日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

変わらないために変わる、変わるために変わらない-老舗企業に学ぶ-

2009-09-06 09:10:10 | ビジネス
まだまだ昼間は暑さを感じるこの頃だが、さすがに朝夕には涼やかな風が吹き、季節の移り変わりを感じさせる。
「読書の秋」が近づいている・・・と、実感する。

と言うわけではないのだが・・・先日読んだ「千年、働いてきました」に、今の閉塞感を打ち破るアイディアがあるように感じた
それがタイトルの「変わらないために変わる、変わるために変わらない」という、禅問答のようなコトだったのだ。

3年ほど前に出版された新書なので、既に読まれた方も多いかも知れない。

日本には、いわゆる「老舗」と呼ばれるトコロが数多くある。
それは業種を問わずある。
京都などに行けば、それこそ「老舗」に当たる。
ただ、その本に紹介されている「老舗」は、いわゆる私たちが思い浮かべるような「老舗」ではない。
いわゆる「モノづくり」の中小企業を中心とした老舗を取り上げているのだ。

金・プラチナの地金や関連商品(宝飾品ではない)を製造・販売している「田中貴金属」などもその一つとして取り上げられていて、現在の「田中貴金属」の売上の中心は、地金やその関連商品ではないらしい。
むしろ、そのような金を使った携帯電話やパソコンの部品が中心だと言う。
意外な気がしたのだが、「金を扱うことに慣れている」からこそそのような部品が作れるというコトらしい。
他にも、「ヒゲタ醤油」が「発酵」という技術を使って、バイオテクノロジーの分野に進出をしていたり、高度成長期に問題となった「公害」を解決するために、開発した社内技術がレアメタルを取り出す技術へと結びついたりしている事例なども紹介されていた。

ユニークなところでは、「トレハロース」で有名になった「林原」だろう。
社内には「トレハロース」などとはまったく関係のない分野の専門家が、社員としていると言うのは、有名な話だがその理由が「違うモノとの組み合わせが、新しいモノを創る」という考えからだと言う。
「異質のモノをあえて取り込むことで、社内に化学反応をおこし事業を発展させる」という発想らしい。

ただこれら紹介されている企業は、「本業に軸足を置いている」という点で共通している。
むしろ「本業を忘れていない」という感じだ。
「本業を極めるために、イロイロなコトにチャレンジし、技術を磨く」というコトのような気がした。
それは、効率が悪く、合理的ではないかも知れない。
だが、老舗企業はあえてそれにチャレンジしている。
それが老舗企業である所以のような気がした。

企業の大小ではなく、今多くの企業が学ぶ点かも知れない。