ジャガイモの花を,すこしだけ解剖学的な目で見ておこうと思います。
日の光をいっぱいに受けて,花弁を精一杯開いています。反り返っている感じがスゴイところ。自分の存在を思いっ切り虫たちにアピールする姿でしょうか。じっくり見ると,なんと優雅が花かと思えてきます。それが数輪,束になるようにかたまって咲いているのです。
萼(がく)の数は5。花弁も5。この花の基本数は5であることがわかります。
オシベも5。メシベはオシベより飛び出しています。もちろん,自家受粉を避けるしくみなのでしょう。
萼と花弁を一部取り去って,花の中を覗いてみましょう。オシベの葯はかなり長いなあという印象を受けます。これだけ長い葯なら相当に花粉が蓄えられているだろうと思うのに,花粉が吹きこぼれているという感じを抱いたことがありません。品種改良によって退化してきた結果なのでしょうか。もしそうなら,アンデスに生えていると原生種にはあふれんばかりの花粉があるはず。
オシベを2本取り除いて,メシベの根元,子房を見てみました。花のしくみの典型例のように,ちょこんと子房が収まっています。
子房を縦切りにします。種の赤ちゃん“胚珠”が詰まっているのがわかります。
さらに,近寄って撮影しました。胚珠が泡のように見えています。多いものでは300個を超します。
ジャガイモも,ごく普通の種子植物なのです。