経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

100-1=0

2008-05-21 | 新聞・雑誌記事を読む
 日経ビジネス最新号の有訓無訓より。日本の老舗ブランド・帝国ホテルの藤居会長の言葉です。
  サービスは「100-1=0」
 この意味がすぐに分かる方は、ブランドのプロかもしれません。その意味のヒントですが、
  ブランドは10秒で崩れる
 これでお分かりの方も鋭い。

 帝国ホテルに対する顧客の評価は「さすが帝国ホテル」か「帝国ホテルともあろうものが」のいずれかであって、中間がない。つまり、1つのマイナスが全体の評価をおとしめる。だから、100-1=99 ではなく、100-1=0 ということだそうです。
 こうやって考えてみると、要はブランドというものは、「帝国ホテル」という名称、商標権の客体のことではなく、そこから顧客に生じるイメージであり、日々変化するものであるということです(「ペコちゃん」のように客体自体が価値を持つようになると話は違ってきますが)。そのあたりが、客体そのものの価値が問題になる特許権や著作権とはだいぶ事情が違うと考えられます。
 それにしても、逆に考えてみると、顧客から「さすが~」とか「~ともあろうものが」とあまり言われることがないという場合は、それは顧客にとってどうでもいい存在=ブランド力がないっていうことですね、、、これはヤバい。心しておかないと。


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7 コメント

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Unknown (ある弁理士)
2008-05-22 22:20:45
「さすが『弁理士』」とか、「『弁理士』ともあろうものが」というオフィシャルなブランド力もありますよね。
「『弁理士』ともあろうものが」と言われないようにしないと…
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粗利率とブランド価値 (久野)
2008-05-23 05:23:02
今回も、大変に示唆に富んだコラムをアップしていただきありがとうございます。ブランド価値は高めるのには時間がかかるが、不祥事などによる場合には低下は一瞬で発生するし、企業全体のブランド価値が急落するということだと思いました。

知的財産権が企業の利益に与える寄与、技術が企業の利益に与える寄与などを測定する方法がないものかと考えています。土生さまが過去のコラムで粗利率に大変に注目されていたことを覚えています。粗利率の中には、ブランド価値、企業利益における技術の価値、知的財産権の価値が大きな部分を占めていると思います。粗利率の中を、ブランド価値、技術価値、知的財産権による独占排他権の効果による価値の3つに分けて、それぞれの価値を数値化することができれば、知財マネージメントにおいて大変に有益だと考えています。
http://www.patentisland.com/memo191.html
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Unknown (土生)
2008-05-24 00:47:43
久野様

コメント有難うございます。
事業会社が知財業務を頑張る効果は、ライセンス収入ではなく、粗利率で測るのが筋ではないかというのが以前からの私の考えです。

ある弁理士様

コメント有難うございます。
私は「弁理士」ブランドというのを実感したことはありませんが、「弁理士」は属性であって主体(人格)ではないので、そういう意味ではブランドは事務所とか個人の問題ではないかと思います。
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研究開発効率の指標と営業利益 (久野)
2008-05-26 19:16:47
土生さま

http://www.cmam.co.jp/upload/link/file00385.pdf
に、次のような定義での研究開発効率の数値が掲載されていました。

研究開発効率=【3年間の累計営業利益】÷【その前の3年の累積研究開発費】

販管費の大小の影響を受けないようにするためには、研究開発効率の計算においても、粗利益を営業利益の替わりに用いるべきと思いますが、いかがでしょうか?
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Unknown (土生)
2008-05-28 00:38:01
久野様

ここで営業利益率をとっているのは、決算短信には営業利益からしか載っていないように、日本では企業分析の際には営業利益を基準にすることがコンセンサスになっているといった、比較的単純な理由ではないかと思います(このレポートは、精緻に分析した報告というより問題提起みたいなイメージですし)。
確かに高付加価値製品がよく売れているときに将来の先行投資として研究開発費を増加させると、営業利益の水準は下がる&研究開発費は増える→研究開発効率が悪い、という変な結論になってしまうので、筋論としては粗利率を基準にすべきではないかと思います。
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研究開発効率の指標 (久野)
2008-05-28 06:06:06
土生さま

関連しそうなサイトを調べてみました。

http://www.esri.go.jp/jp/archive/e_dis/e_dis050/e_dis047a.pdf

http://www.ipnext.jp/ranking/pickup.php?id=7

http://windsroad.blogzine.jp/main/2005/11/post_b49e.html

研究開発効率の指標の入力として営業利益を用いるよりも粗利益を用いるほうが、販管費というノイズの影響を除去できると思うのですが、現実には粗利益を用いているレポートはまったく発見できませんでした。
どれも全て営業利益を用いています。

●「研究開発効率&営業利益」での検索結果
http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&aq=t&hl=ja&ie=UTF-8&rlz=1T4GZEZ_jaJP275JP275&q=%22%e7%a0%94%e7%a9%b6%e9%96%8b%e7%99%ba%e5%8a%b9%e7%8e%87%22%e3%80%80%22%e5%96%b6%e6%a5%ad%e5%88%a9%e7%9b%8a%22

●「研究開発効率&粗利益」での検索結果
http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&aq=t&hl=ja&ie=UTF-8&rlz=1T4GZEZ_jaJP275JP275&q=%22%e7%a0%94%e7%a9%b6%e9%96%8b%e7%99%ba%e5%8a%b9%e7%8e%87%22%e3%80%80%22%e7%b2%97%e5%88%a9%e7%9b%8a%22

こうなると、文献引用によって思考停止になってしまい、自分の頭では深く考えていないレポートが多いのが原因ではと、疑いたくなります。
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Unknown (土生)
2008-05-29 01:38:59
久野様

業種横断的な分析をする場合だと、販売管理コスト等も考慮しないと実質的な付加価値の比較はできない(例えば、日用品や食品のように単価が安くて流通コストの比重が高くなる商品だと、そもそも粗利率の水準が高くなる)ので、分析の目的によっては営業利益率を採用するのが合理的な場合もあると思います。同業間での比較なら粗利率が望ましいと思いますが、営業利益率に比べるとデータを集めにくいというのも理由の一つかもしれません。
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