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登山、渓流釣りを卒業して四季の花を愛でています

晩秋の山之村へ(PART2)

2016年11月22日 | インポート
旅行日11月7日
神岡から県道484号(神岡停車場線)を登って伊西峠のトンネルを抜けると山之村に入ります、峠を越えてジグザグと続く道を下った先が山之村の郷です。

岐阜県の最北端の富山県境に位置するこの地域は標高820m~1100mの高原盆地になっていて、この高原に点在する七つの集落を総称して通称山之村とよばれています、実際は地図上に山之村という地名は記載されていないので、「地図に無い村」,「天空の里」などと言われています。
構成する集落は、森茂(もりも)、下之本(しものもと)、伊西(いにし)、和佐府(わさぶ)、打保(うつぼ)」、瀬戸、岩井谷。

標高1000m前後のこの里を、桑崎山、天蓋山、大鼠山等の1500m級の山々に囲まれた盆地の山村集落です、真冬は2mを超える雪に閉じ込められる豪雪地帯で、11月から5ヶ月間はは白い世界が広がります。
半世紀前まで七集落で百数十軒の住居が有ったようですが、住民の高齢化により平成22年の統計では67軒に減少しています、現在ではもっと減少しているかもしれません。
農道を行くと、かつては水田だった所が耕作放棄されてススキや雑草に覆われていました。
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ススキや雑草に覆われた原野に山を背にした住宅が点在します、昔は一面に水田が広がっていたのでしょうが、住人が居なくなったかあるいは高齢化によって耕作を放棄したのでしょう。
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かつては水田がひろがり、雪融けと共に農作業に精を出す人が居て、子供の声も響いていたことでしょう、悲しい事ですがこれが現在の日本の山村風景の様です。
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ススキや雑草に飲み込まれそうになっている住居は廃屋でしょうか。
山之村の歴史は700年と長いようですが、特に戦後の食糧難の時代に額に汗して原野を開墾して食料を確保して、子育てをした里が役目を終えてまた元の原野に戻ろうとしています。
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郵便局とJAの売店が有りました、映像では影になって見えませんが給油機が一台のガソリンスタンドが横にありました、観光客の為の売店は道の駅や山之村観光牧場にありますが11月中旬で閉店です、その他の住民の為の売店は一軒も見当たりませんでした。
現在では大規模林道が開通して真冬でも自動車が走りますが、その昔は冬の間は自給自足の生活を余儀なくされていたようです、現在でも高齢者は自動車を利用して神岡まで買い物に行けないので恐らく移動販売車が回ってくるのではないかと思います。
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集落の中心部には水田や野菜畑が残っています、住宅の周辺には自給自足の菜園を耕作している家が目だちますが人影は見当たりませんでした、この季節は農作業も終わったのでしょうか、大根の収穫している人を一人だけ見ました。
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村の鎮守の神明神社です、モミジの紅葉は綺麗でしたので写してきました、昔、祭りの時に来て神楽を見た事が有ります。
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七つの集落を隔てる峠や農道は紅葉の盛りを過ぎていました。
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飛騨地方独特の「板倉(いたくら)」は壁などの構造材をすべて板で造った蔵です、どこの農家にもこの板倉を備えています。
この板倉は組合の倉庫でこんなに大きな板倉はここだけです。
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現在の山之村では2~3軒になってしまった昔ながらの藁ぶきの民家です、農山村の原風景を色濃く残しています、山之村は2009年に朝日新聞社と森林文化協会の「にほんの里100選」に選ばれました。

雪融けの春には小鳥が飛び交い、水辺には水芭蕉が咲き、野辺には山菜が芽吹きます、5月には桜が満開になります。
私が最初に来た頃は耕作放棄地もなく、豊かな田園や畑が広がっていて、峠を越えてこんな山奥に豊かな自然と共存している桃源郷のような郷が有って驚きました。

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水田や住居の周りに猪や野生動物除けの電気柵がここかしこに張り巡らされていました、山之村に来て電気柵が張っているのを見たのは今回が初めてです。
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遠くの山には初雪が降って、この里も雪に閉ざされる日も近いようです。
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山之村で一軒だけのロッジでした、昔、祭りの夜に宿泊した事が有ります、神岡の高原川で落ちアユを沢山釣ってきて、このロッジの囲炉裏で焼いて食べた事が思い出に残っています、女将さんがなくなってから営業はしていないようですが、新装してから暫くで休業して残念ですね。
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左の道が飛越トンネルを経由して有峰湖に通じる道です、右は神岡停車場から打保に通じる県道の終点になる打保集落へ行きます。
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山吹峠に向かう沿線の牧場には放牧の牛もいなくなって白樺の木だけが寂しげに白い梢をさらしています。
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大規模林道の山吹峠を越えて帰りました、峠を越えると左側に北アルプスの笠ヶ岳が見えます、いつもの年ですとこのシーズンは真白に雪化粧をした笠ヶ岳が見えますが、今年は筋状に白い雪が見えました。
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峠を越えて降りてきたら紅葉の色も鮮やかになってきました。
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これから後ろは1995年10月末に訪れた時に写した画像です、アナログの画像をデジタルに変換しました、笠ヶ岳が新雪で真白に雪化粧をしていて綺麗です。
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この藁ぶきの住居が記憶に残っていて撮影したくて探したのですが見つかりませんでした、すでに取り壊したのかもしれませんね。
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逆光の唐松の木が後ろからの光に輝いています、こういう光景がすきです。
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キャンプ場の近くの雑木林です、晩秋の斜陽に照らされた雑木林が見違えるような光景が変ります。
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大根の取り入れです、冬の保存食にするために凍み大根にします。
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冬はマイナス20℃になる気候を利用して湯がいた大根を屋外で凍らせて凍み大根を造ります、こうすることにより、一年中に保存が出来ます。(画像はヤフー画像よりお借りしました)
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凍み大根の完成品です、ぬるま湯でもどして使います、こうや豆腐の大根版です、煮ると味が染みいってとても美味しくなります。(画像はヤフー画像よりお借りしました)
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童謡の故郷の廃家をユーチューブでお聞きください。











何年かぶりに山之村の晩秋の光景を見る事が出来て満足しています、が、衰退してゆく山里の光景を見るのが寂しい気がします、これが自然の摂理でしょうか、大自然の中の人間の営みは偉大な自然の流れと比べたら、ほんの刹那にすぎないでしょう。

前の記事に続いてお読みいただいて有難うございます。
(本文を書くにあたり 「天空の牧場山之村」の記事を参考にさせていただきました)