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自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

ロウバイの花と昆虫(12)

2016-02-17 | ロウバイ

今冬のロウバイは,ほんとうに中途半端な開花ぶりでした。暖冬傾向が続いた後,寒波が何度かやってきたために,開きかけた花や蕾が急に成長を停止。それで,そのまま萎み始めました。なかには,もうカビが生えかけているものもあります。こんなわけで,今冬は期待していたようには訪花昆虫に出合えませんでした。残念。 

 
名残り惜しそうに,最後まで訪れるのはやっぱりツマグロキンバエ。どこまでも関心があるようで,こんなに花粉が付着しています。


別の個体が花の上にいて,脚の掃除をしていました。掃除をしなくてはならないほどい,花粉まみれです。 

 
花粉がほとんど付いていない個体が,静かに,日を浴びていました。コンデジでこれだけ細かく撮れると,ついついうれしくなります。眼の個眼や,からだを覆う無数の毛。それらが手に取るように見えて,見応えがあります。光の方向が幸いしました。

 
今年は実の結びが芳しくないかもしれません。その経過もまた今後の観察対象になります。

今回でひとまず,本シリーズは終了とします。 

 


ロウバイの花と昆虫(11)

2016-02-15 | ロウバイ

2月1日(月)。小さなカメムシが訪れました。体長は5mm足らず,背はまだら模様。ケブカカスミカメです。ふつうは春以降に現れるカメムシらしいので,かなり早い時期の出現といえます。匂いに魅了されて来たのでしょう。カメムシにとってロウバイは大き過ぎるほどの大きさです。もちろん,匂いも強烈なはず。


もう花汁を吸い終わって満腹状態だったのか,花から出て来ました。そうして,花弁上で静止。 


このあと,どこかに消えて行きました。

こういう昆虫は,よほど気をつけて見て行かないと目に留まりません。ロウバイの花はほとんどが下向き加減に咲くので,見上げるようにして虫探しをして,やっと見つかるのがこの大きさの昆虫です。

ロウバイは既に花盛りを過ぎて,どんどん萎んでいます。今冬はそう多くの昆虫を期待できそうにありません。残念。

 


ロウバイの花と昆虫(10)

2016-02-13 | ロウバイ

1月31日(日)。今度は小型の青いハエが訪れました。前にご紹介した大型のそれと姿かたちはそっくりなのですが,はっきり一回り小さめです。


花の中を覗き込んでいる格好を見ると,まだまだ食欲がありそうです。こんなに花粉を付けて,あちこちの花を巡っているのに! 


同じハエの,別の個体が花の上で休んでいました。ゆっくりしているので,コンデジを近づけて撮りました。脅かさないように,そしてきちんと複眼を写し込むのはなかなかむずかしいのですが,なんとかうまくいきました。花粉が毛に付着している様子がわかります。 


すこしずつ前に向かって動いてきました。頭部全体が視野に入った瞬間,「しめ,しめ。今だ!」と思ってシャッターを切りました。頭部は,見事な,そして実に機能的な仮面といった趣きです。

 
警戒心の強いハエが,こんなふうにすてきな被写体を引き受けてくれるなんてめったにあることではありません。感謝,感謝。 

 


ロウバイの花と昆虫(9)

2016-02-09 | ロウバイ

1月31日(日)。さらに,続き話。

これはどうやらタネバエのよう。

花に入るや否や,すぐに口吻をペタペタ。それがよく見えるのです。動きを見ていると,この時期極上のごちそうなんだろうなと想像できます。

 
餌を舐めながらどんどん奥に入って行きました。「これはしっかり撮っておこう」と決意。気づかれないようにして左手で枝を持ち,右手で持ったカメラを左手甲に軽く載せた格好でシャッターを切りました。こうすればブレを最小限に抑えることができます。なお,この写真は深度合成モードで撮ったものです。このモードは奥行感のある写真が撮れるのでわたしは多用しています。ただ,微妙であっても動く被写体はうまく撮れません。このときも,動いていたので結局は没にした写真が何枚かあります。


口吻を伸ばしている様子,柄に花粉が付く際の状況がじつによく理解できます。 

 
別の個体が枝にとまっていました。そこそこに花粉が付着しています。これもまた花の中で餌を口にしていたのです。

 


この時期昆虫の活動を左右するのは,気温などの気象条件,エネルギー補給するための食餌環境が中心になります。冬であっても人間が過ごしやすいと感じるときは,昆虫も同じように感じるのでしょう。「今日の天気なら虫が出て来そうだ」と感じたら,さっそく花を調べてみる,そうすれば当たっている,という場合が多いようです。 

 


ロウバイの花と昆虫(8)

2016-02-05 | ロウバイ

1月31日(日)。続き話です。ミドリイエバエかオビキンバエか,といったところでしょうか。金属光沢をもった,大型の青いハエが訪れました。こういうハエって,嗅覚が相当に優れているはず。それに,からだに生えた毛のすごいこと!

 
からだには,当然,花粉がたくさん。気づかれないようにそっと見ていると,ハエは安心し切っている様子。間もなく花から出て来ました。

 
そして,そこで口吻を伸ばして掃除をし始めました。


掃除が終わると,近くの別の花に飛び移りました。「しめ,しめ」。緊張しながら,斜め前から写真に収めました。複眼を構成している個眼が写し込めました。理想的なモデルを引き受けてくれたのではないでしょうか。 

 
この類の大型バエを接写するのはふつうむずかしいので,今回は「よし,よし」の気分です。なにも知らず,ハエは満腹して気分上々だったことでしょう。 

 


ロウバイの花と昆虫(7)

2016-02-03 | ロウバイ

1月31日(日)。前回の続き話です。この日の最低気温,最高気温はそれぞれ0.8℃,11.4℃。

ツマグロキンバエが生き生き活動していると思って見ていると,そこに現れたのはハナバエのなかま。からだ,とくに胸部の背には花粉がどっさり! まるで粉の塊りのように見えたのです。大慌てで写真に収めました。飛び去らなくくて,ほっ!

 

 
そのハナバエは別の花に移動して,中に入って行きました。出て来たところを撮った一コマが下の写真です。確かに花粉がいっぱい,いっぱい。送粉者として大活躍してくれるでしょう。

 
ホソヒラタアブが飛来。たいへん神経質で,外敵を警戒しているようでした。わたしの動きに感づいて,花から離れたときも。「ようし今度こそは」と思いながら,慎重に近づいて行きました。花の中での行動ぶりをなんとか写すことができました。ラッキーでした。

 

 
このホソヒラタアブは,また次の花に移って行きました。花弁にいるときに見ると,からだにはマアなんと花粉がたくさんついていることか。やっぱり背にはちゃんと付いています。からだを覆う毛は,花粉にとって格好のくっ付き場所になっているようです。

 

 
まだまだ,ほかの昆虫たちがやって来ました。続きはさらに次回に。 

 


ロウバイの花と昆虫(6)

2016-01-31 | ロウバイ

1月27日(水)。晴れ。厳しかった寒さが和らいだ一日でした。ロウバイの花がパアッと開いてもよさそうなのに,どうも異変が起こりかけているのです。開花しそうになって花弁が萎れる,開花してまもなく枯れ始める,そんな花がわんさか。これまでにもこういう風景を見たことがあります。たぶん,花が開きかけている時分に大寒波に襲われた結果,萎縮気味になったのだと思われます。


ということは,暖冬で花が平年よりずっと早く開きかけたのに,あまりの低温に襲われて急に成長が阻害されたというところでしょう。


こうなっては,ロウバイを訪れる昆虫を期待できそうにありません。しばらく様子を見ておきます。 

1月31日(日)。花がどんどんすぼんで,萎れていく中,まだなんとか持ちこたえている花があります。昼近く,そこにいくつもの昆虫が訪れているのを発見! 花が少ない分,花一輪あたりの訪花率はぐんと高まっているようです。たくさんの場面を目撃しました。複数回に分けて記事にしましょう。まずは1回め。

ツマグロキンバエのほかで,まず目に留まったのがフタホシヒラタアブ。わずかに開いた花にからだをぐっと入れ,懸命に餌を口にしようとしていました。


慎重に観察していると,いくつかの花を巡りながら食餌行動を繰り返していました。からだには,ちゃんと花粉が。タダでは餌はもらえません。


わたしの気配を感じたのでしょうか,ときどき花を離れました。しばらくすると,どこからともなく姿を現してまた花の中に入りました。この冬,フタホシヒラタアブの行動からいくつかの情報を得ることができました。観察は真理を見極める基本です。

続きは次回に。

 


ロウバイの花と昆虫(5)

2016-01-30 | ロウバイ

1月24日(日)午前11時。気温0.8℃。寒風が音を立てて吹き抜けていきます。寒い,寒い。「こんな中,ロウバイに昆虫がいるかなあ」と思い行ってみると,いたんです。いつものツマグロキンバエです。蜜を得るというのでなく,花の外でじっと寒さに耐えているとでもいった様子。からだには花粉がどっさり。


完全に休んでいるのかと思ったら,そうでもなく,そのうちにすこしばかり動きました。こんなに寒いのに,動くんだあ!

 
午後3時。すこし位置は変わっていましたが,同じ場所にいました。写真を撮っていると,わたしが視野に入ったため遠ざかろうとしました。飛び去るほどのエネルギーはありませんが,警戒心だけはきっちりあるのがおかしなほどです。

 


夕方見ると,姿はもうありませんでした。あまりに寒くて,移動していったのでしょう。 

 


ロウバイの花と昆虫(4)

2016-01-29 | ロウバイ

1月18日(月)。昨夜から早朝にかけて雨。ロウバイは五分咲き。雨上がりの昼前,さっそく訪れていたのがツマグロキンバエ。「やっぱり」「当然」というべきほどの歓迎昆虫です。


花に入った個体を観察・撮影しました。からだに付いた花粉が光ります。


花の中で位置を変えながら餌を舐めます。このとき,オシベを完全に抱え込んだ格好です。


別の個体のからだにも花粉がどっさり。


寒い季節でも,比較的活動しやすい日中だと,ちゃんと現れるツマグロキンバエ。小型ゆえに,環境への適応性が相当に大きいのでしょう。適者生存の環境を生き抜いてこられたわけがあるはずです。 

 


ロウバイの花と昆虫(3)

2016-01-22 | ロウバイ

1月8日(金)。最低気温-1.8℃,最高気温10.6℃。平年並みの気温というところでしょうか。花はあちこち続いて咲きかけています。今日は訪花昆虫は1匹見かけただけ。小さなからだを花弁の間に入れてじっとしていました。芳香が充満していて,申し分ない感じです。頭部が見えないので,同定はできません。


1月11日(月)。開花状況は3分咲きといったところ。日中は風がほとんど感じられず,比較的穏やかなでした。新しい訪問者は思ったより少なく,2種。 

一つは花の奥で見た,ごく小さなハチのなかま。シルエット風に口器が動くのがそれとなく見えました。バリバリ食いちぎるといった感じ。


二つめは,ハナバエのなかまらしきハエです。開きかけた花弁の周辺を歩きながら一度頭を入れようと試みましたが,結局やめました。それでも,しばらくとどまっていました。開花している花なら他にもあるのに,ここの匂いがもっと魅力的だったようです。