日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

データは正直だけど、人を観ないデータは嘘をつく

2008-06-05 22:14:05 | アラカルト
後期高齢者の負担額について、イロイロな問題が噴出している。
「7割の後期高齢者は負担額が減り、低所得者の負担額が増える」というデータが出ているのだ。
一見「そんなことアリ?」という気がする。
ポイントとなるのは、「モデル世帯を対象としている」ということだ。

この「モデル世帯」というのは、政府統計でよく使われている。
一般的に知られているのが、「サラリーマン世帯」だ。
「サラリーマンの夫、専業主婦の妻、子供2人」というのは、ニュースなどで聞いたことがあるだろう。
しかし、この「モデル世帯」のような家庭は、殆どないというのが現実だろう。
なぜなら、少子化で出生率は1.3程度しかないのだから。
もしこれが30年以上前なら、「モデル世帯」となってもおかしくはないのかもしれない。
30年以上も前の標準的世帯を、今の状況に合わせること自体無理がある。

で、今回の「7割負担減、低所得者負担増」という、一見おかしな結果がでるのだろう。
今回の調査では、12のモデル世帯を対象として調査をした、と言うコトのようだ。
その「モデル世帯」の中に「子供の扶養家族となっている後期高齢者」を含めていない、と言うことも分かってきた。
他にも、「社会保障に掛かる費用割合が少ない家庭(=基礎年金以外の所得収入がある夫婦世帯)」と「基礎年金のみで生活世帯」の割合が当然違っているはずだ。
と言うのも「年間所得別」という視点が、このデータには含まれてようだからだ。
その「からくり」を注意して見ないと、データは「嘘をついている」ということになる。

数字上のデータは正しくても、それが必ずしも現実に反映された内容とならないのは、「人を観ていない」からだ。
このようなトリックは、マーケティングと言う仕事をしている限り、ついて回る問題でもある。
だからこそ、大切なのは「人を観る」ということなのだ。

常々言っているが、机に向かってデータばかりを作っていると、肝心な「人が観えなくなる」のだ。
その様な感覚こそ、今の官僚や公務員と言われる人に必要な資質の一つだと思うのだが・・・。