自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ジャコウアゲハ観察記(その276)

2013-09-24 | ジャコウアゲハ

ジャコウアゲハの羽化は何度も取り上げてきました。それは,わたしが被写体にしたい最高場面の一つであり,ジャコウアゲハ自体がたいへん魅力に富んだ昆虫であることによります。この記事で276話を数えることになりました。同じような記事内容はいくつもあったでしょうが,やっぱり飽きが来ないのですね。

『アゲハの庭園』は変化が毎日のように続きます。ウマノスズクサの脇に竹を立てておくと,蛹化するのにちょうどいい場所と思うようで,終齢幼虫がたくさん登ります。登って,そこで蛹化するのです。

その竹を適当な高さで切って,家に持ち込みます。それを写真に撮るわけです。これを繰り返していると,変化が気軽に観察できます。今では,以下2時間前には予知できます。蛹の色が変わってくるといいながらも,ルーペで見ると,変化が段階的に生じていることがわかります。最終段階になると「これで2時間以内には羽化だ」と予想がつくのです。

下写真は殻と,間もなく生まれてくる成虫との間に空気層ができています。滑らかに出てこれる準備がととのったと見分けられます。

レンズを覗いていると,ほんの数秒だけブルブルッと震える瞬間があります。ゆっくり出てくる成虫もあれば,スルスルッと流れるように出てくるものもあります。後者の場合は,シャッターチャンスを逃す恐れがあるので,要注意です。

出ながら,口吻を伸ばしたり元に戻したりします。

ギュッと縮まっていた翅はまだ縮まっています。翅脈に液がすこしずつ注ぎ込まれていきます。翅がきちんと開き切るということは飛翔能力を得るのに,とても大事な点です。 

この個体はゆっくり型でした。小さな殻に,こんな器官が詰まっていたのかと思えるほどの感慨を覚えます。眼も脚も口吻も触覚も,そして翅も。からだを覆う毛は,殻を通して見えていたとおりのものです。

この成虫が産んだ卵が,今秋,幼虫となり蛹となって越冬します。そうした変化を庭園で観察しながら,季節の移り変わりを感じることになります。 

 


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