『くりぷとむねじあ歌物語』『くりぷとむねじあ和歌集』の「七の巻、名残」から、再録です。
夏のひととき、男は久しぶりに南の島を訪ね、育った島の浜辺から、生まれた島影に夕日が沈む、懐かしい情景を見ていた。波うち際の近くにいたからか、あるいは潮が満ちてきていたのか、夕日を写した海面が膨らんで、金銀の波がつぎつぎに寄せてきた。このまま海に呑み込まれそうだと思いながら、男は「生まれた島の水に沈むなら、何も思い残すことはない」という、懐かしく嬉しい気がした。
ひたよする しきなみのむた いりひかげ しままにゆるる しおみつのはま
ひた寄する しき波のむた
入り日影 島間にゆるゝ
潮満つの浜
(潮が満ちてくる砂浜の波うち際の近くにいると、島影に沈もうとする夕日を写した海面が膨らんで、定めなく揺れる金の波、銀の波が、つぎつぎに寄せてきました)
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日守麟伍ライブラリ
くりぷとむねじあ歌物語
くりぷとむねじあ和歌集
古語短歌への誘い
夏のひととき、男は久しぶりに南の島を訪ね、育った島の浜辺から、生まれた島影に夕日が沈む、懐かしい情景を見ていた。波うち際の近くにいたからか、あるいは潮が満ちてきていたのか、夕日を写した海面が膨らんで、金銀の波がつぎつぎに寄せてきた。このまま海に呑み込まれそうだと思いながら、男は「生まれた島の水に沈むなら、何も思い残すことはない」という、懐かしく嬉しい気がした。
ひたよする しきなみのむた いりひかげ しままにゆるる しおみつのはま
ひた寄する しき波のむた
入り日影 島間にゆるゝ
潮満つの浜
(潮が満ちてくる砂浜の波うち際の近くにいると、島影に沈もうとする夕日を写した海面が膨らんで、定めなく揺れる金の波、銀の波が、つぎつぎに寄せてきました)
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