自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

モンキチョウ,卵の死

2016-07-06 | 昆虫

いのちのいずれの段階でも,そこを無事に通過していくと

いうのは生きものにとって,なかなかむずかしいことだと思われます。その最初の試練が産付された卵が孵るかどうか,です。

観察をしていると,卵のまま色が変わって行ってそのまま死を迎える,すっかり萎んでいのちが停止する,そういう例は珍しくありません。アゲハやジャコウアゲハの卵はたくさんありますから,それに応じてよく見かけます。卵を特定して観察を続けているとき,そのような事態になると,とてもがっかりします。

いのちはそれなりに,きびしく淘汰されていくものなのだと割り切って見ていくと,「なるほどなあ」と改めて感じさせられる例に出くわすことがあります。モンキチョウの未孵化卵を例にしましょう。

ミヤコグサで見かけた卵。1枚の葉に卵が2個,隣り合って産み付けられていました。そのいずれもがぺこんとへこんで,縮みかけです。

 
撮影角度を変えて撮ると,そのことがよくわかります。それに,中身がいかにもつぶれた感じがします。こうなっては,もうおしまいでしょう。


まだあります。赤みができているのは,ここまでいのちが続いていた証拠。結局,このまま干からびてしまいました。


まだまだあります。殻がへこんでいるのは,柔らかいうちに縮まったことを物語っています。幼虫が外に出る前にこうなったのです。出てしまえば,透き通った薄い殻が残るだけです。

 
調べているうちにわかってきたのは,ダニなどの外敵に襲われ,中を吸い取られるということです。これだけが原因ではないでしょうが,無事に生まれても自然の摂理にしたがってどんどん淘汰されていきます。もともと生まれ出ることのできない宿命を背負ったいのちが,このように存在します。厳然とした事実なのです。

 


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