能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
能の世界も個人の生活もご紹介しています!

観客、鑑賞する立場になって 声の大切を痛感

2011-09-29 07:03:29 | 粟谷明生の日常
昨日は、金子あい「平家物語~語りと波紋音の夕べ~」を鑑賞して来ました。

金子あいさんは木曽義仲三話を少し動きを入れながら語られ(もちろん無本)
永田聡子砂知子さんの波紋音が、語りに沿うように鳴り響き面白い効果音を出していました。

さて、あいさんの語りを聞いていて
声のすばらしさ、むずかしさを、再認識しました。

声、私の場合は謡ですが、謡には三種類の声の飛ばし方があると思っています。

当てる声、越える声、掘る声、の三つです。

当てるは~
相手に真っ直ぐに、情報を伝えるイメージです。

越えるは~
相手に放物線を描いて相手の背後にふんわりと着地するような感じで、
情景と癒やしのイメージです。

掘るのは~
相手の下から上に掘り起こすのような、感情表現に適したイメージです。

あいさんの語りには、この三つがうまく入り交じり、非常に効果を上げていました。
能楽師も、もちろん私も含めてですが、もっと謡い声、発声に気を配らなくてはいけないと反省しました。

アフタートークで、金子あいさんが

「平家物語を声を出して読むと、物語が立体的に感じられます、
ただ黙読していては立ち上がってこない、声を出す効果といいますか・・・」
と話されていました。

私も同感です。

能の謡も、

能をご覧になるときに謡本を見ていてもだめ

能をご覧になるときに、聞いていても、イマイチだめ

ではどうしたらいいのか?

謡は声を出して、謡うと、内容が身体の中に入り込みます!

能が本当に判りたいなら、謡えばいい、謡えるようになればいいのです。

絶対、能っておもしろい!と感じられる、と思います。

能の謡い方を習ってみたい方、

能の声の出し方を知りたい方は、

是非、習われることをお薦めします。

但し、習うときは注意して下さい。


「自分はこんな声になりたい」という目標をたてて、その声の持ち主を捜して下さい。

よい謡を謡うには、まず自分で理想とする声、あのように謡いたい、
という謡い声を決めてから、スタートです。

「そんなもの判らない! 判ったら苦労しないよ!」
と仰る方は、私がお教えします。
どうぞ、お気軽に下記まで御相談下さい。

やさしく謡える窓口
謡い方、謡い声の相談係

♪ 粟谷明生 ♪
akio@awaya-noh.com



追加

演る者が、観る側に入るといろいろなものが、見え、感じます。

本番中に

オバチャマの鞄を触るガサゴソの音

おもむろに携帯の電源を入れて着信を確認するオヤジ

遅れてきて、携帯音を鳴らす無礼者

動くと鈴がなる老人

もちろんこれらはほんの一部です
大方の観客は、マナーよくご覧になっていました。

私からの粟谷能の会の鑑賞するにあたってのお願いがあります。

1,観能の時は鞄は預けるか、足下に置きましょう!

2,携帯は能楽堂に入ったら切りましょう!

3,鈴がついたものを持参するのはやめましょう!

4,隣同士でのお喋りはやめましょう!

5,無礼者がいたら、隣の人が注意するか、
または劇場案内人に通報しましょう!



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2 コメント

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Unknown (高砂)
2011-09-29 09:45:17
「追加」につきまして。

先日、白石加代子さん(観世寿夫さんとの共演あり、当代の観世銕之丞さんも(「共演など恐れ多い」と、)何目も置かれる方)による『白石加代子「百物語」』を聴きに参りまして、特に今回の「第二十九夜」は、白石さんにも合い、鴨下信一さんの構成・演出も冴え渡り、大当たりの出来で、堪能致しましたけれども、すぐ後ろの席に座られた「オバチャマの鞄を触るガサゴソの音」にはいささか集注をそがれました。

注意とか通報とかは気ぶっせい(気づまり)でなかなかできない(というか、わたしはしない)ですけれどもね。
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お返事 (粟谷明生)
2011-09-29 12:13:47
高砂様
コメント有難うございます。

鞄のガサゴソは、本人が無意識というのが困りもんですね

昔、能楽関係者と隣同士で能を拝見したときに、その方が
配布された能のチラシを徐々に折りたたんでいき、遂には細い棒のようになり、最後はまるで撥のように音をたてはじめたのが気になりました。

もちろん、私は注意し・・・・・・


ませんでした。

出来なかったです、すいません。

今度はします!
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