ける、朝の気配の薄明の頃合いである、パリヌルスは浜へと急いだ。改造中の小船の周りには三人の人影が見える、彼は近づいていった。ひとりはドックスである。
 『や~、君たち早いではないか、朝行事は終えたのか?』
 『いえ、まだです』
 『一緒に入ろう』
 彼は三人を誘った。四人は海に身を浸しながら朝のあいさつを交わした。ドックスがパリヌルスに声をかけてくる。
 『隊長、早ですね』
 『そういうお前も早いではないか』
 『え~え、いい仕事をしたい。仕事に対する心意気といったところだと思っています』
 『そうか、それはありがとう』
 朝行事に来る者たちが続く、小船の改造に携わっている者たちである。パリヌルスは感動した。彼らの心意気と所作に心が揺さぶられた。
 朝行事を終えたドックスは、小船の傍らに立って集まってくる者たちと言葉を交わしている。ドックスは、すでに作業結果のチエックを終えていた。彼は大方の作業員が顔をそろえるのを待って、作業の段取りを組み立てていた。
 『おう、一同、そろったようだな。皆、こちらへ寄ってくれ。今日の作業手順を説明する』
 彼は、作業について説明を始めた。
 『ーーーー。ということだ。判ったな。以上だ。急いで仕上げたから、仕事が雑だ、ということは許さん!入念、丁寧な仕上げを心がけて作業により組むこと。仕事は、太陽がこの位置に来るまでに完了させる。いいな!作業にかかってくれ』
 彼らは一斉に作業に取り掛かった。
 ドックスは浜に帆布を広げて、その上に帆柱を寝かせて横桁を組み合わせて、帆布の形を整えた。舵部の作業は、舵の保持部の取り付けも念を入れて仕上げた。