自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

野草紙づくりの取材訪問

2015-10-14 | 日記

10月13日(火)。晴れ。

東京からお客様(雑誌編集者/Kさん)をお迎えしました。野草紙づくりを取材するために,はるばる来られたのです。

取材は紙づくりの工程,漉き道具づくり,作品群についての聞き取り等,時間をかけて行われました。野草紙づくりに込めるわたしの願いがじゅうぶんお伝えできていたらいいのですが……。

本ブログで“野草紙”のカテゴリーを設けて,いくつかの野草・野菜等から紙をつくる報告を重ねてきました。これを始めたのは今春からです。じつは,これまでKさんとメールでやりとりするなかで,「あれは紙にできないか」「これはできないか」という質問をいただきました。それに対して「大丈夫。できます」「さあ,どうでしょうか」「不安だけど,やってみましょうか」というふうにどんどん発展していって,その結果を記事にしてきたというわけなのです。

草のからだを物理的に支えている主役はセルロース繊維です。それが取り出せれば,どんな草からも紙がつくり出せます。もちろん,からだの部分や時期による制約があって,よく吟味してかからないとダメなのですが,総論としてはすべての草が紙になりうるといい切れます。

ここでわたしが脳裏に描いている野草紙は,純粋な単一繊維からつくる紙です。業界用語でいえば生紙((きがみ。生漉き紙)です。けっして他の繊維を混ぜず,表面加工もしないものです。混ぜれば,至極簡単にほどほどの質をもった紙が,どの草からもできます。そうした実用的な紙という視点をとりあえず捨てて考えています。

理由は簡単です。植物そのものの生活形なりくらしぶりなりと関係づけ,草を友だちにできるようなレベルで紙づくりのたのしさを味わいたいからなのです。「チカラシバは根が土をギュッとつかんで,たくましく生きている。茎は細いが,強靭だね」「オヒシバは叢生形で踏まれ強いかたちをしている。太すぎないうえに,しなやかな繊維をもっているから茎が折れないんだね」というように,生態を念頭においた解釈を試みることができます。

さて,今日の取材が実り多いものになっていればわたしとしてはうれしい限りです。これで一連の野草紙づくりの一区切りとします。これからはゆっくり,のんびり,紙を漉いていこうと思っています。その様子については,折に触れて記事にしていくつもりです。なお,まだこれまでの記事のストックがありますので,しばらくは今の調子で記事をアップしていきます。

以下は付記です。取材中にアゲハの庭園でヤマトシジミの交尾を見かけて,写真に収めました。下のものです。格好がスゴイので載せておきます。懸命さが伝わってきます。取材日のメモリー写真になりました。

 

  


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