goo blog サービス終了のお知らせ 

自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ロウバイの花と昆虫(2)

2016-01-04 | ロウバイ

年が明けて,いちばんに見かけたのがツマグロキンバエ。芳香に誘われ,さっそく訪れたのです。花弁にいて,しばらくして花の中へ。そして口吻を伸ばして,ペタペタと蕊先を舐め始めました。 


すこし移動して,そこでもペタペタと。 

 
開花した花はまだ数輪。一つの花でていねいに,丹念に栄養を補給している様子。


時間が経ってから,再び見るとごく小さなハエが一匹。体長3mm程度です。 

 


花の中に入ったときを写したかったのですが,ちょっと入っただけで出て来るとは! 残念。この日,もう一匹見かけました。

 


なんだか,今冬もこのロウバイでいろんな物語に出合えそうな予感がしています。 

 


ロウバイの花と昆虫(1)

2015-12-30 | ロウバイ

12月25日(金)。晴れ間が出たかと思うと,曇ったり,急にしぐれてきたり。とにかく変な天気です。陽が射したとき,前栽のロウバイを見ると,なんと花が数輪開きかけていました。つまり,今日が我が家での初開花日というわけです。昨冬と比べると1カ月も早い開花です。今冬は暖かいので,きっちりその影響が現れているように思われます。


しばらくしてから再び見ると,花のなかにヒラタアブらしき昆虫が入っていました。近寄ってみると,どうやらホソヒラタアブのよう。うれしくってアップ写真を撮りました。このコマ,ばっちりクリスマスプレゼントになりました。


ロウバイの花弁はくっきりとした黄色。それにかすかな芳香が合わさって,ヒラタアブのような小昆虫の目にも際立って見え,嗅覚をもくすぐるのでしょう。

冬の花はほんとうに限られています。そこを訪れる昆虫もわずか。タイミングよくその現場を目撃できれば,しめたもの。じつは,ロウバイもマンサクもわたしのフィールドステージなのです。これから3月にかけて,観察・発見が続きます。自然はどんな贈り物を準備してくれているのか,興味津々です。

そうそう。この日はもう一つ自然からビッグプレゼントがありました。クリスマス日と満月日が重なりました。38年ぶりということです。見事な月景色でした。 

 


受粉後のロウバイ

2015-04-07 | ロウバイ

3月30日(月)。ロウバイの花に変化が起こっています。うまく受粉した花では,子房が膨らんできました。受粉できなかった花は散り落ちてしまいました。

雨上がり,ハエが花のすぐ脇にいました。どうやら,甘味成分を感じて訪れた様子です。

 
4月6日(月)。花弁はすっかり枯れ落ちました。子房が膨らんで実が形成され,取り残された萼がまだしばらく実を保護し続けます。

 


束になっていたメシベの軸“花柱”がバラけてきました。そして,その先“柱頭” が枯れ落ちていきます。

 


実を開いてみると……。 

 

 
順調に胚珠がすくすく種子に育っていく様子が窺えます。種子の長さは5mm,個数は8。

 


今年のロウバイ(12)

2015-03-09 | ロウバイ

このユスリカのなかまは,マンサクでは頻繁に見られるのですが,ロウバイではめずらしいぐらいです。好みではないのでしょうか。

それでも,このときの格好からは,結構熱心に餌を口にしている様子でした。 

 

 
からだに花粉が付いていることで印象深いこのユスリカ,このときはそれがまったく付着しているように見えませんでした。もしかすると,訪れて間もないのかもしれません。 

夕方,ロウバイの木で目にとまったのが,クモの巣に引っ掛かったユスリカ。よく見ると,二匹が絡み合っています。 


そこに,巣の主が現れました。そうして,獲物を抱きかかえました。ユスリカが体長5mm程度。クモはそれよりすこし小さく見えます。


小枝から張ったクモの糸が功を奏したのです。クモ自身も糸を頼りにからだを支えています。


小さな訪問者にも,小さな外敵の目がいつも光っています。 自然の掟は手綱を緩めません。

 


今年のロウバイ(11)

2015-03-04 | ロウバイ

ロウバイで,このツヤヤドリタマバチを見かけたのは初めてです。

ほんとうに小さくって,注意深く観察していないと見逃してしまいそう。小さいながら,メタリック光沢が際立っています。ありがたいことに,餌に夢中になっているためか,安心して見ていられました。もちろん,撮影にも時間をかけることができました。 

 
芳香に包まれ,きっと極上の気持ちに浸っているのではないでしょうか。


すこしずつ位置を変えながら,ゆっくり食餌をしていました。

こうしているうちに花粉がからだに付着するのでしょうが,肉眼でそれを確認することはできませんでした。 

 


今年のロウバイ(10)

2015-02-28 | ロウバイ

前にも書きましたが,ロウバイの花はやや下向き加減,あるいは真下向きに咲く傾向があります。それで,訪花昆虫を確認する際は,しゃがんで見上げる格好になります。つまり,その窮屈な姿勢をしないと観察できないし,撮影もできないことになります。さらに,昆虫を確認してから三脚を置いて,撮影の準備にかかります。

そうしている間に昆虫が飛び去るとたいへん! それで,大急ぎで準備を整えなくちゃなりません。

下写真は,そんな苦労の中で写したハエのなかまです。ゆっくり動いているので,いついなくなるか予想がつきません。 

 
口吻を出して,餌を舐めています。「しめしめ」と思いながら,シャッターを切ります。

 
わたしが記録する写真はあくまで生態ですから,こういう場合,食餌行動をしっかりとらえたい気持ちです。つまり,口吻が餌源にぺったり付いているときなどは最高! 動きがあります。それに比べると,口が見えない風景はなんとなく殺風景に思えます。


疲れる姿勢を保ちながら,なんとか撮れたら「ほっ!」とします。

 


今年のロウバイ(9)

2015-02-26 | ロウバイ

花にすっぽり入り込んでいたのが,写真のハエのなかま。何という名か,今のところ,さっぱりわかりません。頭部がとても小さく見えます。

オシベがメシベと離れているのは,他株から花粉が運ばれてくるのを待っている状態を示しています。そこに来た昆虫は大歓迎すべきところなのですが,このハエは貢献しているようには見えません。

 
この花の花粉がハエに付いて,他の花に運ばれる可能性はありそう。


花の中で,すこしずつ動きながら食餌をしていました。環境はこの上なくよさそうです。

下方向に開いた花を見上げて撮影するのは,なかなか苦労がいります。しかし,苦労の甲斐があって,写真に収められたら気分はいいものです。

ハエはしばらくいて,飛び去りました。

 


今年のロウバイ(8)

2015-02-23 | ロウバイ

下向きに開いた花を見上げながら,中を覗いていくと,クモが一匹。ウロコアシナガグモです。一年ぶりに再会しました。といっても,同一個体ではないでしょうけど。そのときは,マンサクの花でキタオオブユを捕らえて食している最中でした。

ウロコアシナガグモはごくふつうに見られるクモです。緑がかった体色,金属光沢などが特徴として挙げられます。網を張って獲物を捕獲するほか,枝や花にいて直接獲物を捕らえることもあります。

この日は,ロウバイの花の中。そこにいて,獲物が来るのをじっと待っていました。結局,一日獲物を待ち続け,なに一つも捕らえることはできませんでした。 

 
いい匂いのする空間で,じっとしているだけでも心地よいでしょう。もっとも,クモの嗅覚にこの匂いがどんなふうに受けとめられているのか,それはわかりません。

 
じっとしているように見えますが,ときどきは脚の位置を変えたり,場所を変えたりしていました。


どこからやって来たのか,この木にどれほどのなかまがいるのか,そうした疑問に直接結び付く情報は今のところ得られていません。 

 


今年のロウバイ(7)

2015-02-22 | ロウバイ

花を見ていると,黒いものが中で動いていました。よく見ると,どうやらハエのなかまです。レンズを向けると,どうやらタネバエのようです。 からだには花粉が付いています。とくに,背部分はオシベの葯に触れたようで,どっさり! まだ葯に触れている姿勢で,食餌に懸命の様子。

からだには剛毛がたくさん。すらっとした体型。とくに脚の長さが際立ちます。タネバエの一種としてくくっていってしまうと,間違いをしでかすことになるのかもしれません。しかし,この際,誤解を承知でそう呼ぶことにします。


しばらくして,花の外に出てきました。花粉の付いた位置から,ハエの行動がなんだかいい当てることができそうです。 

 
これで別の花に移動するのかなと思っていたら,また後戻りしました。この花がお気に入りなのでしょうか,食餌が続きました。

 
いつまでもいるわけにはいかず,結局わたしはその場を離れました。それにしても,タネバエの行動からは小さないのちが生き抜く執着心のようなものがジワーッと伝わってくるひとときでした。 

 


今年のロウバイ(6)

2015-02-21 | ロウバイ

ハエのなかまは国内で3000種といわれていますから,これについての細かな同定作業は到底わたしにはできません。このことは以前にも書いたことなのですが,それほど自然は多様で豊かで,人間がその真実の姿を見届けるのは困難な話だということです。

金属光沢を放つ写真のハエにしても,キンバエのなかまか,イエバエのなかまか,その辺りでさえ不明瞭です。大きなキンバエの一回り,二周り小型のハエです。ロウバイの花では初めて観察しました。 


からだには,花粉がたっぷり。 

 
なんだか贅沢な食餌場所のような気がします。

訪れる昆虫の種類は思いのほか多いとはいえ,絶対数はごく限られています。寒い最中のことですから,成虫で動き回るのはどうみてもいのちあるものには不利な環境です。この環境に微妙に適応しながら,たくましく生きているのがハエです。活動する昆虫の絶対数が少ない上に,このハエですら体型は大きい部類に入るのですから,マアいってみれば“我が物顔”風ののびやかさで食餌をたのしんでいるのでしょう。

環境に適応するハエの生態は驚くべきものです。