『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  ポリス連合軍 トロイへ  15

2007-07-31 07:36:05 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 三月五日 トロイ攻略遠征の船団出航の日は明けた。期待した西北の風は吹いてはいない。各船団は、続々と出航していく。エボイア島の南端の岬までは、漕走で行かねばならない。本土とエボイア島の間の狭い海域は、各軍船が漕ぐ櫂で泡立てられた。
 アガメムノン統領の座乗する軍船は、メネラオスの率いる船団であり、軍団中最多の軍船数を誇る船団であった。彼等は、寄せてくる海涛を力強く舳先で割って進んだ。
 大船団は、トロイを目指しての壮途についたのである。

第2章  ポリス連合軍 トロイへ

2007-07-30 08:17:12 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 先駆け船は、船団の入港とすれちがいに出航していった。水先案内先導船のうち2隻は、今日の出航である。船団の集結入港以来、この5日間、天候は、落ち着いていた。荒れた日がなかっただけに心配もあった。
 今日は、出航前日の三月四日である。アウリス港の空模様は、薄日が指している。南の風がやや強く、波は高めである。
 アガメムノン統領は、トロイ攻略の大勝利と航海の無事を祈願する儀式を盛大に開いた。軍団は、大喊声をあげて沸きに沸いた。
 アガメムノン統領は、大軍団の強大な力を感じ取っていた。
 このとき、水先案内先導船は、アウリスの港を後にしていった。

第2章  ポリス連合軍 トロイへ  13

2007-07-28 08:16:43 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 アウリスの港に到着した船団の第一番は、イドメネウスの率いるクレタの80隻の船団である。続いて、アルゴスのデオメデス等が率いる80隻であり、アテネを始め、ギリシア本土からの船団が、数々の島からの船団が、三日間にわたって続々とアウリスの港に到着した。最後に到着したのは、アキレスの率いる50隻の船団であった。
 三月一日、アガメムノンは、各軍団の将帥を招集して、会議を開いた。その会議の席で、アガメムノンは、トロイ攻略のポリス連合軍の統帥権を持つ統領であることを宣言した。そして、トロイ攻略遠征の海上移動及び上陸までの計画のあらましを説明するとともに、留意すべき事項、また、それぞれの役務を担った、先駆け船及び水先案内先導船が船団の出航よりも、先に出航していくことについて、説明した。

第2章  ポリス連合軍 トロイへ  12

2007-07-27 09:32:28 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 船団集結予定の二月の末日となった。
 狭い海域を吹き上がってくる南風、その風を押す中天にある陽春の日射しが波に映えている。
 集結港アウリスの埠頭に、アガメムノンと、その側近の一団が、持ち前の鋭い視線で海上を睥睨していた。この様にして、彼等が埠頭に立っている日が、今日で三日目である。
 海上を見ているアガメムノンの心は、もうすでに最終集結予定のレムノス島にあった。軍団の全戦士に、トロイ攻略の勝利の檄をとばす姿がありありと描かれていた。
 それとともに、遠く離れた戦野において、戦う軍団の風景とその姿、勝利を雄叫ぶ、我が軍団の戦士、鮮血のしぶきを噴きあげて倒れいく、敵の将と兵。それらに思いを馳せ、勝利を掌中にしていることを感じていた。
 感慨が過ぎたとき、遠望のなかに、波を掻き分けて進んでくる船団の一群が目に見えてきた。

第2章  ポリス連合軍 トロイへ  11

2007-07-26 08:19:13 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 各ポリスの領主、将帥に宛てた、アガメムノンからの使者が各自のもとに訪れた。   
          『二月末までにアウリス港に集結せよ!』
 彼等は、使者から、アガメムノン統帥からの指令を受け取った。トロイ攻略への出陣まであと一ヶ月足らずである。彼等は、気持ちを戦野に飛ばしていた。日は、駆け足で過ぎて行く。アガメムノンは、メネラオスに<先駆け船>について、意見を交わし検討した。
 先駆け船は、櫂付きの交易船2隻で編成し、二月末に出航することに決めた。そして、停泊予定港、又は、予定地に先行して、受け入れ準備を整えることを役務とした。また、この他にも、軍船団の先導役を遂行する<水先案内先導船>も軍船3隻でもって編成し、この役務遂行を指令した。

第2章  ポリス連合軍トロイへ  10

2007-07-25 09:13:03 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 年の明けたペレス領主のミルミドネスの地の寒さは、いつもの年のように厳しくはなかった。ミルミドネス領の市民たちは、トロイ攻略の軍団結成で男たちは多忙を極めていた。
 パトロクロスは、助手をつれて、領内各地で貴族、有力者、資産家を集めて、戦利品の分け前と拠出金等の打ち合わせをしたり、また、アキレスとともに4000人の市民戦士を募るのに忙しかった。一月中には、これらの仕事も終えた。そして、アキレスとパトロクロスは、二月末の出立を待ったのである。
 そうした二月初め、ミュケナイのアガメムノンから、アキレス宛に
 『二月末日までに、アウリス港に集結せよ。』
 との指令を使者から、受け取ったのである。
 アキレス宛の指令であった。アキレスは、感動で震えた。

第2章  ポリス連合軍トロイへ  9

2007-07-24 07:17:00 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 新しい年が明けた。アガメムノンは、軍団構想に多忙を極めた。
 これだけの兵数の軍団が異国の地で戦闘するわけである。彼が、考えなければならなかったことは、軍医のことであった。少なくとも医師団と呼べるくらいの医師を整えなければと考えた。
 アガメムノンは、オイカリエのマカオンに使者を使者を送った。
 各ポリスの領主に呼びかけ、アガメムノン統領の命による、100人に及ぶ医師団を結成してくれるよう指令した。
 この指令をもって、トロイ攻略軍団の結団に関する、全ての指示を終えたのである。
 あとは、船団の集結と出航を待つのみとなったのである。

第2章  ポリス連合軍トロイへ  8

2007-07-23 21:09:52 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 アガメムノンを中心に四人で研究した、トロイ遠征の航海計画の概要をまとめた。一千隻におよぶ軍船、10万人をこえる軍団の海上移動である。些細なミス、些細な不平も戦意にかかわるのである。細心の注意をもってまとめた。
 航法は、沿岸航法に留意した。夜間の航走はしない。一軍船に戦士及び兵士で80人~90人が乗船している。1日に使ってしまう食糧、飲料水等は大変な量である。その事情も充分に考慮して、航海日数を決めた。そして、最終集結港をレムノス島の北岸として、その地点までの航海日数を16日、前後二日位と決めた。レムノス島からトロイ上陸までの海上移動は、想定移動距離、交戦開始予想時間も想定して、夜間航走とした。今年の春、メネラオスとオデッセウスのトロイへの航海経験が非常に参考になったことはいうまでもなかった。
 今年も残り少ない。年明けが間もなく訪れる。
 トロイ攻略の出航まで、あと、二月余りである。

第2章  ポリス連合軍トロイへ  7

2007-07-21 11:28:35 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 アガメムノンは、ピュロスのネストル、ポィオチアのぺネレオス、そして、メネラオスをよんで、トロイへ向かう航路について研究をした。前回の遠征の失敗を繰り返さないためにも必要なことであった。
 航路については、あらゆる角度から研究した。トロイでの予想される戦場に早く到達することより、有利な戦略展開ができる条件であれば、最も安全であり、軍団に損傷なく、戦意を失わずに、予想戦場に到達することを最優先に考えると、同時に、航海途上における、食糧、飲料水、日用品等の補給、積み込みにも配慮して、航法と航路と航海日数について研究の上、立案計画したのである。