12月27日(金)。終齢幼虫は,脱いだ皮にはまったく口を付けなかったようです。朝見ると,皮のすぐ脇で葉を食べていました。
その後,他の葉に移動して葉を食べ,そしてそこで休む日が続きました。
1月2日(木)。脱皮した葉の隣りの葉にいました。元の葉はかなり食べられていました。そんな中,脱皮して残された皮がきれいに残されているのには感心したというか,驚いたというか。
動きはたいへん鈍いのですが,食欲があるようなので,無事に蛹化までいくのではないでしょうか。でも,いつになるやら。
12月27日(金)。終齢幼虫は,脱いだ皮にはまったく口を付けなかったようです。朝見ると,皮のすぐ脇で葉を食べていました。
その後,他の葉に移動して葉を食べ,そしてそこで休む日が続きました。
1月2日(木)。脱皮した葉の隣りの葉にいました。元の葉はかなり食べられていました。そんな中,脱皮して残された皮がきれいに残されているのには感心したというか,驚いたというか。
動きはたいへん鈍いのですが,食欲があるようなので,無事に蛹化までいくのではないでしょうか。でも,いつになるやら。
12月24日(火)。深夜に幼虫を見ると,からだ全体が青みがかった緑色をしていました。脱皮間近と予感。
12月25日(水)。朝の最低気温(外気温)0.9℃。早朝見ると,脱皮を終えていました。記念すべき“クリスマス脱皮”です。脱皮後すこし時間が経ったようで,頭をやや持ち上げた姿勢でじっとしていました。脱いだ皮はからだの後ろに,頭の殻は前方にありました。体長2cm。戸外の葉にいても無事に脱皮できるのでしょうか。わたしには,外気温が災いして成長に大きな影響を及ぶようにしか思えないのですが。
夜見ても,顕著な変化は見られません。頭部の色がかたまって来た感じがします。脱いだ皮はそのまま。夏季ならすぐに食べ始めるのですが。
この終齢幼虫が蛹化するのはいつ頃になるのか,観察を続けてみます。
12月23日(月)に一足先に蛹化した個体は,時間が経過し,体色が濃くなっています。腹部の黄色が消え,黄緑色を呈しています。下写真は25日(水)の朝撮影したものです。
12月23日(月)。快晴。今朝の最低気温は-1.6℃。
前回取り上げた個体に変化が出てきました。
まず4齢幼虫について。葉の表側で,じっとして動きません。加えて寒いので,まるでいのち絶えたような状態に見えます。これは終齢幼虫を間近に控えているためかと思われます。これからの成り行きを気にしておこうと思います。
次の終齢幼虫について。前回ご紹介した葉で,数日間静止したままでした。それも,からだを横たえたままで。これはもうダメかなと思って,軽く指で触れてみました。しかし,一向に動く気配がありません。この個体こそ寒さのためにいのちが絶えたとしか思えないような感じがしました。
その個体が,今朝,蛹化していたのです。ということは,昨日までじっとしていたのは前蛹の状態だったことによるようです。変化がゆっくり進んでいくので,きちんとした確認ができなかったのです。
反対側から撮ると,脱ぎ捨てた皮がからだの横にちょこんと置かれているのがよくわかります。
個体は,帯糸でからだを支えることなく葉の表面で皮を脱いで,やはりからだを横たえたままです。体長は2.8cm。なんとか蛹にたどり着いたといった感じです。いのちの存続にとって,冬はやはり厳しいのでしょう。指を触れると,軟らかい体表をピクンと動かしました。
今年は柑橘類の実りがよく,我が家のレモン・キンカン・スダチともに鈴生りです。
アゲハ庭園のキンカンはわたしの背の高さほどですが,それに生る実が今,黄緑から黄への移行中でとてもきれいな色彩を放っています。今年その葉には,アゲハやらクロアゲハやらが訪れ,盛んに産卵してたくさんのチョウが羽化していきました。
もう霜が降りる季節なので,アゲハの名残りなんてない筈と思っていたら,そうではありませんでした。幼虫が一匹,葉の表にいました。ところが,寒さにやられたのか,無残な姿で死に絶えていたのです。
からだには朝露がかかり,からだから滲み出したと思われる体液が露と混ざって,葉の先に溜まっていました。そして,今にも流れ落ちそうでした。
からだの色や様子から判断すると,どうやら最近まで生きていたようなのです。たぶん,霜にダメージを受けてこんなふうになってしまったのでしょう。寒さがやって来る前に,変態を遂げることができずに,いのちを失ったとは,かわいそうでもあるし,自然な成り行きでもあるなあと感じた次第です。
ところがところが,しばらく経って日が当たり始めた頃,別の箇所で元気な幼虫を発見したのです。鮮やかさを失った葉に,くっきりとした体色の幼虫。まだ,いたんだー! 葉の間にいたので,寒さをよけられたのでしょう。さて,無事に蛹になるでしょうか。
レモンの木に産み付けたアゲハの卵を見ているうちに,おもしろい風景が目に飛び込んできました。二つの卵が一カ所にかたまって付いているのです。もちろん,葉の裏側でのことです。
さて,同時に産み付けられたものか,また同じ成虫によって産み付けられたものか,一応考えてみたいと思います。
同時に産み付けられたかどうかなのですが,卵をよく観察するとまったく異なった姿であることがわかります。向こう側の卵は明らかに孵化間近のものです。殻を透かして,幼虫のからだが見えています。
手前の卵は,そこまではいっていません。まだ全体が黄色っぽい感じです。
つまり,同時に生み付けられてはいないということになります。
卵を産み付けた成虫は同一のものかどうか,これは推測の域を出ません。同一なら,再び同じ葉の同じ位置を訪れて産んだことになります。違う個体だとすれば,よくもまあ,同じ場所を訪れた個体がいたものだなあと驚くばかりです。
わたしにはどちらの可能性が高いかということも,判断がつきかねます。
自然は単純でありながら,まことに複雑です。共通性を包み持ちながら,まことに多様でもあります。ほんとうに奥深く,味わい深いと感じ入ります。あいまいなものはあいまいにしか,語れないのです。
8月9日付け記事『アゲハ,蛹になる』で取り上げた個体のその後の話です。
8月17日(土),頭部・胸部に透明感が出てきて,間もなく羽化かと思われました。それで植木鉢を室内に持ち込んで待つことにしました。この個体については,羽化の瞬間を是非写真に収めたいと思ったのです。
8月18日(日)。今にも羽化が始まりそうなのに,この日の深夜に至っても変化がありません。
8月19日(月)。午前。先日と変わったところはありません。どうもおかしいので,蛹の蓋の部分を触ってみました。すると,わずかに開きました。ところが,それ以上の変化が起こらないのです。
おかしいなと思って,さらにすこし蓋を開けてみました。やはり,動きが見られません。
もっと開けてみました。といっても,軽く指を蓋に触れるだけです。それでもまったく動きはありません。ふつう羽化する場合,脚・触覚がバネのようになって蓋を押し上げますが,かたちだけはそれとそっくりです。
これで,この個体のいのちが絶えていることがわかりました。わたしは,このときまでに個体そのものをまったく触っていません。なのに,こんなことになってしまいました。いのちは微妙です。なにが起こるか,わかりません。
関心をもって見守ってきていた個体なので,とても惜しい気がしています。いのちのクライマックスを迎えたこの段階で,いのちが途切れるなんて。
「蛹化から10日目が羽化!」。この読みはズバリ的中しました。
日曜日の早朝です。なんとタイミングのいいこと! 2時間ばかり待っていると, ぱっと蓋が開きました。この瞬間の前兆はありません。それで凝視して,ひたすら待ち続けるほかないのです。
脚で蓋をグイッと押し開きます。からだが大きく見えかけました。
成虫は,出終わると殻のところで静止しました。そして口吻のウォーミングアップを繰り返しました。
孵化してから31日目の誕生でした。
この羽化を観察してからちょうど一時間後,飼育箱の蓋で蛹化していた個体が羽化しました。ふしぎなほどに,孵化→蛹化→羽化と重なるようにして進行しました。
翅が大きく伸びきった後,二匹は空に舞い上がっていきました。最後まで見届けられたことをうれしく思っています。
コップにスダチの枝を挿して,そこにアゲハの幼虫をいくつかおいています。ときどきは水を替えたり,枝を新しいものにしたりしています。
身近なところにあるものですから,変化はいくつも見えてきます。糞の排泄はもう頻繁です。脱皮もときには観察できます。一匹が幼虫期に4回脱皮しますから,複数の個体を飼っていると,観察の機会が増すことになります。
まさにその場面を見ようと思ってもなかなか見られません。変化の推移,たとえば何日後に次の齢に移行するか,静止した姿勢になってからどのくらい経って脱皮が始まるか,そんな特徴がわかってくれば,前もって変化の瞬間を予測できます。
そんな根気がなければ,偶然の観察機会を大事にすればよいのです。つまり,よくよく目を向けておくことにします。要するに注意力です。
上の写真は8月10日(日)午前,変化が始まった瞬間を目撃し,大慌てで撮影したものです。3齢から4齢への移行です。ほぼ皮を脱ぎ終わっていました。タイミングがよければ,室内でも巡り合える場面です。
8月2日の記事で取り上げたアゲハのその後の話です。脱皮した枝のまま室内で飼育することにしました。食欲が増して,葉をモリモリ食べました。そうして見る見るうちに,という感じで大きくなりました。やがてそれが植木鉢で前蛹になりました。わたしは,これが蛹になるのを心待ちにしました。
8月7日(水)午後7時。見ると,脱皮近し,の兆候が現れています。動きからも色からもそれがわかりました。
夕食を済ませてから,しばらく待つと,いよいよ脱皮という激しい動きが出てきました。
頭の皮がパカッと割れ始めました。
皮が送られていくと,頭と胸がはっきり現れました。4本の脚と触覚が膨らんで色鮮やかです。
皮を脱ぎ終わると,からだ全体をピンピン,クネクネさせてそれを落とそうとしました。落ちていない感触がどこで,どうやってわかるのかふしぎなのですが,いつまでもその動作を繰り返しました。しかし落ちませんでした。それで,おしまいに,どうやら諦めたように静かになりました。
変化はいのちが順調に推移している証拠です。安心して,わくわくして見守ることができます。たぶん,二化の終わりを迎えたのでしょう。
8月5日(月)午後5時。『アゲハ庭園』にアゲハが飛来。ちょうどそれを目撃しました。見ていると,あちこちの葉に前脚を触れて産卵場所を探しています。間もなくしてレモンの新芽に取り付き,産卵行動をしました。腹の先を曲げて,葉の裏に卵を産み付ける格好です。終わると,飛び去りました。
卵を確かめたくて,葉を見たときのことです。驚いたのって! これまでの観察だと,卵は離れた場所に一つひとつ産み付けられていたのですが,この日に見たのはずいぶん近くにかたまった格好で産卵がなされていたのです。こんな光景,初めて見ました。
同一の個体が産んだものかどうか,それは不明です。概ね,新しい葉に産み付けられています。その方が幼虫にとって食べやすいという点が考慮されているのかもしれません。
まだ苗木程度で樹高が150cmと低いので,好適な産卵場所が限られた結果,卵密度が高まった可能性があります。それにしても,ドバドバッという感じで付いているのです。
記録写真を見てみましょう。夕方雨が激しく降ったので,葉が濡れています。
若葉の裏に,それぞれ行儀よく産み付けられています。
左の2個と,右の1個は別の葉です。葉が重なっているのです。
別の葉では。
軟らかい葉に産み付けられています。右の卵は葉の表側に付いています。
葉の表面に堂々と産み付けられた卵もあります。
細めの幹にも。
おやおや,ちぎれた葉にも。よく見ていくと,幼虫が数匹いました。葉の断面から推測すると,それらが食べたように思われます。
庭に柑橘類を植えるのは,生きものを呼ぶうえからも大正解のような気がします。もちろん,実よりもアゲハの成長を優先するつもりです。産み付け方まで見えてきました。