我が家のスダチの木で,驚くような光景を見かけました。
スダチにはアゲハのなかまが盛んに産卵します。そこでくらしているのは,アゲハをはじめアリやらヒラタアブの幼虫やら,アブラムシやら狩バチやら,たくさん。よく観察していると,いのち相互のかかわりが多様に展開されているのがわかります。毎日通りかかるところなので,気にさえしていればネタが途切れることはありません。
8月末のこの日は,アゲハの終齢幼虫がアリの群れに襲われているのを見かけました。目の高さにある葉で起こっている事件だったので,いっそう目に留まりやすかったのだと思います。発見したときは「わぁーっ!」とびっくり。そんな光景はまずありませんから。
もちろん撮影することに。
近寄ってみると,その獰猛さが伝わって来そうな。
事件の始まりはどんなふうだったのでしょう。アリが攻撃的に噛みついたのでしょうか。幼虫のどこかに傷でもできていて,噛みつかれやすかったのでしょうか。終齢幼虫ですらこんなふうに被害に遭うのですから,卵から成虫になるまでずっと多難なはずです。それを見越しているかのように,一頭のアゲハが産む卵の数がきまってきます。その数およそ200個といわれています。この数から考えると1~2%程度が成虫になれば種が維持できると思われます。逆にいえば,98~99%は生きているどこかの過程で死を迎えることになります。
そうはいっても,目の前で宿命のごとく一つのいのちが絶えるのを見るのはさびしいものです。