ふしぎなことがあるものです。ヤマトシジミの幼虫とアリとの共生関係はよく知られた話。そこにシロツメクサの花が加わると,どうもわかりづらくなります。ヤマトシジミの幼虫の食草はカタバミがふつうなのですから。
植木鉢にシロツメクサを植えています。これはモンキチョウの幼虫を観察するために昨年に準備したもの。それが育って匍匐茎が鉢から外に伸び出しています。その茎に花が咲いて,その花に幼虫がいたのです。アリがたくさんいるので,変だなあと思って見てみるとヤマトシジミ(?)の幼虫だったというわけです。でも,?印を付したように,「そうではない」という思いが強くしています。
アリは4匹も5匹もいました。よほど幼虫の分泌する蜜がお気に入りのようです。指を持って行こうと,ちっともお構いなしという感じです。
よくよく見ていると,幼虫の口の辺りが動いているように見えました。それは,なんとなく花弁を食べている動きらしいのです。でも,ヤマトシジミの幼虫がこの花弁を食べるなんて聞いたことがありません。それに,この鉢には肝心のカタバミは1本もなく,シロツメクサでいっぱい。
時間が経って夕方になりました。幼虫は花茎を伝って鉢に向かっていました。歩いている最中も,アリたちが盛んにからだに触れていました。
それまでいた花を見ました。やはり花弁がごっそりとなくなっています。確かなことはいえませんが,わたしには幼虫が食したとしか思えません。
「それでも」と思い,調べてみると,シジミチョウのなかまであるツバメシジミやシルビアシジミの幼虫がシロツメクサを食べるのだそうです。ということは,……。羽化に至るまで飼育する価値があります。