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自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

終齢幼虫へ脱皮

2014-06-02 | アゲハ(ナミアゲハ)

4齢幼虫が終齢期を迎えるときは,からだが大きく変化するときです。それで,十分に時間をとって変化に備えます。“十分な時間”は丸一日以上を要するように,わたしには見えます。

20時11分。4齢幼虫が静止してから一日以上が経ちました。からだが少しずつ青みを帯びてきました。終齢幼虫の皮膚が整ってきた証拠です。からだがしきりに,小刻みに動きます。といっても,震わせるといった方がぴったりです。それで,「ははーん,脱皮が近づいたな」と感じとることができます。 


20時40分。からだが大きく動き,脱皮が始まりました。頭部の皮が裂けて,青い体表が現れてきました。 


20時42分。からだの前半分が現れました。 


20時44分。 脱皮が始まって4分。皮から完全にからだが出てきました。初々しい姿です。


21時48分。出た方向で,静止します。 

 
22時00分。10分ほど経って,からだを反転。先程脱いだばかりの皮を食べ始めました。


22時05分。どんどん食べ続けました。 


22時09分。食べ終わるまでに,途中,休むということはありませんでした。自分の皮を食べるという,勿体ない精神の発露,あるいは習性に脱帽です。 

 
無事に脱皮完了! 脱皮に伴なう一連の変化は,なんとも流れるようにして推移していきました。こうして大変化が完結したのです。 

 


3齢幼虫の誕生

2014-05-28 | アゲハ(ナミアゲハ)

余程チャンスに恵まれないと,自然界で脱皮中の姿を見るとか,脱皮直後の姿を目撃するといった経験はできません。それだけ幼虫の数が少ないということになりそうです。

飼育をとおしてそういう場面を見るのは,そう困難なわけではありません。脱皮の前に,準備のために静止している時間が長く続くので,予測可能だからです。

ところで,先日はスダチの葉を観察していて,アゲハの3齢幼虫が誕生した直後を目撃しました。めったに見られない場面なので,枝を折って,その後の行動を撮影することにしました。その様子をご紹介しましょう。

頭部を見ると,薄い褐色です。脱皮直後という印象が伝わってきます。

 


脱皮し終えた位置でじっとして,活動を待ちます。 


やがてからだを反転させ,脱いだ皮に向かいました。 


皮を食べるという遺伝情報がどこに,どう組み込まれているのかわかりませんが,とにかく,ボリボリ,バリバリ食べていきました。 


皮の一かけらも残さずに食べ終わりました。そうして,またからだを元の位置に戻して静止。 

 
基本的な流れにぴったり合ったかたちで,一連の動きが流れていきました。「なんと基本に忠実なことか!」と,びっくりしてしまうほどです。 

こういう変化が,幼虫の数だけ,繰り返して起こっているふしぎを感じます。そのふしぎがわたしたち人間の想像が及ばない世界に広がっているのに,気づかない現実を勿体なく感じます。まことに身近な世界なのに!

 


葉の表側に卵!

2014-05-27 | アゲハ(ナミアゲハ)

葉に卵を産み付ける昆虫の場合,大多数が裏側を選択します。というより,「すべてが裏側を」といっていいでしょう。

理由は昆虫に聞かなくてもわかります。卵が生命を維持するのに,表では危険過ぎます。生物的な要因だと,天敵の目に触れやすい,非生物的要因だと,乾燥しやすい,直射日光を浴びて高温環境におかれる,風雨で落下しやすい,などが思い浮かびます。昆虫には先天的に,安全な場所に産卵するよう遺伝子情報が組み込まれているのです。

アゲハの場合にも当てはまります。アゲハは柑橘類の葉に産卵しますから,葉の表面方向はほとんどの場合,日光を受けやすいように水平向きになっています。そこを訪れたアゲハの産卵姿勢を想像すると,葉の表側に脚をおいて,腹部を裏側に押し付けて産卵する姿が浮かびます。

それなら,葉が縦方向に立っている場合はどうでしょう。葉の表・裏を感知して,きちんと産み付けるのでしょうか。答えは簡単。そんな微妙で,器用なことはしません。事実,卵をよく探してみれば,時には葉の表側に卵が付いている例が見つかります。最近も,我が家のキンカンの木を観察していて一粒見つけました。


では,水平方向に葉が付いている場合,葉の表側に卵を産む例はないのでしょうか。ちょっと迷いますが,あるにはあります。下の写真をご覧ください。スダチの葉で見かけました。 


拡大写真を撮りました。葉の表側であることは,葉の色と形態から明らかです。 


なぜこんなところに産み付けたのか,ふと立ち止まって考えてみたくなります。

柑橘類では,葉がかなり混み合って付いています。アゲハはもともと裏側に産卵するつもりだったはず。しかし,たまたま産卵姿勢から,産卵孔が別の葉に,それも表側に触れたために,自然の流れでそこに産み付けられたと思うのです。

ここは生存上不利な場所であることはまちがいありません。そんなところに,はじめから卵を産み付けるなんて考えられません。ここでも,基本からはみ出した揺れが観察できます。おもしろい事例です。 

 


一枚の葉に卵が4個!

2014-05-26 | アゲハ(ナミアゲハ)

スダチの木に,アゲハの幼虫が目立つようになりました。それで,卵はどうかなと思って探しました。意外とあちこちに産み付けていることがわかってきました。どんどん見つかるので,こころが踊ってきました。

そのうちに,びっくりする事実に出くわしました。なんと,一枚の葉に卵が4つも付いているのです(さらに葉の付け根にも1つ!)。葉の縁に,ほぼ等間隔にありました。そのうち1個はすでに孵化していて,幼虫は見当りませんでした。


残りの3個は,間もなく孵化するようで,黒っぽくなっていました。

これまでに一枚の葉にこれだけの卵が付いている例にお目にかかったことがありません。しかも,3個は時をほとんど同じくして孵化しそうなのです。

さて,これは何頭の成虫が産み付けたものなのでしょうか。

ふつうアゲハの産卵風景を見ていると,卵を一粒産むと,すぐに舞い上がります。この線に沿って解釈すると,複数の成虫が訪れて産卵した結果,偶然にこうした状態が生まれたと考えてよさそうです。

それにしても,偶然が生み出す結果というのはおもしろいものです。

 


産卵風景と卵と

2014-05-24 | アゲハ(ナミアゲハ)

アゲハの庭園にいたら,アゲハが飛来しました。その飛び方を見ていると,産卵しようとしている様子がはっきり窺えました。それでわたしは,レモンの木の脇でコンデジを構えて待つことにしました。

アゲハはキンカンで卵を産んでから,レモンの木にやって来ました。つまり,目の前に来たのです。まったくわたしを警戒する様子はありません。弱々しく飛びながら,卵を2粒産みました。「ヤッター!」と思いながら,シャッターを切りました。

 


あとには,そのとおり真珠のような卵がキラリと光沢を放っていました。薄黄色のみごとな玉です。

レモンの葉を見ていくと,他にも卵が付いていました。これまでにアゲハが訪れていたのです。


そのうちの一つにハエが付いていました。寄生バエでしょう。目敏く見つけてやって来たことに,妙に感心してしまいました。

 

卵に寄生するのか,幼虫に寄生するのか,それはわかりません。しかし,アゲハがいるところをちゃんと嗅ぎ付けて来たことはまちがいありません。自然界で生きていくのは,じつにたいへんなことです。アゲハだって楽々と生きていけるわけではありません。

 


アゲハ,孵化間近

2014-05-23 | アゲハ(ナミアゲハ)

5月20日(火)。アゲハの庭園にあるレモンの木では,アゲハの卵が順調に育っています。パールを思わせる単一色から,黄色みが増し赤っぽい紋様が見えてきました。


こちらの卵にも薄っすらと紋様が浮び出ています。同じ時期に産み付けられたものでしょう。 


5月22日(木)。中が複雑になってきました。ゼリー状の塊りのようなものがブツブツッと見えて,空気層が現れています。

 

5月23日(金)。 どうやら,殻を通してからだの一部が薄っすらと見えているみたいです。あと2,3日すれば孵化するのではないでしょうか。

 

一方,別の葉でも卵をいくつか見つけました。どれも,黒っぽい感じなので,上の卵より早く孵化するようです。目が離せません。

 

 

 

 


孵化,それと若齢幼虫

2014-05-13 | アゲハ(ナミアゲハ)

スガチの枝先に新芽が伸びて,さあアゲハの季節だなと思いつつ,幼虫を探してみると,いました。若葉の表面でじっとしていました。 


もういないかなと思い,探していきました。今度は,古い葉にいました。色合いや大きさがずいぶん違ってきています。2齢幼虫でしょう。 

 
卵はないかなと思って,探してみることにしました。あちこち見ていくと,やっと一個見つかりました。若い葉の先の方にありました。偶然なのですが,孵化近い卵でした。中が透き通っていて,幼虫の姿が一部確認できました。


昼に見つけて,それから孵化をたのしみに待ちました。しかし,夜中になっても一向に生まれ出る気配がありませんでした。それで,眠気に負けて就寝。

翌朝,起きて確認。もう孵化して,殻をすっかり食べ尽くしたあとでした。わたしが寝て間もなく,こんなふうに大変化が起こっていたというわけです。 

 


12時間以上辛抱強く待ってもダメ。ところが,その後の寝ていている6時間の間に,すべてが完了していたとは! この例でも,見事に肩透かしを喰らいました。

いのちの流れは,厳密になかなか見通せるものではありません。お産の予定日がずれたり早まったりするのと同じように。

 


アゲハ,ツツジ大好き

2014-05-09 | アゲハ(ナミアゲハ)

庭のヒラドツツジが花を付けています。その花をふと見ると,ナミアゲハが来て蜜を吸っていました。真っ赤な花弁と白・黒の縞紋様をまとったアゲハ。なんとも鮮やかな対比です。

そっと近づいてカメラに収めました。アゲハは,どうやらわたしに気づかなかったらしく,口吻を花に差し込んで,蜜を吸い上げることに夢中になっていました。 


吸い終わると,別の花に移動して,また蜜を吸うことに懸命。翅を軽くパタパタとさせながら,なんとか空腹を満たそうとしている様子でした。 

 
しばらくすると舞い上がり,隣りにあるサザンカの枝にとまりました。疲れているのでしょうか,じっとしたままでした。風が吹いて翅をゆらゆら揺らしました。それで脚で枝と葉をがっちりつかんで,落ちないようにしがみ付いていました。そんな状態なのに,なぜか,飛び立とうとはしません。

 
やがて舞い上がると,すぐ近くにある,また別のツツジの木にとまりました。

 
そこでは蜜を吸わずに,また別のツツジに移っていきました。そこでは,口吻を伸ばして蜜を吸いました。

 
そこにしばらくいて,やがてひらひらと大空に舞い上がりました。

一連の行動で,警戒心を感じたことはありません。それはそれはふしぎなアゲハでした。 

 


誕生のラッシュ

2014-04-15 | アゲハ(ナミアゲハ)

アゲハチョウの誕生ラッシュが続いています。今日報告するのはアゲハ(ナミアゲハ)。長い冬を越しただけあって,こころの底から春を謳歌するかのような大変化です。

 
この日もそうです。起きてみると,すでに羽化した個体がいました。間もなく羽化しそうな蛹が一つ。タイミングがいいので,羽化を観察してみようと思い立ちました。

朝食を終えて,様子をみたとき,蛹がピクピクッと動きました。誕生の兆候です。そのとおり,しばらくして羽化が始まりました。

 
ググーッと,殻を押し広げて,成虫が現れました。


脚をグッと伸ばしました。 

 
あとは,スルスルッという感じで出てきました。


直近の蓋縁にぶら下がって,静止しました。 口吻をしきりに曲げたり,伸ばしたりして,ウォーミングアップをします。

 

ゆっくりゆっくり,そして確実に,翅が拡がっていきました。 ここまで,ほんの10分の出来事でした。 

 


今,アゲハの幼虫は……(また)

2014-01-28 | アゲハ(ナミアゲハ)

1月11日(土)。終齢幼虫は,これまでいたキンカンの葉を離れ,飼育箱の蓋裏に移動。そこで一日静止していました。ここでからだを固定して,前蛹になるのではないでしょうか。 盛んに絹糸を出した形跡があります。そして,胸脚の格好から見てなんとなくこの作業が続いているようです。

 

昨年末から今日まで,最低気温は-3℃,-4℃を頻繁に記録しています。そんな気温では,野外にいたらいのちは大きなダメージを受けると思われます。部屋の中で,マアマアなんとか生き続けているのは,やはり温度に大いに関係あるでしょう。

こうしてみると,温度をコントロールできる温室で,一年中生きている姿が観察できるのは当たり前という気がしてきました。それはあまりにも人為的な飼育法なので,自然とはかけ離れいかがかなという気がしないでもありません。いってみれば,常春・常夏をつくり出して,チョウを騙しているわけです。

その点,部屋の幼虫は自然界の影響を多少なりとも受けています。 緩やかな寒さを感じているはずです。「それだって,季節を欺いているではないか」といわれれば,そのとおりなのですが。

1月12日(日)。 蓋の裏で前蛹になると思っていたら,違っていました。蓋の,他の場所に移動。

1月13日(月)。飼育箱の入れているガラスコップの側面を登っていました。見ると,ガラスに糸がたくさん付いていました。落下しないための防御策です。

 
見ていると,からだを大きく曲げてなんとか葉に乗ろうとしました。


絹糸を出しているのがわかります。動きながらからだを常に固定しよう,落下するのを防ごうとする防衛本能のなさる知恵です。 

 
1月27日(月)。13日以降,葉から蓋へ,と思ったら,また葉へ。と思っていたら,またまた蓋へ。26日まではそんな移動を,じつにゆっくり繰り返しました。ところが,この日,キンカンの葉を挿したコップの水に落ち死に絶えていたのです。なんとー! ほんとうに気の毒なことになってしまいました。わたしが,そうしてしまったというか。寒さでからだが自由には動かせない状態にあって,つい水面に落ちてしまったのでしょう。「これも自然」,そんなふうには割り切れぬ思いが残りました。

このままなんとか無事だったら,どう変化していったのか,気になります。