自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ロウバイの花(前)

2015-02-19 | ロウバイ

わたしが観察しているロウバイはソシンロウバイと呼ばれている品種です。まだ,花の中身をきちんと確認できていないので,この際記録しておこうと思います。

褐色をして外側を取り巻くように位置するのが萼(がく)。その内側では,花弁(花被片)が蕊をしっかり守っています。花弁が開き始めています。同時に,中心部のメシベを取り囲んでオシベが開き始めました。しかし,葯にはまだ花粉は見えません。中心にあるメシベを見ると,先(柱頭)が複数に分かれています。この形状によって,受粉確率が高まります。

 
基本的には,どんな植物も一つの花の中で受粉が完了してしまう“自家受粉”を避けようとします。それは,近親結婚を避けるしくみ。種としての多様性を将来に向けて残すのに,とても不利なためです。結局,オシベが開いているときは,メシベだけが「お先に」という具合に熟しているのです。これを雌性先熟と呼んでいます。

したがって,上写真では,メシベは花粉の受け入れ可能な状態,オシベは送粉の準備がまだできてない状態です。このとき,昆虫がロウバイの他の花(理想的には“他の株”!)から花粉を運んできて,受粉が行われます。これが受粉の第一ステップ。

その後,オシベがメシベを包み込むようにして密着します。と同時に,オシベ先にある葯からが吹きこぼれます。


さらに近寄って撮影しました。 


もっと近寄って撮影。花粉が外側に向かって,出ています。ここに昆虫が訪れたら,花粉がからだに付着して,別の花のメシベに運ばれていきます。 


以上の様子を横から見てみます。オシベがメシベを包んで……。

 
やがて,花粉が出てきて……。


もちろん,同一の花の中でオシベの花粉がメシベに付くことは十分考えられます。先に近親結婚を避ける巧妙なしくみについて説明しましたが,じつは,自家受粉によっても種子ができるのです。理由は,昆虫が訪れなかった場合を想定すれば理解できます。最悪の場合でも,同じ花の中で受粉が完結して種子をつくるという保険が掛けられていることによります。子孫を残すための最低保障。これが受粉の第二ステップ。

以上をまとめると次のようになります。「まずは,近親結婚を避ける受粉で。それでもダメなら,近親結婚を受け入れる受粉で」。ほんとうに,ロウバイは巧みな作戦を身に付けています。びっくりです。 

 


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