ケイの読書日記

個人が書く書評

藤堂志津子「大人になったら淋しくなった」

2009-03-05 13:43:30 | Weblog
 題名に引かれブックオフで買った。藤堂志津子の名前は知っている。オトナの恋愛小説を書く人、というイメージ。高樹のぶ子みたいな。
 ふーん、1988年第100回直木賞作家なのか。

 私はこういったオトナの恋愛小説を書く年配の(失礼!)小説家というのが本当に苦手。
 藤堂志津子さんは、このエッセイが初めてだが、やっぱり高樹のぶ子さんを思い出しちゃうね。
 以前、高樹のぶ子さんが私が取っている新聞に連載小説を書いていたが、正直カンベンして欲しいと思った。

 ヒロインはヴァイオリニストで夫は医者、愛人は、えーと、建築家だったかな、子供はいない。もう、職業設定からしてすごい。
 しかし、そうなってしまうだろうね。オトナの不倫を純愛として書かなければならないとすれば、どっさりお金を持っている職業でなけれは成り立たないよ。

 女は専業主婦ではなく、パート主婦ではもちろんダメで、芸術家が望ましい。
その芸術活動を経済的にも精神的にも支えているのが、夫であり愛人。
 しかし、この日本で「職業はヴァイオリニスト」と言える人が何人いるだろう。(ヴァイオリンのセンセイだったらいるだろうけど)
 そのヴァイオリニストが医者や建築家を夫や愛人に持てるという確率はどれくらいなんだろう?なんて考えて、あまりの嘘くささにゲンナリする私は、彼女達のファンになれないんだし、そういうことが全く気にならなくて物語の登場人物に感情移入できる人は熱烈なファンになることだろう。


 最後にこのエッセイの中で印象に残った部分を書き抜く。
 「あなたは、まだお若い」という台詞は、いかに若さにしがみつく人々が多いか、ということを教えてくれる。年配者のあがきも感じられる。

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