経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

ブランド戦略の本質

2007-12-21 | 新聞・雑誌記事を読む
 今週火曜の日経金融に、英国のブランドコンサルティング会社会長のインタビューで、「日本の銀行はブランド戦略が遅れている」という話が掲載されていました。「業務内容に差が付きにくくなっているから、ブランド戦略で差別化すれば収益力を高められる」ので、「名前やロゴを一新するのも一つの手だ」とのことです。
 「知的資産経営」だとか「三位一体の知財戦略」だとか「ブランド戦略」だといった格好いい言葉で締められると、何となくハハァ~っという感じでひれ伏してしまいがちですが、この記事を読んでよく考えてみると、ホンマかいなという気になってきました。一利用者の立場として考えた場合に、名前やロゴが格好いいからといって、果たしてその銀行を選択する理由になるものだろうか(かなり昔の話だと、ハローキティの通帳で預金口座の開設が増えたという話がありましたが)。もしサービスが全く同質であるとすると、おそらく選択基準になるのは、第1に絶対潰れないだろうという信用力、第2に近くにATMが多いといった利便性の問題になってくるのではないかと思います。
 という疑問についてあるブランドコンサルの方に意見を伺ってみたところ「ロゴが視覚的に訴えて、覚えてもらうという効果は大きい」とのこと。なるほど、顧客に選ばれる理由は他にある(信用力etc.)としても、顧客をそこまで導いてくるための道具としてロゴ(or社名)が活きてくるということですね。ロゴ(or社名)をそのように働かせるためには、本質的な強み(信用力etc.)とロゴ(or社名)がしっかりと紐付いている(そのマークをみたら「あの信用力の高いor近所にあって便利な~銀行だ」と思い出す)ことが前提であり、そのためにはメディアを有効に活用してその紐付けに努めることがポイントになってくるわけです。要すれば、
ブランド戦略の本質は、企業の本質的な強みと社名・サービス名・ロゴマークなどを結び付けいくことにある
というふうに理解することができそうです。勿論、単に商標権を取得しましょう、といった手続的な話ではなくて。


最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (yoshi)
2007-12-21 18:50:45
だと思います。^^
返信する
Unknown (大阪の一弁理士)
2007-12-22 13:04:09
日本の銀行の場合、ブランド戦略云々以前の問題と、統廃合が多すぎで、「企業本体の信頼」が発生し難い状態ではないでしょうか?「東京三菱UFJ」って名前が物語っていると思いますが・・・
返信する
Unknown (大阪の一弁理士)
2007-12-22 13:30:08
すいません。「三菱東京UFJ」でした。
返信する
Unknown (土生)
2007-12-23 01:20:17
yoshiさん、大阪の一弁理士さん、
コメントありがとうございます。

今さら何を言ってるの、そんなのあたりまえだろう、と言われてしまいそうですが、ネーミングやマークで顧客を吸引するのではなく、顧客を吸引する要因とネーミングやマークとの結び付きを強める、という発想の違いはあまり意識していませんでした。
後者の発想からすると、顧客を吸引する要因が技術的要因やデザインだったりすることもあるので、実は特許と商標、意匠と商標の本質的な保護対象が重なってたりするということもありですね。
さて、大阪の一弁理士さんのご指摘ですが、最近は欧米の金融機関がサブプライムでずっこけた関係で、相対的に邦銀の信頼はアップして、数年前とはだいぶ状況は変わってきているようです。
http://www.asahi.com/business/update/1220/TKY200712190432.html
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。