2回目の今回は,花をさらにくわしく解剖してみようと思います。しかし,顕微鏡で覗くわけではないために,おのずと限界があります。
花が開きかけたときに,やや斜め上から写しました。オシベの葯から花粉がこぼれかけています。真ん中にあるのがメシベで,薄っすらとした複数の柱頭が見えます。オシベより短めなのですこしわかりづらいかと思います。すでに他の花から花粉が運ばれて来て受粉が完了していれば,タイミングはばっちりというところです。
十分に成熟した花を覗いてみます。もう受粉が終わった段階です。オシベがメシベを取り囲んでいます。このときに,訪れた昆虫のからだに花粉が付き,他の花のメシベに届けられるのです。手前のオシベを取り除くと,メシベの形状がよくわかります。下は結構太り気味,先端の柱頭はぼやっとした感じです。
オシベをすべて取り去ると,メシベの先の様子がすこしわかってきます。なんだか広がっているようです。花粉を受け入れやすいようにできていると考えられます。
オシベの付いた状態で,メシベの中を見てみましょう。縦方向に切って,断面を観察します。すると,根元辺りの膨らんだ箇所(子房と呼ばれる赤ちゃん部屋)に胚珠(タネの赤ちゃん)が数個詰まっているのがわかります。それぞれの胚珠からは,棒状の組織“花柱”が柱頭に向かって伸び,束状になっています。複数の先端が寄り添ったこのかたちは,受粉時,花粉が付着しやすいのでしょう。
花を解剖すると,昆虫と花との“切っても切れない関係”がより深く見えてきます。その目でロウバイを訪れる昆虫を観察すると,昆虫の生態がさらに興味深くなるように思います。