自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

マンサク,そして昆虫(7)

2016-02-20 | マンサク

先頃の記事『マンサク,そして昆虫(4)』で取り上げたトビケラ(ニンギョウトビケラ?)に関連する話題です。

その後,このトビケラを再び目撃しました。翅を見て「あっ!」と思い,行動を見守ることにしました。はじめは,頭は見えませんでした。 

 
しばらくすると,花の向こう側を回ってこちらに出て来ました。そのとき,ちょうど頭部が見えたのです。

 
頭の格好といい,毛に覆われたからだといい,まちがいなくあのとき見かけたトビケラのなかまです。

目を凝らすと,頭部には花粉がどっさり。これはマンサクの花粉だと思われます。もしそうなら,花に頭をぐっと差し入れて蜜を吸っていたのだろうと推測できます。ということは,マンサクにとってこのトビケラは歓迎すべき送・受粉者ということになります。

後日,同じ昆虫を見かけました。頭部には目も含めて花粉がたくさん付いていました。やはりマンサクはお気に入りの採餌場所だったのです。


観察の積み重ねが真実を解き明かしていきます。一回目の観察よりも説得力のある事実が見えてきたお蔭で,「なるほど!」と合点がいきかけました。このトビケラにこころより感謝。ありがたいことです。

 

 


実を生(な)らそう! ジャガイモのプランター栽培(1)

2016-02-19 | ジャガイモ

ジャガイモの果実について,わたしは殊のほか関心があります。これまで,本ブログ記事でも「ジャガイモ」カテゴリーを設けてたくさんの記事を書いてきました。まだ完結していない記事があって気になっているのですが,それはいずれ書くとして,これから新たなジャガイモ栽培シリーズを始めることにします。名付けて『ジャガイモのプランター栽培』です。もちろん,栽培経過を同時進行で記事にしていきます。もしよろしければ,わたしと同じように試みられてはいかがでしょうか。お子さん,お孫さんとご一緒にされるのもこころに残る体験になるかもしれません。そのお誘いから,このシリーズ記事を始めます。

「ジャガイモにミニトマトの実が生(な)った?」という話題が新聞紙上で紹介されたり,「ジャガイモの種子を蒔くとほんとうにジャガイモができるのか」という質問に出合ったり,とにかくジャガイモについては“ふしぎ”を欠きません。そんなふしぎを自分で解き明かしたくて,栽培実験にずいぶんのめり込んできました。

今回は,プランターでの栽培を通して花後に実が膨らむ様子を直に観察しようという点が栽培の柱になります。これはベランダでの栽培も想定しています。プランターで栽培するのですから,いたって容易です。世話も簡単。ただ一つ注意しなくてはならないのは底の深いプランターを準備することです。その他,プランター代わりにポリバケツや用土用ビニル袋を使っても栽培できます。しかし,ここではそれらについは取り上げません。

実を必ず生らせるには,実がほぼ確実にできる品種を植え付けることが最大のポイントになります。メークインや男爵といったお馴染みの品種ではまったくダメです。それらは,品種改良によって実が生らない性質を獲得してしまっているのです。それで,わたしがお奨めしたいのはホッカイコガネです。これだと,気象条件や土壌といった環境とは関係なく,まず100%結実します。品種改良を繰り返されてきたものの,実が生りやすいという性質は消えていない品種なのです。

 


しかし,たったひとつだけ大きな壁があります。それは,ジャガイモが自家不和合性という性質をもっていることに関係あります。この性質は同じ品種のジャガイモの花粉がメシベに付いても,実ができないというものです。ホッカイコガネの花粉がホッカイコガネのメシベの先に付いても実はできません。これは植物が基本的に近親交配を避ける性質をもっていることによります。したがって,たとえばプランターを複数準備してホッカイコガネをたくさん植えても結実しないのです。この壁をいかに乗り越えるかが栽培ポイントになります。そうならないようにするには,別の品種の花粉が昆虫によって運ばれてくるような環境を準備しなくてはなりません。

壁を乗り越えるには,2つの手があります。1つは比較的近くにでも他品種を植えたジャガイモ畑がある環境かどうかチェックする,ということです。あれば,訪花昆虫が受粉を手伝ってくれるでしょう。なければ,開花する頃に条件のよいジャガイモ栽培畑を探してプランターを置かせていただけばいいでしょう。もう1つは,多品種の花を栽培者からもらって来て昆虫に代わって自分で受粉を試みること,つまり人工授粉することです。花はいくらでももらえます。無駄花なのですから。ただ,栽培種は花粉ができにくいように改良されているので,花粉がありそうかどうか確認してみなくてはなりません。

いずれにしろ,もし結実しかけたら,これは相当に刺激的な話題になるでしょう。逆に万一結実しなかっても,がっかりしないでください。ジャガイモがしっかり収穫できますから。大きなイモがたくさんできるので栽培のし甲斐があります。というわけで,誘いにのられる方は,どうぞホームセンターあたりでホッカイコガネのタネイモをお買い求めください。今,いろんなタネイモが販売されている真っ只中です。

畑で露地栽培される方も,実を生らせたいと思われる場合はホッカイコガネを入手してください。味は大丈夫。メークインに劣りません。実が生ったからといって,「イモが小さめになるのでは?」「収量が減るのでは?」という心配もまったくご無用です。生っても,イモが目に見えて小さくなるなどということはまったくありませんから。収量にも大きく影響することはありません。実もイモもたのしめます。

植え付け前の作業については,次回のシリーズ記事でご紹介します。

 


久しぶり! ターザンごっこ

2016-02-18 | 随想

異年齢の子らが群れて遊ぶ,小さな冒険を試みる,そうした活動は子どもの目線で考えてみればわくわくする体験にちがいありません。継続した体験は,どこかで,なにかで生き方に刺激を与えるような気がします。それはからだに,またこころの底にまで沁み込む深さを持っているからだと思うのです。

わたしが子どもの頃,大きな沼に張った厚い氷の上で,スケートもどきの遊びに興じた記憶がくっきり残っています。氷の厚さは10cmはありました。近所のなかまと誘い合って,冬の真っ只中,出かけて行ったものです。滑っているうちに,ミシミシとひびが入り始めることも。そんなときは,「そこには近づくな!」と注意し合ったものです。それでも,たのしくって安全なところで遊び続けました。今なら,そんな冒険遊びは禁止事項に入るかな。とはいえやっぱり,群れるたのしさ,冒険心,危険への察知力,そんなものが身に付いた気持ちがします。

ターザンごっこもこうした遊びの部類に入るでしょう。広葉樹の森林なら,木に巻き付いたフジの蔓を探して,ぶら下がって遊ぶところです。それを想像するだけで,どんなにわくわくすることか。フジがないなら,ロープを枝に引っ掛けてやればよいのです。それだけで,いくらでもたのしめます。

以上のような気持ちを抱きながら,久しぶりに,探検活動で森林に入ってターザンごっこをしました。

ブランコを作って,みんなで揺らします。乗った子の気持ちになり切って,タイミングを見ながらロープを引いたり放したり。そうしないと,滑らかな揺れにはならないのです。

 
ぶら下がるのも手助けがいります。思いやりや頼りがいが垣間見える場面です。

 


大きく揺れて,揺らして,遠くに飛び降ります。真下は“ワニ池” があって,ワニがあなたを狙っていると想定した挑戦。「ぎりぎりセーフ!」「やったね」なんていい合って,雰囲気が盛り上がります。

 


軽々と池を飛び越える,勇敢な女の子。「ヤッター!」。喜びがはち切れます。 

  


サポーターのお母さんも挑戦して,成功! みんながチャレンジするおもしろさを感じとりました。理屈抜きのおもしろさです。体験こそがすべてです。

締めくくりに紹介し合った,この日の五七五ことば遊びは次のものでした。

  • ターザンごっこ 楽しいけど こわいな
  • ターザンは 落ちて転んで たいへんだ
  • こわいけど 意外に楽しい なぜだろう
  • 山行って すごいブランコ ターザン遊び
  • ターザンで 振り回されて しんどいな  

 


ロウバイの花と昆虫(12)

2016-02-17 | ロウバイ

今冬のロウバイは,ほんとうに中途半端な開花ぶりでした。暖冬傾向が続いた後,寒波が何度かやってきたために,開きかけた花や蕾が急に成長を停止。それで,そのまま萎み始めました。なかには,もうカビが生えかけているものもあります。こんなわけで,今冬は期待していたようには訪花昆虫に出合えませんでした。残念。 

 
名残り惜しそうに,最後まで訪れるのはやっぱりツマグロキンバエ。どこまでも関心があるようで,こんなに花粉が付着しています。


別の個体が花の上にいて,脚の掃除をしていました。掃除をしなくてはならないほどい,花粉まみれです。 

 
花粉がほとんど付いていない個体が,静かに,日を浴びていました。コンデジでこれだけ細かく撮れると,ついついうれしくなります。眼の個眼や,からだを覆う無数の毛。それらが手に取るように見えて,見応えがあります。光の方向が幸いしました。

 
今年は実の結びが芳しくないかもしれません。その経過もまた今後の観察対象になります。

今回でひとまず,本シリーズは終了とします。 

 


マンサク,そして昆虫(6)

2016-02-16 | マンサク

2月11日(木)。晴れ。最低気温-3.7℃,最高気温12.5℃。驚きました。なんのことかといえば,マンサクにニホンミツバチが訪れたのですから。たった1匹なのですが,初めて目撃しました。感激! ニホンミツバチはセイヨウミツバチと較べて耐寒性が強いといわれているだけに,今来てもふしぎではありませんが,冬の今にしてはやはり珍しいと思います。

花が数輪かたまって咲いている,たった一カ所だけで,夢中になって口吻を伸ばしていました。 


1つの花が終わると,隣りの花に移っていきました。そこでも懸命の姿。わたしが至近距離にレンズを近づけてもまったく気づいていない様子です。 


そこが終わると,また別の花に。脚先のかぎが花弁や萼(がく)に突き刺さってからだを支え続けます。 


花を順次巡って,そうして蜜を集めていきます。 


一通り終わると,枝を歩いて離れたところにある花に移っていきました。そこでも,蜜集めに勤しみます。この写真を撮り終わった瞬間,ミツバチはプイッとどこかに消えて行きました。


ミツバチが近くに棲んでいるのなら,そして活動期なら,なかまに知らせるはず。他になかまを見かけなかったことからすると,どうやら遠くからやって来て偶然マンサクの花を見つけたのでしょう。このミツバチは幸運です。

わたしもタイミングよく意外な訪問者に出合えて,ハッピー! 

 


クロヒラタアブ,1月の卵(もっと)

2016-02-15 | ヒラタアブ

2月12日(金)。早朝のことです。幼虫にアブラムシを与えようとして,様子を見ると,なんと大きな幼虫に大変化が! かたちが丸みを帯びて,前とはずいぶん変わっていました。つまり,囲蛹に変態したというわけです。昨日はまだ幼虫態でしたから,昨夜から今朝にかけて蛹化したと思われます。孵化したのが1月8日の夜。その日から数えて,35日目の蛹化です。

貴重な記録なので,画像でご紹介しておきます。

風船のように膨らんだからだつきです。体長は7mm。尾端でからだを固定しています。色は薄く褐色が複雑に入り混ざった感じがします。今のところ,透明感があり内部器官が一部見えます。


やや上から見ました。いわゆる正中線が走っているのがわかります。


下側から見上げる感じで撮りました。ほんとうによく膨らんだものです。今から,からだの中では劇的な大改造が進行していきます。イモムシが,空を飛ぶ機能をもつからだに変身するには,簡単な変化ではとても無理なのです。 

 
土台になっているホトケノザは,根がないので枯れていきます。葉が枯れても,もちろん囲蛹には影響ないでしょう。下写真は夕方に撮ったコマです。体色が濃くなりかけているのがわかります。


さて,いつ頃羽化するでしょうか。このカプセルから,成虫がスルスルと出てくる光景を目撃できたら感動ものでしょう。しかし,そううまくいくとは思えません。マアできないことを前提にして,せめて変化だけでも追っていきたいと思います。

一方,もう1つの幼虫は下写真の状態です。これも,近いうちに同じ変化をたどるでしょう。

 

 

 


ロウバイの花と昆虫(11)

2016-02-15 | ロウバイ

2月1日(月)。小さなカメムシが訪れました。体長は5mm足らず,背はまだら模様。ケブカカスミカメです。ふつうは春以降に現れるカメムシらしいので,かなり早い時期の出現といえます。匂いに魅了されて来たのでしょう。カメムシにとってロウバイは大き過ぎるほどの大きさです。もちろん,匂いも強烈なはず。


もう花汁を吸い終わって満腹状態だったのか,花から出て来ました。そうして,花弁上で静止。 


このあと,どこかに消えて行きました。

こういう昆虫は,よほど気をつけて見て行かないと目に留まりません。ロウバイの花はほとんどが下向き加減に咲くので,見上げるようにして虫探しをして,やっと見つかるのがこの大きさの昆虫です。

ロウバイは既に花盛りを過ぎて,どんどん萎んでいます。今冬はそう多くの昆虫を期待できそうにありません。残念。

 


冬,ホシノヒトミと訪花昆虫(続々々)

2016-02-14 | 昆虫と花

本日付け記事は,本記事で3つめです。複数のトピックを取り上げるのはよくあること。それでも3つになるのは珍しいことです。しかし今日だからこそ意味があるという内容なので,敢えて書いておこうと思います。

今日2月14日は日曜でしたが,勤務施設で児童向けプログラムを実施。それで出勤しました。終わって昼休み,寸暇を惜しんでウォーキング。行きは速歩,帰りは鈍行。暖かいので,ホシノヒトミ群落でたぶん新しい事実と対面できるだろうという期待感を抱いていました。結果は“期待どおり!”,でした。先に「暖かい」と書きましたが,なんと最低気温が10.9℃で最高気温が19.1℃だったとは!


いつものハナバエはあちこちで。おまけに,ホソヒラタアブもあっちやこっちで。しかし,風が強めだったので被写体が揺れ,画像はさっぱり。なにしろ関東地方では春一番が吹いたというほどですから。

群落を見て行くうちに目に入ったのがクロヒラタアブ。全身が撮れたらよかったのですが,からだの位置関係からそれは無理でした。それでも,状況証拠にはなるでしょう。

 
別の群落で見かけたのがヒメフンバエ。さらに別の群落でももう1匹。体長10mmのからだが花に乗ると,花が重そうにしなりました。「今日だからこそ意味がある」とは,冬の今,こうした昆虫が気温の変化に応じて活動を始めるということです。四季をとおして導き出される<きまり>は,「昆虫(成虫)の活動は気温次第,天気次第」といったところかな。


ついでに1つ。群落の脇に咲いていたのが在来種のタンポポ。そこにとまっていたのがタネバエ。花に興味があって訪れたのかどうか,それはわかりません。ただ,カンサイタンポポが冬に咲いていて,もしかすると受粉・送粉に貢献しているのかもしれないと思うと,スゴイ話だなあとついつい感じてしまいました。

 

 

 


クロヒラタアブ,1月の卵(さらにさらにさらに)

2016-02-14 | ヒラタアブ

2月8日(月)。ホトケノザの群落で幼虫の餌アブラムシを探しました。何本目かでアブラムシのたくさん付いた茎を手にしました。それでよく見たら,なんとクロヒラタアブの幼虫が付いていたー! 飼育中のものより一回り小さい個体です。これも併せて飼うことに。

さっそくアブラムシを食べていました(下写真の左)。大した食欲です。自然の摂理なので,ありのまま受けとめるほかありません。

 


2月10日(水)。あとで入れた幼虫がちょうど食餌中でした。アブラムシの脚が重なったように動いているのは,じっさいに動いた姿を重ねて合成写真にしているからです。


やがて幼虫はアブラムシを放しました。見ると,アブラムシの体液はすっかりなくなっていました。旺盛な食欲ぶりが窺えます。これもまた自然の摂理です。 

 
時間が経ってから見ると,同じ茎にいて,両方とも茎を抱え込んでじっとしていました。写真では上が大きい個体,下が小さい個体です。

 

 


マンサク,そして昆虫(5)

2016-02-14 | マンサク

2月11日(木)。マンサクにもツマグロキンバエがやって来ました。ほんとうに環境への適応力が優れた昆虫だと感心します。どんな花でも,低温下でも,いちばん目立つ気がします。


腹部が見えたので「あっ,来ている,来ている」と思って見ていると,歩いて脇の枝に来ました。落ち着いたもので,レンズを近づけても逃げる気配はありませんでした。 

 
日が当たっている別の花で,ツマグロキンバエが蜜を舐めている最中でした。こういう姿を至近距離から撮るときは,ほんとうに慎重に,一瞬呼吸を止める気持ちでカメラを近寄せます。このときはコンデジを手にしていました。ぶれないように,左手で枝を持ち,その左手にカメラの角を乗せるよにして固定状態にします。こうすると,カメラはまず動きません。

 
幸いツマグロキンバエは,ひとところにかたまっている花から移動せず,蜜を舐め続けました。一つの花が終わると,すぐ隣りの花へ移り,そこからまた隣りへ,そしてまた戻って来る,そんなふうにじつに丁寧な食餌のしかたでした。それで,わたしも腰を落ち着けて撮ることができたのです。

 
アングルにしても,前もあれば,真横から,そして後ろから,といったふうにいろんなチャンスをものにできました。

 


このツマグロキンバエには感謝! これも巡り合いというものかと思われます。